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サハリン州郷土博物館(2012年6月6日)

サハリン州郷土博物館の建物は、「ユジノサハリンスクで最も有名な建物の一つ」と言って差し支えないかもしれません。

サハリン州郷土博物館外観写真

建物は1937(昭和12)年に竣工したもので、当時は「樺太庁博物館」でした。

コンクリート造りの建物に瓦屋根を組み合わせた、和洋折衷な形状の建物ですが、1930年代に流行った「帝冠様式」と呼ばれるものです。

樺太がソ連化された1946年以降も、この建物は博物館として利用され続けて今日に至っています。現在の“サハリン州郷土博物館”の“機構”としては、「アレクサンドロフスク・サハリンスキーに在った博物館がユジノサハリンスクの現在地に移転した」ということになっています。アレクサンドロフスク・サハリンスキーに在った博物館は1896年に開館したそうです。

11時開館、18時閉館で、入場券は50ルーブルです。館内で写真撮影を希望する場合は、入場券の他に70ルーブルを支払って許可を受けます。(※6月4日時点で、1ルーブルが2円80銭でした。)

何かの都合で変わる場合も在るようですが、館内では概ね下記のような展示が視られます。

1階左側:古生物、自然、動物
1階右側:考古学系の展示、北方少数民族関係
2階左側:19世紀から20世紀前半の歴史
2階右側:第二次大戦期以降の歴史

1階左側に化石が在ります。

サハリン州郷土博物館に展示されている“デスモスチルス”の化石のレプリカの写真

旧い哺乳類の骨格の化石で、水辺に棲んでいたと考えられる“デスモスチルス”という動物です。カバのような動物ということになるのでしょうか?

殆ど全部の骨が在り、“デスモスチルス”という動物の姿を伝えてくれるこの化石は、精巧なレプリカです。オリジナルは札幌の北海道大学総合博物館に在ります。

この化石は、樺太時代に当時の“北海道帝国大学”(在の北海道大学の前身)の調査チームが樺太に出向いて発掘したものです。北緯50度線の少し南側の内陸、当時は気屯(けとん)と呼ばれていたスミルヌィフで発掘したものということです。

この化石のレプリカは、北海道とサハリン州との善隣交流に寄与すべく、北海道大学総合博物館がサハリン州郷土博物館に贈ったようです。

1階から2階へ階段で上った辺りで行き交う来館者を眺めているような、或は壁の向こうを見つめているような銅像が在ります。

サハリン州郷土博物館内のネヴェリスコイ像の写真

この人物はゲンナージー・イワノヴィチ・ネヴェリスコイ(1813年−1876年)です。19世紀のロシア海軍の軍人で、極東探検を行ったことで知られる人物です。1853年には現在のコルサコフに砦を築いています。コルサコフ市では、この出来事を「街の起こり」と考えていて、「サハリンで最も古い街の一つ」ともしています。

サハリンでは、このネヴェリスコイは「地域を拓いた先人」として大変な敬意が払われているようです。例えば、樺太時代には“本斗”と呼ばれていた街は、このネヴェリスコイに因み、1946年に“ネヴェリスク”と改名して今日に至っています。

サハリン州郷土博物館には、このネヴェリスコイも含め、サハリンへやって来た航海者達も紹介されています。日本関係の最上徳内、間宮林蔵、松浦武四郎という人達も紹介されていました。

2階左側には、日本時代を伝える内容の展示も在りました。「国境」を示していた石も展示されています。

サハリン州郷土博物館に展示されている日露国境の石の写真

1905年のポーツマス条約の後に設けられた、北緯50度線の国境に据えられていたものの一つです。

2階右側には、石油ガス開発に関する紹介も在りました。海上油田やLNG船の模型が目立っていた他、航空事故で他界したファルフトディーノフ元知事の事績を伝える展示も視られました。

偶々、出入口の辺りをゆっくり視ました。扉に「菊の御紋章」が入っていました。竣工当時の状況を伝えるものです。

サハリン州郷土博物館の出入口の写真

サハリン州郷土博物館では、上記で極々一部を御紹介した展示の他、地元の児童生徒がグループで見学をしている様子、2000年代以降に整備が進んだ敷地内の庭で散策する人々、“順番待ち”までして記念撮影をする新婚カップルの様子など色々なものが視られますが、「訪ねる都度に小さな発見が在る」ような、なかなかに興味深い場所です。

サハリン州郷土博物館敷地の庭の写真

お問い合わせ先

企画総務部交流推進課
稚内市中央3丁目13番15号
交流推進グループ 0162-23-6486(直通)

メールでのお問い合わせはこちら

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