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第46次南極地域観測隊 近江隊員の南極滞在記(2005年12月分)

12月1日(木)

(天候:快晴・最大瞬間風速:16.6m/s・気温(最高:-0.3℃ 最低:-5.9℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 今日から12月。47次隊はすでにしらせに乗り込み、3日の出発までのほんの短いバカンスをフリーマントルやパースまで足を延ばして楽しんでいることでしょう。私たちもフリーマントルで楽しみそしてリラックスした気分で出港したのを思い出します。
 しらせが出港し一路、昭和基地へと向かう訳ですが、航海の途中に南緯40度線を越えた海はいつも荒れていることで、「吼える40度」、「狂う50度」、「叫ぶ60度」と呼ばれる難所を越えなければならないのです。昨年は24度くらいの傾きで済みましたが、過去には40度を越えたときもあったそうです。そこを越えると一転して穏やかな南極圏に入ります。

これくらい凄いのですの写真その1
これくらい凄いのですの写真その2
(これくらい凄いのです)

 ここからは大きな氷山があちらこちらで見られるようになり、恒例の「初氷山視認クイズ」なるものをしらせ乗員と観測隊員で予想したりします。氷山もテーブル状の氷山もどんどん現れ、中にはしらせが小さく見えるようなものすごい大きな氷山も現れます。その後南極に近づくと「氷海」に入ります。最初は流氷程度の大きさでその後、「定着氷」域に入ります。

小さな氷山、発見の写真
どんどん氷が多くなりますの写真
(小さな氷山、発見)
(どんどん氷が多くなります)

 ここは氷の厚さが1mを越え、しらせが前進できなくなり、チャージングが始まります。このチャージングはしらせを一度後退させ、勢いをつけて前進し、氷を割って進みます。正確には氷に乗り上げて船の重さで割るのです。このチャージングは年によって異なりますが、私達が来るときにはかなり行ないましたが、45次隊が来る時はなんと0回。これも相当珍しいことでしたが、今年はどうなりますことやら・・・そうこうしているうちに待ちに待った「南極大陸」が視界に現れてくるのです。

しらせより大きなテーブル型氷山の写真
こうなるとチャージングをしますの写真
(しらせより大きなテーブル型氷山)
(こうなるとチャージングをします)

12月2日(金)

(天候:快晴・最大瞬間風速:8.8m/s・気温(最高:2.4℃ 最低:-6.7℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 47次隊が来るまででこれが最後となる、宿泊を伴う野外調査が越冬隊長他2名で出発しました。この調査は、例年行われている調査で、アデリーペンギンの巣の数を数えることと、その他に新しい巣が出来ていないかを探索するものです。調査場所は、オングルカルベン、弁天島、大豆島、ルンパなど合計8箇所での調査で、走行距離はなんと約200㎞にも達するのです。気温が上昇して暖かくなってきていることと、走行距離が長く日程が2泊3日という短い期間での調査ですから、スピードが出て、また海氷も気温の上昇に伴い、多少不安定な時期になってきていることもあり、小回りのきくスノーモービルでの出発です。安全に十分注意して無事に帰着することを願っています。
 昨日の夕食後、久しぶりに昭和基地管理棟のすぐ前をアデリーペンギンの集団が通過していきました。久しぶりだったものですから、発見した隊員が全館放送でペンギンが通過していることを放送すると、なんと2分足らずで1番のりの隊員が駆けつけ、その2分後に2番目の隊員が、以降どんどん駆けつけ、最終的には10人がカメラ、ビデオを持って通過現場で撮影をしていました。気温も0℃程度でしたので、中には短パンで撮影していた隊員も・・・。ペンギンセンサスで数多くの集団を見て少しペンギンに対してひいていましたが、でもペンギンが海氷上をヨチヨチとそして腹ばいになって前進する姿を見て、このしぐさが一番可愛らしく、ペンギンはやっぱりこうでなくてはいけませんね。

ペンギンの写真その1
ペンギンの写真その2
(久しぶりの登場です。やっぱりこれくらいの数が可愛いですね)

12月3日(土)

(天候:快晴・最大瞬間風速:8.8m/s・気温(最高:2.4℃ 最低:-6.7℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 47次隊を乗せたしらせがフリーマントル港を出港したそうです。17日には、昭和基地に向けて47次隊員を乗せたヘリコプターによる第1便が到着する予定です。46次隊だけの昭和基地もあと残すところ2週間。47次隊員が、そして1月2日から夏オペレーションの支援として、しらせ乗員がこの昭和基地にやって来るのです。いよいよ、私たちの帰国が現実的に考えられるようなところまでようやくきました。帰りは約40日かけてシドニーに到着。その後、約1週間ほど停泊し、3月28日に日本に向けて飛び立つことになっています。隊員の中には、すでにシドニーに着いてからの観光ポイントなどの情報を仕入れている人もちらほらと・・・私は、太陽の日差しを充分に浴びて、のんびりゴルフでもしたいなぁ~なんて思ったりもしています。
 その47次隊が昭和基地に到着すると、輸送で相当忙しくなりますので、クリスマスを前倒しで8日に、12月の誕生会と合わせて行なうことになりました。昭和基地で迎える2回目のクリスマス。去年は氷上輸送をしている真最中で、20時から翌朝の5時までの作業をしていましたので、クリスマスどころではありませんでした。今年は多少早いのですが、昭和基地で迎える最後のクリスマスをゆっくり楽しもうと思っています。私はレクリエーションの担当で企画する側で、ギリギリまで準備でばたばたしそうです。とにかく46次隊のみの生活も残りわずかとなってきています。

昨年の氷上輸送の模様の写真
(昨年の氷上輸送の模様です)

 また、明日は恒例の「そうめん流し」を行なうことになっています。これもレクリエーション係が担当ですので、数日前から準備を行なってきました。適当な傾斜のある氷山を見つけて、そうめんの流れる溝を作ります。ピッケルである程度の溝を作り、そこにポリタンクに入れてあるお湯を流し、溝を広げていきます。これを数回繰り返し溝の完成です。総延長約15mの立派な?コースの出来上がりです。さっそく、テストでそうめんを流してみましたが、なかなかの流れっぷりです。この様子だときっと参加する隊員も満足してくれることでしょう。明日が楽しみです。

そうめん流しの「溝」ができましたの写真
(そうめん流しの「溝」ができました)

12月4日(日)

(天候:曇・最大瞬間風速:9.7m/s・気温(最高:1.8℃ 最低:-3.4℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 今日の休日日課の午後からは、数日前からコース?作りなどで準備していた「そうめん流し」が23名の参加で行なわれました。
 多少、雲がありましたが、「そうめん流し日和?」で、ほとんど風も無く、気温もプラス1度を越えていましたが、気温以上に暖かく感じたくらいの中でのそうめん流し。普通は「流しそうめん」と呼びますが、ここ昭和基地では、なぜか「そうめん流し」と受け継がれています。いつの頃から始まったのか?ということはよく分かりませんが、かなり以前から行なわれているようです。隊によっては極寒時期の真冬に行なっている隊もあるようですが、やっぱり「そうめん流し」といえば、夏の風物詩で夏の代表的な行事ですので、46次隊はこの12月(南極では初夏)に実施したということです。
 氷山に人工的に作られたソーメン流しの溝に、基地からポリタンク6個分もの水を持ってきましたので、それをまず流し、ソーメンがスムーズに流れる下地を作ります。それからいよいよ水と一緒にソーメンを流します。溝の上を左右にはさみ10名の隊員がソーメンの流れてくるのを今か今かと待っています。そこに水と共にソーメンを流すと歓声が・・・
 取り遅れないように一斉に箸で流れてくるソーメンをすくい取ります。最初は水の勢いが強く、一気に流れてしまい、取りそこねた隊員がほとんどでしたので、次からは水の量を調整しながら流すと今度はうまくすくいきれたようでした。溝の上流でほとんどすくい取られてしまって、下流の隊員が少ししか取れないということもありましたが、楽しそうに夏の風物詩のソーメン流しを堪能していました。

美味しそうに食べていますの写真その1
美味しそうに食べていますの写真その2
(美味しそうに食べています)
(裏方の皆さん、ご苦労さまです)
(定番のカキ氷用シロップが今回もあります)

 また、2日に出発していたアデリーペンギンの調査隊も無事調査を終えて帰着しました。これで47次隊が来る前までの野外観測も全て終了です。真冬の厳しい条件の中での観測支援が、今、思い出すと遠い昔のような気がしています。とにかく、事故無く野外観測が終了して一安心です。あとは47次隊の引継を兼ねた観測支援が中心となり、地学部門を始めとする観測が中旬あたりから始まる計画になっています。ここまで無事故できましたので最後まで気持ちを引き締めて、頑張りましょう!!

12月5日(月)

(天候:快晴・最大瞬間風速:16.6m/s・気温(最高:4.1℃ 最低:-3.4℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 昨日から今日の天候次第では、47次隊を迎え入れる準備の一つ、夏宿用の布団干しを行なう予定としていました。その気になる天候は、午前中は天候が快晴、しかし、風が10m/s以上吹いておりましたので、これだけ強風だとせっかく干した布団が飛んで行ってしまいますので、様子を見ることにしたのです。気象担当に今後の予報を教えてもらいましたが、徐々に風は弱まり、午後からは大丈夫でしょうということでした。さすが気象隊員の予報は正確です。予報どおりの天候となり布団干しを行なったのでした。
 まず、第1夏宿にある敷布団、掛け布団、枕(約40組分)をトラック3台に積込み、Aへリポートに向かいます。そのAへリポートにブルーシートを敷き詰め、そこに順番よく並べます。次は第2夏宿の敷布団、掛け布団、枕(約44組分)を運び出しトラックに乗せて再びAへリポートに運び並べて天日干しを行ないました。
 14時49分にはなんと、4.9℃を:記録。少し風が吹き始めてきましたので、思ったほど暖かいとは思いませんでしたが、天日干しにはちょうど良い天候となったのでした。参加した隊員も久しぶりに入る第1、第2夏宿。昨年の夏作業を、干した布団の上に「大の字」になって寝転びながら、ほんの少し思い出していました。
 これでまた受入の作業が一つ終了していきました。

(1)第1夏宿から運び出しの写真
(2)Aヘリポートに干しますの写真
((1)第1夏宿から運び出し)
((2)Aヘリポートに干します)
(3)ひたすら干しますの写真
(4)完成ですの写真
((3)ひたすら干します)
((4)完成です)
(6)おまけの写真
(6)おまけです。(ブルーシートを片付ける時、突然強風が・・・)

12月6日(火)

(天候:晴後薄曇・最大瞬間風速:24.0m/s・気温(最高:3.0℃ 最低:-3.2℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 今日も最高気温がプラス3℃。見る見るうちに雪が解けていきます。道路には雪解け水がいたるところに流れ込んでおり、当然ですが舗装されていない道路ですから水溜りがあちらこちらにできています。これも暖かくなってきた証拠です。
 しかし、今年は昨年より雪が多く、基地周りにはまだまだ残雪があります。47次隊が来るまであと10日となりましたが、主要道路の除雪は連日、夜遅くまでの作業が行われておりますが、まだまだ除雪しなければならないところがたくさんあります。
 また、融雪を促進するための砂撒きも同時に行ないながら、作業が進められています。日差しが日に日に強くなってきていますので、砂を撒いて黒くなったところは見る見る解けていっているのですが・・・この1週間が勝負です。47次隊が来て夏作業が出来るように準備をするのも重要な業務となっているのです。

砂まき用の砂を採取していますの写真
砂を撒いたところは解けていますの写真
(砂まき用の砂を採取しています)
(砂を撒いたところは解けています)

 さて、久しぶりにTV会議が行なわれていました。今回は千葉県京葉小学校との中継でした。小学校の会場には夏隊員として参加した極地研究所の本吉教授(地学)も講演のため訪れており、10ヶ月ぶりに再開することができました。
 また今回は、野外活動では欠かせない「氷厚測定」を実演していました。これは氷にアイスドリルで穴を開け、氷厚を測る測定器がどのような仕組みで、氷の厚さを測定するのかを横から見えるように工夫をしていました。簡単な仕組みではありますが、実際に私も横から見たのは初めてで、理屈では理解していたのですが、このように実験で再現し、見ている子ども達に納得してもらおうとする、研究者魂が垣間見えたところでした。感心させられました。

氷厚測定の様子を再現していますの写真
(氷厚測定の様子を再現しています)

12月7日(水)

(天候:曇時々晴・最大瞬間風速:18.1m/s・気温(最高:2.9℃ 最低:-2.7℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 明日(8日)にクリスマスパーティー兼誕生会が開催されますが、クリスマスといえば「クリスマスケーキ」です。そのケーキを居住棟ごとにそれぞれ工夫を凝らして作成することになりました。土台となるスポンジ(直径15cm)はありますので、それに独自のデコレーションをしていきます。それぞれの居住棟には喫茶係員がうまい具合におりましたので、その隊員を中心にとても楽しそうにケーキ作りが行なわれていました。
 私の居住棟はといいますと、喫茶係長がいますし、意外にも細やかでデリケートな作業を得意?としている隊員がいますので、私はほとんど何もすることがありませんでした。
 また、数日前からクリスマスパーティーに備え、ツリーの飾りつけやメイン会場となる食堂の飾りつけと見た目はずいぶんとクリスマスらしくなってはきたのですが、いかんせん、白夜のため外が暗くならないので、どうも妙な気分です。カーテンは閉めきってはみますが、日差しが漏れてしまいますので、多少暗くなる程度しかなりませんが、これが南極昭和基地でのクリスマスなのです。

慣れない手つきで頑張っていますの写真その1
慣れない手つきで頑張っていますの写真その2
(慣れない手つきで頑張っています)

 ここ最近の好天、高温ですごい勢いで雪が解けていっています。この1週間の最高気温が5日の4.8℃を最高にプラスを連続で記録しています。明日も好天が予報されており、最高気温が更新されそうな感じです。真夏、真っ盛りの昭和基地です。
 しらせが来るまで後、10日となりました!!

12月8日(木)

(天候:晴一時曇・最大瞬間風速:17.8m/s・気温(最高:5.8℃ 最低:-1.4℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 今日も暑かったぁ~。朝から天気が好く真夏の太陽が照りつけ風も微風と温度が上昇する条件が揃っていましたので、もしかすると今日はこの数週間の最高を記録するかもと思っていましたが、案の定、11時09分にプラス5.8℃を記録したのです。最低気温もマイナス1.7℃(23時48分に記録)しかなく、一日平均気温がプラス1.7℃となったとても暖かい1日となったのです。
 そんな暖かい中、私はフィールドアシスタント(F・A)隊員と海氷厚を測定していました。これはしらせが着岸するポイントをどこにするか、またその着岸ポイントから氷上輸送を行なうためのルート設定のための氷厚調査です。
 実際に氷厚を測定してみたら、この好天で海氷とその上に積もった雪が思ったよりは解けてはいませんでした。積雪は50cm以上でしたが、雪質が北海道のものと似てきており随分柔らかくなっていました。
 また、海氷の厚さはほとんどが1m以上で今はまだ全く問題ないですが、これからさらに温度が上昇し、氷の上の雪が解け、直接海氷に直射日光が当たり表面からどんどん解けていきシャーベット状になり、その後パドルになっていき最後は貫通してしまうのです。
 これから刻一刻と海氷の状態が変化していきますが、どうにか氷上輸送の期間中(12月24日~1月3日まで)は海氷が割れないように祈るだけです。
 さて、今日は12月の誕生会兼クリスマスパーティーが盛大に行なわれました。数日前からツリーと会場(食堂)の飾り付けが出来上がっていましたので、雰囲気も明るさを除いてはどうにかクリスマスパーティーらしくなりました。トナカイ、サンタクロースも登場し、一人ひとりにクリスマスプレゼントも手渡され大盛況!!その後、全員からプレゼントを提供してもらいそれを景品とした大ビンゴ大会、また今日のために居住棟ごとで一生懸命につくられたクリスマスケーキ!でも「あみだくじ」でどこのケーキが食べられるかはわからないドキドキさに会場も再び大盛り上がり。約2時間余り、47次隊の受入準備や持帰り品の準備などでとても忙しい中、全員が盛り上がったこれもまた記憶に鮮明に残るひと時となったのでした。

ケーキの写真その1
ケーキの写真その2
ケーキの写真その3
ケーキの写真その4
ケーキの写真その5
(どれも力作です)

12月9日(金)

(天候:曇後晴・最大瞬間風速:7.4m/s・気温(最高:3.6℃ 最低:-3.0℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 21時過ぎに突然、全館放送が・・・「あと、少々で昭和基地上空をバスラー機が通過する予定」一体、何のことか?どうやら突然、21時13分に「昭和ステイション?」という無線が通信室に飛び込んできたのです。よく話を聞くと、S17地点で給油するノボラザレフスカヤ基地からマラジョージナヤ基地へのフライト途中での飛行機からの呼び出しでありました。一番驚いたのは、通信隊員で、最近は野外活動も一段落し、無線でのやり取りも基地内での隊員同士のみでしかなくなっていた中での突然の聞き覚えの無い声で、しかもロシアなまり?の英語で話しかけられたことが一番、びっくりしたことでしょう。
 これは、以前に計画されていたそうで、12月1日に本来であれば来るはずであったのですが、延期となり今日昭和基地上空を通過したのです。
 しかし、余りにもナマリ?が強いため、なかなか聞き取りづらかったらしく、S17地点に給油に寄るのか?よらないのかも・・・
 その後の通信記録から最初の呼びかけから45分後の22時15分に再び呼びかけてきたらしく、これは推測に過ぎませんが、多分、S17地点で給油して離陸したことを伝えたのではと勝手に推測をしてみたのです。最後に「サヨナラ~」という言葉が返ってきていたらしいです。突然の来客に、全館放送を聞きつけてカメラを持ってダッシュしている隊員もおり、俄かに基地内での動きが活発になった瞬間でした。

バスラー機の写真その1
バスラー機の写真その2
(突然来て、あっという間に去って行ったお客さんでした)

12月10日(土)

(天候:晴時々曇・最大瞬間風速:7.4m/s・気温(最高:4.9℃ 最低:-3.9℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 今日、明日と休日日課ですが47次隊が来ると雪上車による氷上輸送やヘリコプターでの空輸が1月20日まで続きます。この間、元旦を除いて休日今までのようには取れなくなります。ですから、今日と明日の連続で取れる休日日課はこれが最後となります。
 その最後の休日日課の行事として、先週、「そうめん流し」を行いましたが、仕事などで参加できなかった隊員がいましたので、2回目を行ないました。参加人数は9名。1週間前に氷山の斜面を利用して作成したそうめん流し用の「溝」が暖気の連続でかなり解けており、溝の表面がザラザラ状態になっていましたので、無理やりというか強引というかポリタンクからの水の量を多くして、流れを急激にして何とか、途中で引っかかりながらも流れていくそうめんを美味しそうに、そして満足そうに食べていた隊員の笑顔がとても印象的でした。

ファイナル「そうめん流し」の写真
(ファイナル「そうめん流し」です)

 その後、ソフトボールの試合が20名の参加でCへリポートで行なわれました。以前にも紹介しましたが、恒例になっている親善ソフトボール大会を越冬隊と次隊で行い、今まで、越冬隊が負けたことがないという伝説です。この伝説を崩さないための強化練習も含まれていますので、試合をする隊員もこの伝説を守り抜くという気持ちで真剣に?取り組んでいました。海氷上と異なり、しばらくぶりの陸上でのソフトボールの感触はいいものですが、足がもつれる隊員もあちらこちら・・・こちらもおおいに盛り上がったのでした。

1年ぶりのアスファルトの上でのプレーの写真その1
1年ぶりのアスファルトの上でのプレー写真その2
(1年ぶりのアスファルトの上でのプレーです)

 17日にしらせからヘリコプターで第1便が到着し、生鮮食料品がようやく届きます。やはりトマトをがぶりなんて良いですね。ここ数ヶ月、当然のように食料が減っていき、生鮮品が全てなくなっています。そんな中で農協係が基地の中でカイワレ、もやしを育て、生野菜を提供してきましたが、ついにそのもやし栽培が本日をもって終了となりました。このもやし、種を水にひたし毎日3回水をやり、約1週間で10cm程度に成長し、そこで収穫します。出荷の際には通称「もぎり」といって根と黄色い葉をもぎります。このもぎりは農協係員が中心になって毎回8~10名程度で雑談をしながらもぎっていました。約30~40分程度ですが楽しいひと時でした。この作業も今日で終了。これで越冬生活の行事がまた一つ終わって行くのでした。

最後のもやしの写真
(最後のもやしです)

12月11日(日)

(天候:快晴・最大瞬間風速:6.4m/s・気温(最高:5.5℃ 最低:-3.1℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 今日も快晴で、夏真っ盛りの休日日課の今日、27回目の係留気球によるエアロゾル観測が行われ、この観測も本日をもって終了となりました。しらせからの17日以降、第1便を含めてヘリコプターでの空輸が行なわれることになっていますので、そのヘリコプターの安全確保の意味と大気中にヘリコプターから出る排気ガスが多くなりますので、大気のサンプルとしては使用できない等の理由によってしらせが来る前に終了としたそうです。

最後の観測の写真
(最後の観測です)

 この27回の観測で多くのサンプルデーターが採取され、今後、帰国してから詳しく分析、解析をすることになっています。南極域における地球規模の大気変化観測、下層対流圏のエアロゾル鉛直分布観測を目的としたこの係留気球によるエアロゾル観測結果が、今後地球レベルでの環境対策に必ずや役立つことになるのです。関係した隊員と支援協力をした隊員の皆さん、真冬での観測はとても厳しいものがありましたが、当初計画されていた観測が無事終了することができ、ご苦労さまです。そしてお疲れ様でした。
 また、しらせが来る前の最後の休日日課でもありましたので、数人が最後の野外研修で昭和基地周辺を堪能していました。管理棟の目の前にある向かい岩への登頂、メホルメンまで早朝から出発する組も・・・。最後の休日を楽しんでいました。
 また午後からは、窯(かま)納会と称する焼肉も行なわれました。これは廃棄物を燃焼させる通称「クスクス君」、この46次隊で随分と活躍し、使用済み木材を燃焼し続けてきましたが、本日をもってこの窯はいったん閉鎖され、このあと綺麗に清掃し、47次隊へと引き継ぎが行なわれることになっています。この窯の越冬中の活躍を労う意味での窯納会、総勢15名が参加しこちらも最後の休日日課を楽しんでいました。

多くの隊員が参加の写真
ドラム缶の蓋を鉄板代わりにしていますの写真
(多くの隊員が参加しました)
(ドラム缶の蓋を鉄板代わりにしています)

12月12日(月)

(天候:晴後一時薄曇・最大瞬間風速:5.9m/s・気温(最高:3.6℃ 最低:-5.1℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 しらせが順調に昭和沖に近づいているそうです。もしかしたら予定の17日のヘリコプターによる第1便が前倒しで行なわれる可能性が出でくるかも・・・
 47次隊の受入作業の目玉であった基地周辺の除雪がなんとか皆さんの頑張りで、本日をもってひと段落。最後の大物であった気象棟前に大量に集められた雪をどうにか全て運び終わり、これで47次隊が運び込む大量の荷物を置く場所が確保できたのです。幹線道路もこの好天で随分と土も乾き始め、場所によっては土ぼこりも立ち始めるくらいまでになっています。この土ぼこりも昭和基地特有のもので、47次隊が来たらさぞかしびっくりするでしょう。私も南極昭和基地にヘリコプターから降りて周りを見渡したら、ここが南極?と正直に思ったくらい茶色の割合が物凄く多く、どうして?なぜ?ここは火星?と思った隊員は少なくないはずです。47次隊もさぞかし驚くことでしょうね。

除雪が終了して、ハイ、ポーズの写真
(除雪が終了して、ハイ、ポーズ

12月13日(火)

(天候:快晴・最大瞬間風速:5.2m/s・気温(最高:0.4℃ 最低:-5.8℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 最近の昭和の気温は真夏を思わせる高温?が続いていましたが、今日も快晴でポカポカ陽気になるのかと思いきや、最高気温も0度を少し越えただけの肌寒く感じた1日となりました。普通であれば0度となると身震いするような温度ですが、ここ最近の真夏の灼熱の太陽の日差しで体が慣れてしまったのか、少し温度が普通に戻っただけで寒く感じるとは・・・
 庶務室も今日は28℃程度でまだ、我慢できる温度でしたが、連日30℃を超えており、多少お客さんが来て人数が増え始めると温度も上昇。これでは仕事も出来ないので、どうにかして庶務室の温度を下げようと考えました。少し前までは中型の扇風機が順調に作動していたのでどうにか耐えられたのですが、扇風機も連日最大で稼働させていましたらとうとうダウン・・・。モーターが故障してしまい、とうとう動かなくなってしまいました。これでは全く風が循環しませんので、まず、庶務室の送風口が作動していないことを発見。すぐさま、機械隊員を呼び修理をしてもらい風が来るようにはなったのですが、私のデスクまでは風が全く来ません。(たどりつきません)これは間に書棚が5つほどあり障害物となっております。そこで庶務室で同居しているLAN担当隊員が、工事用の送風機を建築部門から借用してきて多少音はうるさいのですが、何とか風を送ることに成功したのです。しかし工事用ですから送風の威力はありますが、その反面、音が物凄く、通常に会話ができないくらい。そんな贅沢をいってもしょうがないので、音は我慢しても室温が下がってくれれば御の字です。
 その結果、見事に2.0~3.0℃は温度が下がり、以前の30℃オーバーの時よりは過ごしやすくなりました。この送風機を使用しようとした思いつきに感心させられましたと同時に、庶務室の部屋の中に冷水を持込み、これで温度が下がるのかも実験していました。こんな南極昭和基地で暑さ対策にこれほど苦労しようとは思いませんでした。
 しかし、この感覚もあと残すところわずかです。南極で暑さ対策が必要だということもポイントでしょうね。

工事用送風機で風を入れてますの写真
(工事用送風機で風を入れてます)

 さて、ドームふじ基地で掘削が続けられていますが、12日には掘削震度2300mを突破。第1期掘削作業2,500mを超えるのもこちらもあとわずかです。

12月14日(水)

(天候:晴一時曇・最大瞬間風速:10.1m/s・気温(最高:-0.4℃ 最低:-5.0℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 47次隊の受入作業も大詰めです。今日は手空き総員で47次隊が夏の間、生活をする第1、第2夏宿の大掃除を行ないました。いろいろな準備のために夏宿は数回訪れていますが、いよいよ今日の大掃除が終了すると、ほぼ、受入準備が整います。
 私たちもちょうど1年前、この夏宿で南極生活がスタートしたのをまるで昨日のように思い出します。個人には個室など無く、一つの部屋に2段ベッドが2つ、4人部屋。それも仕切りは薄いカーテンのみ。まるで合宿所のような環境での生活。
 すぐさま、夜中の氷上輸送で慣れない雪上車で、しらせから降ろされた建設資材、観測資材などが満載にされた2トンぞりを、見晴らし岩の荷降ろし場までの数百メートルを往復したのも思い出されます。真夏の昭和といえども、夜は冷え込み(マイナ7~8℃くらいだったように)やっぱり南極は寒いなぁ~なんて思っていたのが、今では暑さ対策をどうしようかなんて考えるようになっている自分が恐ろしいです。これも昭和基地で越冬してきたことの表れなんでしょうかね。
 また第2夏宿は、しらせ乗員が支援に来てくれる1月2日以降、生活する場所ですが、ここは一部屋は2段ベットが一つで二人部屋なので当然のように入口の仕切りはカーテンのみです。またここには水道がありません。水は毎日ポリタンクで運び込み、それも給湯器にいれてお茶やコーヒーを飲む程度、当然のように風呂は無く、トイレもバイオトイレが一つ、男子用のトイレは外に単管、合板で簡易的に作ったトイレが3つ。(ポリタンクにめがけてします。)ここは本当に睡眠するだけの環境です。一つ救われたのがインターネットが(多少スピードが遅いのですが)出来ることが唯一の救いでした。
 この第2夏宿は10部屋の棟が2つで構成されています。昔の越冬隊の居住棟だった建物を再利用しています。
 この第2夏宿では第1夏宿で食事、風呂を済ませ毎日が疲れきって寝るだけの生活でしたが、ほぼ毎日、サロンでワイワイ、ガヤガヤと楽しい時間を過ごしたのが今ではとってもいい思い出になっています。ここで気持ちが一つになっていったような気がします。
 それももうすでに1年前。47次隊はこの夏宿生活で一体、どんな思いをもって生活するのでしょうか。

ほこりだらけになりながら掃除してますの写真その1
ほこりだらけになりながら掃除してますの写真その2
(ほこりだらけになりながら掃除してます)
迎え入れの準備ができましたの写真その1
迎え入れの準備ができましたの写真その2
(迎え入れの準備ができました)

12月15日(木)

(天候:快晴・最大瞬間風速:6.7m/s・気温(最高:2.6℃ 最低:-6.2℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 今日は47次隊が来てからの受け入れ体制等を確認するために全体会議が開催されました。
 氷上輸送や空輸で届いた大型物資などのものを荷受し、それらが使用される場所に46次隊がトラックに積み込んだ物資を配送します。その輸送に関する詳細やトラックチームの編成などが詳しく話されました。特にユニック車の操作は危険を伴いますので、事前に練習を行なうことも確認されました。荷物の重量がかなり重くなっていますので、吊り上げる際にきちんと玉掛が出来ていなかったりすると荷物がバランスを崩し、最悪、落下ということも想定されます。残り僅かとなったこの時期に大きな事故が起こる確率がとても高くなっているようなので、充分に安全に気をつけながら輸送作業をすることも周知されました。

真剣に講習を受けていますの写真その1
真剣に講習を受けていますの写真その2
(真剣に講習を受けています)

 またヘリコプターによるオペレーション(野外観測)についても、日程の確認、人員調整なども行なわれ、野外観測の体制も整ったのです。
 この野外観測、夏の観測ですが日中はプラス気温になっても夜には確実にマイナスになり、夏期間とは言えども、まだまだ冷え込みます。また陸上での観測が中心になりますが、湖沼での調査(ゴムボートに乗り、底の地層採取)なども計画されていますので、重い観測機材など約20kg以上の荷物をベースキャンプから背負い約1時間以上も歩かなければならないところでの観測もあるそうです。いずれにしても充分に気をつけて観測をして頑張ってください。

12月16日(金)

(天候:快晴・最大瞬間風速:9.4m/s・気温(最高:1.9℃ 最低:-5.7℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 いよいよ、明日、47次隊が来ます。明日の午後からヘリコプターで47次隊の越冬隊長をはじめとする隊員11名が先ず降り立つ予定になっています。明日はヘリが2便のみの運行となりそうなので、その他の隊員は18日に来ることになっています。
 47次隊とのご対面も楽しみなのですがビール、生鮮食料などを楽しみにしている隊員も・・・
 また隊員それぞれに家族からの荷物も来ます。これもまた楽しみにしています。いずれにしてもヘリコプターでこの昭和基地に来るものは全て大歓迎です。

46次隊、ちょうど1年前ですが、緊張してますねの写真
(46次隊、ちょうど1年前ですが、緊張してますね)

 47次隊が気持ちよくこの昭和基地で業務や生活できるようにと随分前から受け入れ体制を整えてきましたが、何とか完成しました。

今年の歓迎看板ですの写真
(今年の歓迎看板です)

 特に1月末まで生活する第1、2夏宿の準備はほぼ完了です。今日は最後の点検もおこない、し忘れていることが無いか等も確認しましたが、準備万端です。後は47次隊が来るのを待つのみです。

12月17日(土)

(天候:・最大瞬間風速:7.4m/s・気温(最高:2.1℃ 最低:-4.4℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 とうとうやって来ました。47次隊がヘリコプターに乗ってこの昭和基地に到着したのです。今年の2月11日にしらせが昭和沖を出港してから約10ヶ月ぶりに46次隊以外の「人」との再会です。真新しい夏ヤッケ、ピカピカに艶のあるヘルメット、白い顔、私たちから見るとまるで都会っ子のような風貌です。  
 それに比べこちらの汚いこと?では無く越冬の汗とドロの結晶で汚れたヤッケが先輩越冬隊の威厳を現すのです。ちょうど1年前は全く逆の立場45次越冬隊の姿を見てさすが越冬隊、越冬をしただけのオーラが感じられたものでしたが果たして47次隊は私達を見てどのように感じたのかは後日、歓迎会がありますのでゆっくり聞いてみたいと思います。とにかく47次隊がやって来たのです。

しらせヘリが来ましたの写真
47次隊とのご対面ですの写真
(しらせヘリが来ました)
(47次隊とのご対面です)

 また、私達への第1便と生鮮食料も同時に届けられました。第1便は約3kg以内の重量という制限がついていますのでそれぞれの箱の大きさはそれほど大きくは無いのですが、中に入っているものは重さ以上に中身が詰まっているものばかりかと思います。越冬3回目の隊員が、昔は家族からの手紙、子供の写真などが主なものですぐさまその場で手紙を取り出し涙を流しながら読んでいた隊員も居たとか、照れ隠しのためにかはわからないがそのまま荷物を持って自室に閉じこもってしまう隊員も居たということを聞きました。今はメール、電話もほとんどが日本国内に居るときとほぼ同じ状況でリアルタイムにメールの送受信が行なわれたり、普通どおりに電話が出来たりします。ですので、この第1便の中身と重みは相当移り変わってきているのです。ちなみに私はPCの外付けHDD、ビデオテープを入れてもらいました。多分、昔では考えられなかった物でしょうね。
 現在の第1便のもっぱらの役割は、生鮮食料品の方にシフトしているような気がしているのでは?とベテラン隊員の独り言がやけに寂しそうに聞えてきました。ちなみにこの越冬3回目のベテラン隊員は手紙が数通入っていたようで空けたその場で読みふけっていたのも印象的でした。

自分宛の荷物を探していますの写真
待ちに待ったトマトが・・・の写真
(自分宛の荷物を探しています)
(待ちに待ったトマトが・・・)

12月18日(日)

(天候:曇一時雪後一時晴・最大瞬間風速:9.2m/s・気温(最高:0.0℃ 最低:-4.7℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 昨日のヘリコプターでやって来た47次隊員は、結局2便、総勢11名が来ましたが、今日は残りの18名がやって来たのです。これで昭和基地で生活する隊員が全員昭和の地に降りたのです。残りは野外観測組としてルンドボークスヘッタに向かう隊員、S16で作業をする隊員を除いて全員が到着したのでした。  
 昨日着いた隊員同様、初々しさが残るヤッケとヘルメットを着用した隊員が勢ぞろいです。47次隊員もこの昭和基地での第1印象はどうだったのでしょうか。今日は天候もスッキリしなく、多少風もあり、温度もそれほど上昇せず、  
 最近の昭和にしては珍しく肌寒い感じがしました。昭和基地へとついたら、いきなりポカポカ陽気というのもいいのですが。今のうちにちょっぴり南極の寒さを肌で感じていたほうが後で大変役に立つことになるでしょう。
 また今日からの空輸で46次隊用の残り1月余りの生鮮食料、不足していた飲み物を含め約5.5tの食料が運び込まれたのです。
 夕食時には、届いたばかりの新鮮なフルーツの盛り合わせの食べ放題も登場、久しぶりのおいしい味や食感を楽しみました。

やっぱり、新鮮な果物は美味しいですの写真
(やっぱり、新鮮な果物は美味しいです)

12月19日(月)

(天候:晴・最大瞬間風速:9.4m/s・気温(最高:0.4℃ 最低:-5.7℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 47次隊が早速、夏作業に取り掛かっています。旧放送棟の解体をし、別の場所に再度、組み立ててこれを倉庫として再利用するそうです。一生懸命に作業している47次隊の皆さん、怪我をしないように安全第1で作業、頑張ってください。
 夕食後には、47次隊に海氷上での安全講習会が行なわれていました。これはタイドクラック、パドル、シャーベット状アイスなど海氷上には危険な箇所が多くあります。特に暖かくなってきているこれからの時期に危険度が増していきます。タイドクラックの周りの雪が溶け出し、クラックの端がよく見えなくなっていたり非常に柔らかくなっていたりで、自分では越えたと思っていても踏み抜いてしまうこともあります。クラックの幅、深さもどんどん変化していきますので、このあたりの状況を実際に目で見てもらって、状況を把握してもらったのです。講師の話を真剣に聞いている47次隊員が印象的でした。

47次隊の皆さん、腰が引けてましたの写真その1
47次隊の皆さん、腰が引けてましたの写真その2
(47次隊の皆さん、腰が引けてました)

 また、今日の朝1番のヘリコプターでルンドボークスヘッタに4名(地学系3名、フィールドアシスタントの1名)が出発したのです。夏の沿岸地域の調査や47次隊への引継などが目的になっていますが、帰着予定が12月30日までとなっている隊員もいます。また1月2日に再度出発し23日までの計画です。もしかしたら天候の状況ではヘリコプターが飛ばない可能性があり、その場合昭和基地へは帰ってこずに次の予定地スカルブスネスに直行することも考えられます。昨日は夜遅くまで予定変更を考えての装備品等の準備をしていたようでした。

12月20日(火)

(天候:晴後薄曇・最大瞬間風速:7.7m/s・気温(最高:3.4℃ 最低:-8.4℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 今日は47次隊の歓迎会が「19広場」でバーベキューを囲みながら開催されました。
 両隊とも一部、野外に出かけている隊員がおりましたが、それ以外の昭和基地にいる全員が、初めて一同に会したのです。
 バーベキューの台をはさみ46次隊と47次隊が向かい合わせになり、まずは46次越冬隊長より歓迎の挨拶、また歓迎委員会委員長の挨拶が行なわれました。  
 どちらの挨拶の中でも47次隊に対する全面的なサポートをしますと挨拶がありました。その後に47次隊の越冬隊長より支援、協力をよろしくお願いしますとの挨拶が。越冬3回目の環境保全担当隊員の乾杯で歓迎会がスタートしました。この日のために調理隊員が腕によりをかけた最高のご馳走を用意。これには47次隊員もビックリしていましたが、しばらくぶりのご馳走に話をするのが後回しするくらい一生懸命に食べていました。
 最初は、ほとんどがお互いに初対面でなかなか話しづらそうでしたが、徐々に時間が経過し始めると少しずつお互いに挨拶し合っていました。その後部門ごとでの自己紹介が行われようやく顔と名前が一致という隊員も多かったと思います。
 18時からスタートし、肌寒くなってきましたので20時前に47次隊の環境保全担当隊員の元気な閉めの乾杯でお開きとなりました。最後は両隊全員による写真を昭和基地看板前でパチリ!多少寒かったですが味のある歓迎会になったのではと思います。

久しぶりの私の登場ですの写真
19広場でのご対面ですの写真その1
19広場でのご対面ですの写真その2
(久しぶりの私の登場です)
(19広場でのご対面です)
46次隊、47次隊でパチリ!の写真
(46次隊、47次隊でパチリ!)

 また、本日はBAR開催日でしたので、初めて47次隊員をBARに招いて更に盛り上がったのでした。
 この歓迎会やBARへの招待で随分、交流が深められまた、隊ごとの垣根も取り払われたと思います。これからといっても後1ヶ月少々ですが、氷上輸送、空輸が始まりますので、お互いが協力しあっての作業になります。安全で尚且つスピーディーに効率よく輸送が終了するようにお互いが頑張れる意思疎通が出来たのではないかと思います。

12月21日(水)

(天候:雪時々晴一時曇、霧を伴う・最大瞬間風速:5.9m/s・気温(最高:0.5℃ 最低:-5.7℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 持帰り物品の支度に大あらわの昭和基地です。予定では24日にしらせが接岸することになっており、すぐに47次隊が持込む大型物品(SM100、30型雪上車等)の氷上輸送が始まり、その後一般物資が氷上輸送でどんどん持込まれます。その後に46次隊の持帰り大型物品(廃棄物も含む)氷上輸送が計画されており、その物品の重量測定などが急ピッチで行なわれています。使用済み雪上車、トラックなどをラフタークレーンで吊り上げ重量を測ります。当時大活躍したKC-20型の雪上車、現在の雪上車に比べればとても小さくて比較にならないくらいですが、当時は非常に重宝され格段と作業効率が上がったとされるこの雪上車。46次隊で持帰ることになりますが、ようやく全ての任務を終えて私たちと帰国するのです。本当にお疲れ様でしたといってやりたいと思います。
 その他にもトラック、ダンプ、ブルドーザー、など多くの物も一緒に帰国することになります。こちらもお疲れ様でした。

12月22日(木)

(天候:快晴・最大瞬間風速:7.7m/s・気温(最高:6.4℃ 最低:-5.7℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 今日は最高気温がなんと6.4℃。1日の平均気温が2.4℃とこの夏一番の温かさとなりました。南極の夏、真っ盛りといったところでしょうか。日本では北日本を中心に日本全体が寒くなっているようでお気の毒です。
 さて今日は、消火訓練と油流出事故対応訓練と2つの訓練が行われたのです。
 今回は本日の16時から消火訓練それも放水を伴う訓練を行うという予告が出ていました。
 また安全主任が発炎筒を利用しての白い煙付きのサービスありで、いかに本番と同様の状況を作り出すかなんですが、この隊員ならではの発想でした。

久しぶりの放水ですの写真その1
久しぶりの放水ですの写真その2
(久しぶりの放水です)

 やはり久しぶりのせいからか、多少手間取り結局、出火から約15分後に放水開始です。参加隊員は汗だくになりながら防火服を着て所定の位置に無事着き、いざ放水。
 1月の消火訓練は47次隊に見学してもらい、実際の動き等のイメージを記憶してもらおうという狙いの公開消火訓練(当然、放水も怪我人もでる予定)を予定しています。失敗しないように、そして1年間の訓練の成果を見てもらうことになりますが、さてお手本となるような訓練ができますでしょうか・・・
 また、その後、流出油回収訓練も行われ、これも水を油に見立てて、ブルーシートの上に撒き、ホウキやチリトリ、特製油回収用チリ取りで大まかに油を回収。その後、油吸着シートで残りの油を回収。この油吸着シートがイマイチ吸着がよくないため、木屑(特に檜の物がよいそうです)を撒くと面白いように吸着できます。これもちょっとしたアイディア。

漏れた油を処理する方法を実践の写真
(漏れた油を処理する方法を実践)

 私は結局、最後まで本部(通信室)で記録を取る担当で、ホースを持ったり、耐火服などを着ることはできませんでした。実際にこれらの衣装?で放水を体験したかったなぁ~と思っているのでしたが、これもいたしかた無いですね。

12月23日(金)

(天候:快晴・最大瞬間風速:10.8m/s・気温(最高:5.1℃ 最低:-2.4℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 今日はしらせの着岸を明日の夕方に控え、着岸ポイントに「昭和港(SYOWA HARBOUR)」の横断幕を設置しました。例年このような横断幕で歓迎の意味と接岸ポイントの目印として設置をすることになっています。
 今年の横断幕には可愛いペンギンが書かれており、またバルーン(2個)が取り付けられ遠くからでもよく見えるような手作りの横断幕。

今年の横断幕ですの写真
(今年の横断幕です)

 この横断幕をいよいよ立てようと接岸予定ポイントより150mほどの前に接地作業をしていたら、オングル海峡の彼方に独特のオレンジ色をした「しらせ」が見えてきました。今年の2月12日に昭和を離れ、再び11月14日に昭和基地を目指し、晴海埠頭を出港。フリーマントル港を経由し約40日間(約14,000キロ)。ようやく昭和港が目前の地点まできているのです。私たちにとっては10ヶ月ぶりのご対面となり、「よくぞ帰ってきました」というより「よくぞ迎えに来てくれたぁ~」とほっとしています。
 しらせは明日24日の15時過ぎに着岸ポイントに付く予定となっています。
 着岸してからその日の夜、22時頃から早速、氷上輸送が始まり、大型物品が続々運ばれてきます。氷上での輸送は47次隊が担当し、その荷物を陸上げして関係する箇所に配送するのを46次隊が行なうという両隊協力しての作業になります。
 47次隊が来て、しらせが着岸し、ちょうど1年前を思い出してみると、夜を徹しての氷上輸送。その時は眠かったり、寒かったりでしんどかったなぁ~とも思いましたが、今にしてみるといい経験をさせてもらったとありがたくさえ思えます。

昨年の氷上輸送の様子の写真その1
昨年の氷上輸送の様子の写真その2
(昨年の氷上輸送の様子です)

 これから夜勤体制で約1週間程度氷上輸送が行われますが、慣れない夜勤体制の中、両隊とも安全第1で作業を行いその後の空輸も含めた全ての輸送を何事も無く終えたいものです。

12月24日(土)

(天候:雪時々曇、霧を伴う・最大瞬間風速:6.5m/s・気温(最高:-0.9℃ 最低:-5.9℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 10ヶ月ぶりで間近で見る「しらせ」。オレンジ色が鮮やかでありそして大きな船体が私たちの前に徐々に近づいてきます。1.5m程の厚さの海氷を砕きながらゆっくり力強く進んできます。その雄姿を見ようと見晴し岩に出迎えに来た隊員たちはカメラ、ビデオでその姿を撮影しています。それぞれの隊員がどんな思いで「しらせ」が近づいてくるのを見ていたのでしょう。

しらせを歓迎する隊員のみなさんの写真
ヘリコプターが偵察をしているようですの写真
(しらせを歓迎する隊員のみなさん)
(ヘリコプターが偵察をしているようです)

 15時44分、着岸です。昨日目印として立てた横断幕の前にその船体が停止したのです。
 すぐさま輸送会議がしらせ船内でありましたので、46,47両隊の関係者が雪上車に乗ってしらせに向かいました。どんどん近づいて見えるしらせの姿をみて改めて「ようやく来てくれたぁ~」とほっとした気持ちが・・・。舷梯を一段」
 一段昇りながら湧いてくる様々な気持ちをぐっと噛み締めていました。
 観測隊公室(食堂)で早速、今晩から行なわれることになっている氷上輸送の詳細が詰められました。いよいよ輸送がスタートするのです。明日から夜勤体制へとシフトをしての作業開始となります。

着岸したしらせの写真
しらせでの会議出席のために乗り込みますの写真
(着岸したしらせ)
(しらせでの会議出席のために乗り込みます)

12月25日(日)

(天候:曇時々晴・最大瞬間風速:4.8m/s・気温(最高:1.2℃ 最低:-3.7℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 日本では「クリスマス」一色の今日、ここ昭和基地では氷上輸送が開始されました。しらせが着岸後積み下ろしの諸準備を行ない21時、しらせの大型クレーンから物資が次々に降ろされ、いよいよスタートです。SM100型、30型の雪上車、トラック、スノーモービル、金属タンクなどの重量物が次々、見晴し岩付近の荷揚げポイントに運ばれました。途中、海氷上の雪が柔らかく、スタックしたそうですが、何とか無事に重量物の持込がほぼ午前5時30分で終了したということです。
 その後、今日の21時から、一般物資の輸送が始まりました。ここからは46次隊が荷揚げされた物資を関係する場所にトラックで運びます。3分の2の隊員が夜勤体制になりこの輸送を行ないます。
 昨年も45次隊が関係する場所に荷物を運んでくれたおかげで、作業する時に非常に楽をさせてもらいましたので、私たちもそのときの思いを47次隊にもしてもらおうという気持ちでせっせと運んでいるのです。
 1年ぶりの夜勤体制でしたので、緊張していたせいか睡魔との闘いはありませんでしたが、輸送後半戦になるとどうでしょうか・・・居眠りなどしないように頑張ります。
 本日分の輸送が終わり後片付けをし、朝食を食べてこれから寝ます。現在、26日午前7時。明日も頑張ります。

氷上輸送のスタートですの写真その1
氷上輸送のスタートですの写真その2
(氷上輸送のスタートです)

12月26日(月)

(天候:曇時々晴・最大瞬間風速:5.0m/s・気温(最高:0.3℃ 最低:-3.2℃)(日出:出たきり、日入:沈まない))

 氷上輸送2日目。今朝午前8時頃に夜勤の心地よい疲労と共に睡眠に入りましたが、日中業務のため、午前11時30分に起床し昼食後、パソコンに向かい仕事を初めて僅か1時間足らずで気が遠くなり始め睡魔で意識が・・・昨日はほぼ24時間眠っていなかったのが、昼食で満腹になったところに急激に睡魔が襲ってきたのです。昨日の氷上輸送にかかわった隊員も夜勤に入るからといって睡眠を事前に取る時間がありませんでしたので、眠い目をこすりながらの今日の日中の通常業務でした。
 また本日も夜勤の輸送です。ちなみに私の割り当て作業は、近江運送のトラック(ユニック付)運転担当です。ひさしぶりに荷台の高いトラックで運転席からの乗り降り、荷台からの乗り降りをしているうちに背中、腰の筋肉が張ってきました。患部に鎮痛消炎剤を塗りながら頑張りました。

セメントが運び込まれましたの写真
(セメントが運び込まれました)

第46次日本南極地域観測隊 越冬庶務 近江

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