ここから本文です。
前回もお話したと思いますが、当地では急速に秋が深まりつつあります。町の街路樹の落葉が大変目立つようになってきました。サハリン事務所の前も毎朝掃除をするのですが、最近は日中にもう一度掃除しなければ、事務所前も落ち葉だらけで大変といった感じです。
日本でも人気のある劇作家の「チェーホフ」についてお話しをしてみたいと思います。チェーホフは革命前夜のロシアにあって旧世代の没落と新世代の台頭を優れた筆致で描いた多くの短編や、「かもめ」、「桜の園」などの戯曲によって、トルストイ、ドストエフスキーなどに並ぶロシアの文豪とされる作家です。今年はちょうど、そのチェーホフの没後百年にあたります。なにか聞くところによると、稚内でも10月にチェーホフにかかわるイベントが開かれると聞いております。(*)
ところで、「何故サハリンとチェーホフ?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、反面ピンとくる方も多いと思います。モスクワ~サハリンは今なら、飛行機で10時間、シベリア鉄道で1週間の行程ですが、チェーホフは1890年に、ロシアの流刑地であるサハリンに鉄道・大河を行く船・馬車に乗り継いで3ヶ月かけて訪れています。そして3ヶ月ほどサハリンに滞在の後、海路で帰国し、1891年3月から1894年7月にかけて、サハリンに関する本の執筆を手がけております。これが日本はもとより世界中でも有名な、彼の代表作『サハリン島』です。当時のサハリンは流刑地で、色々と複雑な事情があったようですが、それを克明に調査し著した物とされています。
ここユジノサハリンスク市にもチェーホフの像や記念館があります。当地にいらっしゃる予定のある方は、『サハリン島』を一読してからいらっしゃるのも、面白いかもしれません。
* 平成16(2004)年10月1日、稚内北星学園大学で催される日本ロシア文学会の中で、チェーホフに関するシンポジウムが行われます。
ユジノサハリンスク市内にある“チェーホフ『サハリン島』”記念館。
記念館の入口です…。
ユジノサハリンスク市内のチェーホフ像は、彼が訪れた1890年とは多く変わった街を、どのような思いで見詰めているのでしょうか…。
本文ここまで
ここからサブメニュー
サブメニューここまで
ここからフッターメニュー