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![]() | ~番外編~ 南極での野外活動 |
稚内市の広報紙「広報わっかない」【平成23年12月号】では、チョットだけご紹介していたんですが、実は南極で色々なところに行ってるんです。
最初の頃にご紹介した大陸初上陸もそうなんですが、それ以外にも、それなりに行ってたんですよ。
帰ってから報告しようかと思ってたんですが、少し前に「いろんな動物とであったら報告しますね」なんて言ってたので、チョットだけ報告します。
11月から12月にかけてペンギンセンサスが実施されました。
昭和基地周辺のルッカリー(営巣地)にどれだけペンギンが来ているか、どれだけ巣を作っているか、どれだけ卵を生み子どもになったかを観察するんです。
その変化を継続的に観測するのが生物部門なんですが、52次隊には生物の専門隊員がいないため、ドクターがその役割を受け持っていました。
ドクターだけで出来る業務ではないので、メンバーを募ります。私も日帰りでペンギン数調査に1回、1泊2日で巣の数の調査に1回行ってきました。
昭和基地のある東オングル島にはルッカリーは無いんですが、周辺の島にあるルッカリーに移動するペンギンが時折、寄り道してくれます。
初めて出会ったのは10月末。望遠レンズを付けたカメラでも何とか撮影できる程度でした。
その後はそれなりに近くで会うことが出来たんですが、近づいても良いとされる距離が決まっているので、あまり近づくことは出来ません。
ペンギンが警戒して近づいてこないという訳ではなくて、興味心からか近づいてくるのを人間側が離れる感じです。
時には除雪作業中の目の前に現れて、なかなか去って行かず、「除雪出来ないんだけど~」と居なくなるのを待つこともありました。ただし、昭和基地で会うことのできるペンギンは数羽の集団で、1回だけ「何だろうこの集団?」と珍しく思った30羽前後の来訪がありましたが、普段はそんなに数が多い訳ではありません。
今年は皇帝ペンギンも立ち寄ることは無く、アデリーペンギンだけの来訪でした。
アデリーペンギン
「南極といえばペンギン」と思ってはいましたが、実際に出会えたのは、こんな感じで数羽だけでしたので「広い南極ではそんなもんだ」と思っていたのですが、ペンギンセンサスは違いました。
集団なんです。
しかもすごい数。
今までいなかったのに何処から来たんだろう?
不思議でした。
近くに海が見えているところもなく、相当遠いところから氷の上を歩いて来なければ辿り着かないんです。時折、数羽が氷に向かうんですが、餌を取りに行くにしても何処へ?
これまた不思議です。
「アデリーペンギン」の集団
最初に見たルッカリーは150羽くらいで何とか数えることが出来ましたが、一番大きなところは1000羽を超える数で、さすがに数えられません。
数が多いところは写真を撮影し、基地に戻ってからその数を確認します。
ここ2年ほど、海氷が厚く、夏になってもなかなか海が現れず、ルッカリーに集まるペンギンの数は少ないようですが、昭和基地周辺としては増加傾向だそうです。
また、卵を産み子育てが始まった後、餌を取りに行ったまま、氷が塞がってしまい、戻れなくなるなど、ペンギンたちの子育て環境は厳しいようです。
「しらせ」に戻ってすぐに、53次夏野外活動の撤収作業をお手伝いするために、スカルブスネスというところまで行かせていただきました。
越冬中も行ったことの無い、南極大陸の沿岸地域です。
ここで2ヶ月近くの間、池などの植物や苔、藻類を研究しているグループの撤収作業の支援隊として参加しました。
樋口さん、柏木さん、長谷川さんと4人での参加でしたが、「イッチは沿岸にあんまり出れなかったんだから」と周辺の岩山に時間を見ては案内してくれました。
「すり鉢山」というところに連れて行ってもらったんですが、そこから、子どもの頃、映画「南極物語」で見た「ボツンヌーテン」が遠くにかすかに見ることが出来ました。
唯一、知っていた名前だったので、行ってみたいとは思っていましたが、行ける距離ではないので、見えた時は感動しました。
2月14日から17日まで、少しのんびりと南極を散歩させてもらいました。
行かせていただいた皆さんに感謝です。
帰りの「しらせ」では、昭和基地で出会えなかった皇帝ペンギンに何度も会うことが出来ました。
我々を見送ってくれるかのように、集団でこちらを眺めていました。
一昨年、往路では何度か会えましたが距離が遠く、さらに集団でいることは珍しかったのですが、復路ではしらせのすぐ近くの海氷の上にたくさんいたんです。
みんな夢中でシャッターを切っていました。
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