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9月からは夏日課になります。
皆さんご存じの通り、稚内と南極の関係は第1次隊の頃から続いています。
樺太犬の訓練地だったからですね。
稚内生まれが多かったということもあり、1次隊に参加した樺太犬たちがつながれていた場所が知りたくて、色々な人に聞いていました。
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基地上空写真 |
候補となったのは3ヵ所。
1つ目は福島ケルンのある基地の北側です。
第4次隊で行方不明となってしまった福島隊員の冥福を祈って石を積み上げて造られたケルンは、当時、犬小屋があったとされる場所に建設されています。
4次隊のことですから1次隊とは違うかもしれませんが、ここが1つ目の候補でした。
2つ目は基地の南西側です。
ここには何があるという訳ではないのですが、何かの本で「犬たちは基地の風下側につながれていた」と読んだことがあったからです。
昭和基地周辺はカタバ風と呼ばれる卓越風が吹くのですが、それは北東の風です。
風下となると南西になるのですが、「餌が海に流された」とも聞いたことがあったので海と反対側となる
この説の可能性は薄く感じられました。
3つ目は基地の東側、観測系の建物が並ぶ東部地区の海氷側です。経験者の方に色々話を聞くと、この説が一番多かったんです。何か確認できるものがないかと、昭和に入ってからも過去の報告書や、経験者が書かれた本の中にある写真などを見ていました。
ある日、隊長が「いっちゃん。面白い写真があったよ」と電離層棟で見つけた写真の写真を撮影して来てくれたんです。
そこには犬たちがつながれている1次隊の写真と、数年前に撮影されたと思われる現在の設備も写り込んだ同じ場所の写真がありました。
見つけました。
やはり基地の東側だったんです。
後日、「14人と5匹の越冬隊」という本に同じ写真が載っているのも見つけました。1次隊の頃の写真が、それもカラーで載っていたんです。
その写真には犬たちの名前も載っていました。
晴れた休日を待って写真を撮ったのでご覧ください。
(1次隊の写真は丸山さんが撮影されたものですが、電離層棟に飾られていたものをスキャナでよませていただきました)
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電離層棟に飾られていた1次隊の写真 (1958.2.10) |
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上の写真と同じ場所で撮影 |
私たちは越冬期間中、3カ月に一度の健康診断を受けなくてはいけません。
9月は3回目の健康診断がありました。
実は前回6月に受けた診断結果が良くなかったんです。
体重も安定していたので健康体のつもりだったのですが…。
2回続けてそんな結果になる訳にはいきませんから、数日前から規則正しい生活を続け、体調を整えて臨みました(本来は通常通りの生活をしなければならないんですがね…)。
結果は、日本で受けた結果と変わらないものとなりました。
やはり前回の診断時は極夜でリズムが狂っていた!ではなく…飲み過ぎということですね。
二人のドクターは声がけなど体調管理に注意してくれますが、基本的には自己責任です。
規則正しい生活をするぞ!と言いながら「健康に乾杯!」とその日もまたまた飲んでしまいました。
9月下旬、これまでと少し違った景色を見ることができました。
まずはオーロラ。
オーロラは何度か紹介していますが初めて青いオーロラを見ることができました。
オーロラは太陽から降り注ぐプラズマが地球上の大気と衝突し、そのエネルギーによって発生するのですが、衝突する物質の種類と衝突した高さによって色が変わるそうです。
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オーロラ(9月3日撮影) |
これまでは緑色のものを多く見ました。
時折、赤っぽくなったりピンクになったりというのは見たことがありましたが、今回初めて青色のオーロラを見ることができました。
ぼんやりでしたが間違いなく青いオーロラでした。
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青いオーロラ(1)(9月26日撮影) | 青いオーロラ(2)(9月26日撮影) |
もう一つは蜃気楼です。
今までは基地から見て北側に見ることが多かったのですが、今回は西側、私の執務室である庶務室からもはっきり見える蜃気楼が現れました。
蜃気楼は大気の温度差によって屈折率が変わり、普段見えないものが見える現象ですが、寒い日に多く見えていました。
写真を撮影した9月29日は、特別冷え込んだ訳でもなく、最低気温はマイナス23度。気温だけではなく、色々な条件が重なって発生する現象ですから、オーロラと同じくいつ見えるのかわかりません。
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蜃気楼 |
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蜃気楼なし |
これからは、どんどん夜が短くなり、オーロラや星を見ることは出来なくなりますが、南極はまだまだ不思議な現象が多く、楽しみが続きます。
また、そろそろペンギンたち動物も現れる季節です。
次回は動物の紹介ができるかもしれませんのでお楽しみに。
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