平成30年(2018年)第6回定例会(12月)一般行政報告
一般行政報告
平成30年(2018年)第6回定例会(12月)
目次
- 平成30年度上期の観光について
- 稚内市バイオマス産業都市構想の認定について
- JR宗谷線存続問題への取組について
- 大規模停電における本市の対応について
- 平成30年度地震・津波防災訓練の実施について
- 北海道胆振東部地震に伴う被災地への職員派遣について
平成30年 第6回稚内市議会定例会の開催にあたり、6項目につきまして一般行政報告をいたします。
今年度は、新たな観光資源として、「北の桜守パーク」や「樺太記念館」のオープン、また、地域特産の「食」を味わいながら、「景観」を楽しむことができる、「ガストロノミーウォーキング」や「レストランバス」の実施など、みて、食べて、楽しんでいただく、体験型観光の魅力創出に取組んできました。
さらには、稚内観光協会青年部が中心となり、宗谷岬にツアーセンターを開設し、ツアーガイドなどを行い、宗谷岬にある観光資源を、より多くの観光客に知ってもらうための取組みをしました。
観光入込客数は、4月・5月は前年と比べて増加し、今年度の観光入込の増加に期待をしていたところですが、6月以降、全国各地の大雨や台風などの自然災害の発生によって、全国的に旅行を控える傾向が強まり、本市を訪れる観光客も前年を下回る状況が続きました。
さらに、9月6日の「北海道胆振東部地震」に伴う「大規模停電」により、東京直行便や離島フェリーは通常どおりだったものの、千歳便やJR、都市間バスのほか、市内交通機関も麻痺状態となり、宿泊施設やツアーの予約キャンセルが相次ぐ事態となりました。
その後も、全道的に地震による影響や風評被害もあり、観光客の減少をくい止めることが出来ず、その結果、本年4月から9月までの上期の観光入込客数は、総数38万100人、前年と比較すると、1万9,600人、4.9%の減少となり、上期としては、平成26年度以来の減少となりました。
また、外国人観光客は、5月から8月までは好調に推移していましたが、9月に入り台風や地震による関西空港や新千歳空港の閉鎖もあり、訪日需要が一気に落ち込み、本市においても、香港や台湾からの観光客が大きく減少したところであります。
しかし、一方では、就航6年目となるフジドリームエアラインズのチャーター便は、本年も全国27空港と結んで、339便就航し、約2万人の利用があり、昨年とほぼ変わらない貢献をしていただいたところです。
下期につきましては、現在、国が行っている「北海道ふっこう割」はもとより、市としても、この冬に向けて、関係事業者や団体等と連携して、本市への誘客に向けた新たな旅行商品を企画するなど、外国人も含めた観光客の回復に向けて取り組んで参ります。
本市は、「環境都市わっかない」として、地球環境負荷の低減に貢献するため、全国有数のポテンシャルを有する風力発電を中心として、再生可能エネルギーの導入を積極的に進めてきました。
一方、動植物由来の資源であるバイオマスに関しては、農林水産業のほか、廃棄物など、多様な資源が存在しているにもかかわらず、その活用は生ゴミや廃食油など、一部に留まっていました。
そうした中、近年、地元民間事業者においても、家畜排せつ物や下水道汚泥などの活用を図る動きが活発化してきたことから、本市におけるバイオマス資源の利活用に関する方向性を定めた、「稚内市バイオマス産業都市構想」を策定しました。
本構想は、生ゴミや家畜排せつ物などの、バイオガス化によるエネルギーへの転換、下水道汚泥の燃料化、建築廃材や間伐材の活用など、本市に存在する、あらゆるバイオマス資源を100%利活用しようとするとともに、新たな産業や雇用の創出を目指すものです。
去る9月4日、農林水産省において、選定委員をはじめ、内閣府、環境省などの関係7府省に対し、本構想の説明を行い、先月19日、国からバイオマス産業都市として指定する旨の通知があり、今月7日、農林水産省で執り行われた認定証授与式に、私も出席してきたところです。
今後は、国の各種施策も活用しながら、バイオマスの高度利用を推進し、更なる地球環境負荷の低減に貢献するとともに、バイオマスを活用した新たな産業、雇用の創出により、地域経済の活性化に繋がっていくものと期待しているところです。
JR宗谷線の維持存続に向けた取組につきましては、昨年6月定例会の一般行政報告において、その経過や取組など、その時点での状況をお伝えしましたが、時間が経過していることもあり、それ以降について、改めてご報告します。
本年7月27日、国土交通省はJR会社法に基づき、JR北海道に対して、経営改善に向けた取組を着実に進めるよう、監督命令を行うとともに、来年度から2年間で、総額400億円台の支援を行う方針を示しました。
一方、JR北海道は、単独では維持困難な10路線13線区のうち、石勝線夕張支線や、札沼線など5線区について、すでに廃止やバス転換への方針を打ち出しています。
残る、宗谷線、名寄-稚内間など、7路線8線区については、来年度から2年間を「第1期集中改革期間」として、国は、JR北海道が経営改善を進めるため、利用促進や経費削減など、具体的な取組を整理した、線区別の行動計画を今年度末までに策定するよう、JR北海道に求めており、宗谷線については、稚内-旭川間の計画として、本市をはじめ沿線自治体で構成される、宗谷本線活性化推進協議会が、JR北海道と協力しながら策定作業を進める予定です。
これらについては、今月25日に名寄市で行われた「宗谷本線活性化推進協議会」においても、JR北海道などから説明がありましたが、沿線自治体にとって、最も関心の高い地域負担については、金額もさることながら、負担の目的、範囲、方法、財源などについて、残念ながら協議するまでに至りませんでした。これらについては、現在開会されている、北海道議会での議論も見守りたいと考えています。
いずれにしても、かつての国鉄民営化に伴う、JR北海道の支援を目的とした、現行法の適用期限など、時間は限られてはいますが、道北の幹線鉄路である、JR宗谷線の維持存続に向け、宗谷本線活性化推進協議会はもとより、周辺自治体とも連携しながら、国や北海道、JR北海道と粘り強く協議していきます。
去る9月6日未明に発生した、北海道胆振東部地震の影響により、北海道のほぼ全域が停電となり、本市においても、地震発生直後から7日夜半の全面復旧まで、市民生活や経済活動など、様々な分野に多大な影響が生じました。
市では、地震発生直後に「災害対策連絡室」を設置し、情報収集に努めたところですが、停電の長期化も想定されたことから、同日、10時00分に「災害対策本部」に切り替え、全庁挙げての横断的な対策を講ずることといたしました。
主な対応としては、地震発生直後から収集した情報を7時58分の第一報を手始めとして、防災ラジオを通じて、随時、放送したほか、断水となった高層住宅への飲料水の提供、一人暮らしの高齢者や在宅医療機器を使用している方を個別に訪問し、体調などを確認したほか、携帯電話の充電コーナーを開設しました。
また、交通網の寸断により、宿泊場所を確保できない観光客などを対象とした避難所の開設や、札幌から帰宅できない稚内市民を対象とした貸切バスの臨時運行などにも取組みました。
なお、災害時の物資供給協定に基づき、発電機、あるいは消防、病院などの燃料の確保、充電コーナー開設におけるバス車両の提供など、市内企業の皆さんにも数多くのご協力をいただきました。この場をお借りして、改めて、御礼申し上げます。
市では、電力の復旧後、今回の大規模停電への対応における問題点や課題を整理しましたが、停電に関してはこれまで、災害に付属的に発生することを想定していた甘さを反省し、原因に拘らず、電源喪失が市民生活全般に及ぼす影響の大きさを再確認するとともに、今後、災害などで行政機能が深刻な被害を受けた場合に、優先的に実施すべき業務の確認と、的確な対応を定めた「業務継続計画」をできるだけ早急に策定したいと考えています。
先月28日、声問地域において、内閣府、北海道と本市の共催より、声問小学校を会場に大規模な地震と津波を想定した防災訓練を、声問町内会をはじめ、市内自主防災組織や防災関係機関など、約300人の参加を得て実施したところです。
訓練は、9時00分に「緊急告知防災ラジオ」の割込み放送により、地震・津波に関する警報等の伝達を行い、自宅において、地震発生時に身を守る「姿勢を低く」、「頭を守り」、「動かない」の3つの行動をとる「シェイクアウト訓練」を実施しました。
続いて、声問地域の住民のうち、津波の浸水が想定される区域の方々が、指定された2か所の避難場所へ徒歩で向かう避難訓練を行い、避難完了後は、声問小学校に集合し、稚内地方気象台による防災講話を聴講しました。
一方、津波の浸水が想定されない区域の方々については、内閣府から派遣された防災士から、避難所の開設や運営について学び、実際に声問小学校に集合した住民の方々を避難者とみなした、受け入れ訓練を行いました。
避難所の開設や運営では、住民の皆さんがそれぞれの役割を明確にして、その指示の下、段ボールベットや簡易トイレの組立てを行うとともに、高齢者など配慮が必要な避難者のための「福祉避難所スペース」を設けるなど、より実践的な訓練を行いました。
訓練終盤では、協力いただいた自衛隊の炊出しにより、訓練参加者全員で物資配給訓練を行い、炊出しを試食しながら今回の訓練について意見交換を行いました。
今後も引き続き、関係機関との連携を強化し、各種訓練を実施するなど、市民の防災への理解と関心を深め、地域防災力の向上を図り、災害に強いまちづくりを目指して参ります。
この度の北海道胆振東部地震により、甚大な被害があった厚真町・安平町・むかわ町では、現在もなお、避難所生活を余儀なくされ、また、崩落した土砂の撤去や被災家屋の処理などにも、まだまだ時間を要する状況です。
震災後、本市としては、被災地の状況を考え、いつ行政支援や災害支援の要請があっても対応できるよう、早々に職員派遣を決め、北海道へその意思を示したところです。
その後、北海道から本市に対して派遣要請があり、先月9日から13日までの5日間、被害の一番大きかった厚真町へ職員4人を派遣し、また、今月19日から22日までの4日間は、むかわ町へ2人の職員を派遣したところであります。
派遣した6人の職員は、短期間の派遣ではありましたが、災害の爪痕が残るそれぞれの被災地で、罹災証明関連業務などの災害事務を担当しながら、被災された方々の声を聴き、その悲惨な状況を、身をもって感じてきました。
今のところ、時期や会場は未定ですが、派遣した職員による市民報告会を開催し、被災地の甚大な被害状況を伝えるとともに、本市における今後の災害対応への意識の高揚を図りたいと考えています。
被害の大きかった三町においては、まだまだ復興に時間を要すると思いますが、今後も機会があれば、道内自治体の一員として、しっかりお手伝いしたいと考えています。
以上、6項目についてご報告申し上げ、私の一般行政報告とさせていただきます。ありがとうございました。
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