令和6年(2024年)第3回定例会(6月)一般行政報告
一般行政報告
令和6年(2024年)第3回定例会(6月)
目次
- 稚内市サハリン事務所の移転について
- 令和5年度 観光入込客数について
- 本市の医療体制及び寄附講座開設について
- 東京稚内会並びに市政功労者 西本美嗣氏を偲ぶ会への出席について
- 市役所新庁舎及び稚内中学校新校舎の整備状況について
令和6年 第3回稚内市議会定例会の開催にあたり、5項目について一般行政報告をいたします。
「稚内市サハリン事務所」については、平成14年(1992年)にサハリン州内の関係機関との連絡調整や、交流促進のため開設した当時から、これまで、本市が独自に建物を借り上げて、常駐のサハリン事務所長のもとで運営してきたところです。
しかし、令和2年(2020年)から感染が拡大した新型コロナウイルスの影響によって、サハリン事務所長を現地から引上げさせ、その後は不定期の勤務となり、さらに令和4年(2022年)に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻によって、サハリン事務所を再開する目途が全く立たないまま、令和5年度も同様の対応となったことは、これまでご説明してきたとおりです。
この間、海外送金ルートが限定されるなど、サハリン事務所の維持が危ぶまれる状況となっていたこともあり、その存続を含めて検討してきたところですが、昨年度末、北海道の正式なご了解をいただき、本年度からは、ユジノ・サハリンスク市の「北海道センター」内にある、「北海道サハリン事務所」の一部スペースを、「稚内市サハリン事務所」として使用させていただいています。
現在、「北海道センター」には、在ユジノ・サハリンスク日本国総領事館をはじめ、北海道新聞、NHK、三井物産の事務所がそれぞれ開設されており、在ユジノ・サハリンスク日本国総領事からも、日本の組織が一つの建物に集まったことに対し、心強いという言葉をいただいていますが、一日も早く、この国際問題が解決し、私たちの交流にも平和が訪れ、サハリン事務所の活動が平常に戻ることを願っているところです。
「北海道観光入込客数調査要領」に基づく、本市の令和5年度の観光入込客数は、総数49万1千300人となり、対前年度比109.5%と増加し、宿泊客延数は35万1千900人、対前年度比105.6%となりました。
入込客数の内訳は、道内客が16万800人で対前年度比105.9%、道外客は33万500人で対前年度比111.4%となり、道内、道外客ともに増加しました。
道内客は特に5月が増加しており、交通手段別の割合では自家用車が全体の約5割を占めていることから、新型コロナウイルスの影響を避けるため、家族や友人など少人数や個人で、北海道内を車で周遊する観光客の来訪が多くなったことなどが、その要因と考えられます。
道外客の地域別割合では、前年度と比較して、年間を通して関東圏からの来訪が増加しており、この効果が、道外客の主な交通手段となっている、航空機の搭乗者数にも表れ、対前年度比109.7%と増加したところです。
外国人観光客数は9千399人で、対前年度比約7.5倍となりましたが、これはコロナ禍における入国制限が解除されたこと、また、中国からの観光客の現状や、現在も続いている円安の影響も大きいと考えていますが、コロナ前の令和元年度の1万5千750人と比べても、まだまだ少ない状態と言わざるを得ません。
外国人観光客の地域別では、台湾・香港・シンガポールなど、これまでも本市がインバウンドの重点地域として設定し、積極的にプロモーションを行っていた地域からの観光客の増加が大きく、季節の内訳を見ますと、台湾や香港は個人、団体ともに夏季の入り込みが増加していること、また、シンガポールは年間を通して入り込みが増え、特に学校の長期休暇と重なる12月の伸びが大きかったことが特徴的でした。
繰り返しになりますが、外国人に関しては、実数そのものがコロナ前と比べて、必ずしも回復しているとはいえず、今後もセールス活動の強化など、積極的な誘致に取り組まなければならないと考えているところです。
令和6年度の市立稚内病院の医師数は、一昨年の循環器内科と昨年の麻酔科の常勤医師の確保に引き続き、本年4月に旭川医科大学から、泌尿器科に9年ぶりとなる常勤医師が配置されたことにより、昨年度から1人増えて、41人体制となりました。
泌尿器科の常勤医師の配置により、これまで市外の病院へ紹介せざるを得なかった入院や、手術の対応が可能となったほか、外来診療体制も週2日から週5日に拡大され、患者さんの利便性向上や診療の混雑緩和が図られていると思っています。
また、研修医についても、北海道から指定を受けた4人の定数を満たすため、市立稚内病院における研修の魅力を、様々な方法で発信した結果、定数をはるかに上回る応募があったところであり、今後も研修医の確保に向けて取り組んでいきます。
さらに、現在、地域医療体制をより充実させるために、本市と旭川医科大学との間で、「寄附講座」の開設について協議を進めています。
この「寄附講座」は、自治体や病院から医育大学への寄附金に基づき開設される、研究・教育のための講座であり、地域に貢献する医師の育成を図るもので、本市としても、これまでの大学への医師の派遣依頼だけではなく、地域医療に熱意を持った医師が、寄附を受けた地域で診療に従事するなど、医師の確保が期待できる有効な手段の一つとして受け止めています。
旭川医科大学からは、昨年12月に講座開設の提案を受けていますが、現状では、大学側の事情など、本市が希望する診療科と大学の講座との調整に時間を要しており、今後これらの調整が図られ次第、講座開設に向けて準備を進めていきたいと考えています。
引き続き、宗谷の医療圏域の中心的な役割を担う市立稚内病院の医療体制の充実に向けて、病院事業管理者と連携しながら、しっかりと取り組んでいきます。
本市出身者やゆかりのある方々で構成される「東京稚内会」の総会は、令和元年度以降、新型コロナウイルス感染症の影響で中止されてきましたが、先月18日に、約100人の参加のもと、5年ぶりに開催されました。
私を含め、吉田道議、鈴木市議会議長、中田商工会議所会頭など、稚内から駆け付けた多くの方々も参加し、久しぶりに会員の皆さんと交流しました。
本年は、特に「利尻礼文サロベツ国立公園指定50周年」を意識した、写真やパネルによる会場が設営され、本市関係者による演奏など、大変な盛り上がりの中で交流が進められました。
また、これまで長い間続いた役員体制が、来年から新たな体制となることが総会で決定されましたが、これまでご尽力いただいた小坂輝雄会長はじめ、役員の皆様には心からの感謝を申し上げたところです。
一方、「東京稚内会」出席後、札幌市で行われた、本年2月28日にご逝去された、本市市政功労者の西本 美嗣氏を偲ぶ会に参列しました。
西本さんは、令和3年(2021年)に解散した一般社団法人全国樺太連盟の会長として、長くご活躍いただき、本市において毎年8月20日に実施される「氷雪の門・九人の乙女の碑 平和祈念祭」にも、何度もご臨席いただきましたが、特に解散前の全国樺太連盟は、平成29年(2017年)に、本市に対して多額の寄附金と約2,000点もの貴重な樺太関係資料を寄贈していただいたほか、令和元年には、樺太の思い出の地に残る望郷の碑や鎮魂の碑、23基の存在を明記した「望郷の樺太」の碑を、稚内公園に建立されました。
西本さんに対しては、そのご貢献を称え、令和3年、市政功労章を送らせていただいたものですが、偲ぶ会には西本さんと交流があった元北海道知事の堀達也さんをはじめ、多くの関係者が出席され、私もこれまでの功績に対する感謝を伝えるとともに、樺太引揚者の皆さんの想いを風化させることなく、これからも樺太の記憶を、次世代に伝えなければとの思いを新たにしたところです。
はじめに、市役所新庁舎整備工事の進捗状況ですが、昨年7月から進めていた掘削工事が10月に完了し、その後、冬期間の休工をはさみましたが、本年4月からは、当初の予定どおり、基礎コンクリートの打設工事を進め、先月末時点の工事進捗率は14.8%となっています。
今月からは1階の躯体工事が始まり、これらを本年内に完了し、完成後は外装工事を進め、来年3月までに外装の仕上げ工事が完了する予定です。
また、内装工事につきましては、本年9月から、躯体工事の完成したフロアーから順次進めていき、来年5月に全ての内装の仕上げ工事を完了させ、その後、物品の搬入や設備の試験運転などを経て、10月には供用を開始する予定です。
新庁舎はその建設目的の一つとして「ゼロカーボンシティ」の象徴として位置づけることも目指しており、外壁には太陽光発電パネルを取り付け、再生可能エネルギーの活用を図るとともに、本年10月からは、新庁舎の熱源として使用する、地中熱設備のためのボーリング工事を進めていきます。
次に、稚内中学校新校舎整備工事の進捗状況ですが、昨年10月から掘削工事を開始し、先月末に校舎本体の基礎工事が完了しており、工事進捗率は15.6%となります。
今月からは躯体工事が始まっており、年内にはこれが完了し、冬季間の休工をはさんで、来年4月から、残りの外装や内装工事を進めて、9月に完了し、中学校としては、令和8年(2026年)1月からの供用開始を予定しています。
また、これまで説明してきたとおり、新校舎の整備は、中央小学校と稚内中学校の義務教育学校への移行を見据えたものであり、今月5日には、開校準備委員会と教育課程編成委員会が立ち上がりました。
今後はこれらの委員会において、学校名をはじめ、教育課程など重要事項の検討が進めてられていくと受け止めています。
以上、5項目についてご報告申し上げ、私の「一般行政報告」とさせていただきます。
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