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第46次南極地域観測隊 近江隊員の南極滞在記(2005年8月分)

8月1日(月)

(天候:快晴・最大瞬間風速:7.2m/s・気温(最高:-27.3℃ 最低:-35.2℃)
(日出10:01 日入14:46))

 今日は寒かったなぁ~!この冬一番の冷え込みになりました。深夜ですがマイナス35.2℃を記録しました。そんな中、昨日から1泊2日で出かけているチーム(地学隊を中心に6名)が無事に夕方帰って来ました。
 今回の目的は、ラングホブデ方面のルート工作とラング雪鳥沢にある小屋の発電機、暖房設備、地震計メンテナンス(バッテリー交換等)等の作業でしたが、マイナス30℃以下の厳しい条件の中、予定されていた業務全てを遂行してきたのです。天候に恵まれたとはいえ気温が思った以上に下がった中での作業ですからとても大変だったと思います。
 そんな低温の中でハプニングが・・・スノーモービルのエンジンがかからなくなってしまったのです。かなりの時間、エンジンをかけるのにチャレンジをしていましたが結局、かからずじまい・・・しかし、そこは慌てず騒がず?でソリに1台積み込み、もう1台は牽引して来たのです。予想をはるかに超えた低温になった反動で、多少のハプニングとはなりましたが、素早い対応で帰ってくるところがさすが我らの仲間です。このように、私たちの予想を簡単に超えてしまうことが起き得るところが南極です。万全の体制で望んでも跳ね返されそうになりますが、その試練を乗り越えて前進していくのが私たち「南極観測隊」のモットーです。その精神を垣間見たようなそんな気がします。

寒さが感じられますね
これくらい埋まってもなんのその
(寒さが感じられますね)
(これくらい埋まってもなんのその)
全員集合!
(全員集合!)

8月2日(火)

(天候:晴・最大瞬間風速:8.1m/s・気温(最高:-32.6℃ 最低:-36.4℃)
(日出9:56 日入15:01))

 昨日の最低気温が更新!なんとマイナス36.4℃(10:25分に記録)まで下がりました。快晴で雲が無く、昨日からの気温が引き続き継続。今日の平均気温はマイナス34.8℃で、一日中マイナス32度より上がらなかったことも凄いです。
 そんな中の午前9時から、環境保全隊員を含む11名が北見浜に残されていた大物の廃棄物を掘り出し、廃棄物保管庫に持って帰ってくる作業へと向かいました。午前9時の気温がマイナス36℃。さすがにシバレます。寒さを考慮して、羽毛服の下にはこれでもかというくらいに着込んでいますので、身体はそれほど寒くは無いのですが、覆い切れていない部分がシバレテます。例えばほんの数分でまつげ全体が白くなり、顔の防寒のためにしているウールの眼だし帽の口の部分が真っ白になります。この寒さの救いは風が無いことです。風がないから気温が下がるのですが、これで風があったらと考えると・・・
 11名が雪上車に乗り込むこと20分。現地(北見浜)に到着です。ここは3月にゴミ収集のためにツアーを組んで来て以来ですが、すっかり雪に覆われて様変わりしています。その中に一つポツリと大きな木製廃棄物(長さ5m程度の木製の木枠のようなもの)が半分氷の中に埋まっていました。それを剣先スコップ、つるはしで参加者が代わる代わる掘り出して行きます。さすがに硬すぎて剣先スコップでは思うように氷を砕くことは出来ませんでしたので、つるはしで力いっぱい氷を砕いていきます。下の部分(半分程度が)が氷と一体化していましたので、一部だけロープが引っかかる程度まで掘り込み、後は一気に雪上車で引っ張り出しましたが、ロープが完全に引っかかりきれず、数回トライした結果、バキバキと音を立てて動き出し、掘り出しに成功。1時間あまりの格闘に終止符が打たれたのでした。最後は全員でいつものように記念写真です。

全員で掘り起こします
掘り起こし成功
(全員で掘り起こします)
(掘り起こし成功!)
雪上車の排気が寒さを現しています
(雪上車の排気が寒さを現しています)

 その廃棄物を第1廃棄物保管庫前に置いた後に、ネスオイヤ西側海氷上で2トンソリを修理している隊員のところに寄ったのですが、いつものようにソリの下に潜り込んでボルトの増し締め、点検を行っていました。その顔は眼だし帽で覆われているところ全てが真っ白になりながら、でも目は楽しそうに行なっていたのがとても頼もしくそして力強よく感じたのは私だけではないでしょう。ドームふじ基地に向かっていく間の条件はこんなものに比較できないくらいの厳しい低温が待ち受けています。そんな中で作業をこれから経験する隊員(一人は既に経験済み)ですから、昨日・今日の低温を楽しんでいるようなそんな力強い一面を感じました。

ソリの下に入って整備してます
寒さで真っ白!
(ソリの下に入って整備してます)
(寒さで真っ白!)

8月3日(火)

(天候:薄曇・最大瞬間風速:7.6m/s・気温(最高:-18.7℃ 最低:-34.4℃)
(日出9:51 日入15:05))

 この2日程のシバレで汚水搬送配管が異常を起こし、警報が鳴ったのが昨日の21時過ぎ。すぐさま機械隊員が原因調査を開始したのですが、汚水搬送配管の中で凍結を起こしたのか、あるいは何かが詰まったのかというところまでは突き止めたのですがはっきり解りません。この汚水搬送配管は発電棟の風呂、洗面所、トイレからの排水が一度汚水タンクに溜まり、タンクの中にある水中ポンプで汚物を粉砕して通路下部にある配管(約20m)をとおって汚水処理棟のタンクに到達するのです。
 その通路下の配管がこの二日間のマイナス35℃の気温で一部凍結をしたのではないだろうか?この配管は断熱材、熱線を巻いて凍結防止をしていたのですがどうやらそれをもしのいでしまう寒さシバレだったのでしょう。
 まずは、配管を外側から暖めるのが先決ということでヒーターの設定温度を上げて暖めることになったのです。ここまで既に2時間近く経過。緊急的にトイレ、風呂、洗濯は禁止。トイレは管理棟、居住棟のみは使用は出来ましたが、入浴中や洗濯の途中だった隊員はお気の毒でした。
 とりあえず、この暖め作業で様子を見ることにして、熱ですんなり詰まりが解消されるとよかったのですが、今日の朝もまだ解消されていませんでした。今度は配管の中を高圧洗浄機を使って一気に押し出す方法が取られ、配管を詰まらせた塊が出てきて一件落着。結局、警報が鳴ってから約20時間後に正常に戻ったのですが、この間、機械隊員が必死になって復旧作業をしてくれたのです。汚水配管ですから当然臭いもする中で、且つ汚物も触らなくてはならず担当といえども大変だったと思います。担当した隊員が「故障しないように普段からのメンテナンスが私の仕事です。」と当たり前のように答えていたのがとても印象的でした。これがプロの仕事なんですね。

必死に直してます
高圧洗浄機の本体です
(必死に直してます)
(高圧洗浄機の本体です)

 また、今日の午前9時からTV会議が開催されましたが、今回は岐阜県の2つの高校と昭和基地とを結んだ3元中継で行なわれました。
 今日は、スーパーサイエンスハイスクール先端科学講座「南極は今」ということで、内容は極地研究所が南極で実際に実験してもらいたいことを募集し、その実験経過や結果をこのTV会議で見てもらうという企画です。二つの提案があり、一つは「雪の結晶」、もう一つは「チンダル像」ということで、二人の担当隊員がその実験経過を説明していましたが、私には???
 また、いつもであればモニターに相手側が一つだけなのですが、今日は画面が分割されて映し出されているということもあり、新たな領域にTV会議が入り込んでいったのです。
 しかし、私はというと、外の様子をカメラで写すカメラマンとしての参加でしたので、実際にはこの現場を見ていませんでしたので少し残念ですが、天候も良かったので、綺麗な映像を送ることが出来たことが私にとっては良かったです。やはりリアルタイムの映像は素晴らしいし、感動させられる最大のものに違いないでしょう!!

質問を真剣に聞いています
外からはこんな感じで映してます
(質問を真剣に聞いています)
(外からはこんな感じで映してます)

8月4日(水)

(天候:雪後ふぶき・最大瞬間風速:24.6m/s・気温(最高:-9.4℃ 最低:-20.1℃)
(日出9:47 日入15:10))

 このところ好天がめずらしく続いており、連日マイナス30℃の世界でしたが、低気圧の接近に伴ない時間が経過するにつれ吹雪き模様になり、18時31分についに外出注意発令となりました。低気圧が来て吹雪き模様になると、北からの暖かい風が吹き込むため気温は高くなっていきます。マイナス30℃以上だった気温がマイナス15~6℃になります。
 午前中は、まだ吹雪きもそれほどではなかったので、今日の予定であったとっつき岬までのルートの海氷厚調査に、雪上車2台に分かれて出発したのでした。

う~ん!深い・・・
(う~ん!深い・・・)

 これは、46次隊で持込んで今は管理棟近くにおいてある雪上車(SM116号)を今月の10~11日にとっつき岬まで移動させる予定になっていますので、この雪上車が安全に海氷上を通ることができるかどうかの調査なのです。このSM116号車は、重量が約11.5トンあり、昭和基地にある雪上車の中でも最も重い種類になるのですが、この雪上車を海氷上を走らせるためには非常に危険を伴ないますので、海氷厚が1m以上という条件があります。そのため通過するルート上全てのポイントでの海氷厚測定をしなければなりませんので、偶数ポイント地点と奇数ポイント地点を2台で振り分け効率よく測定をしたそうです。
 しかし、正午近くになって天候が悪化、視程も悪くなってたので、午前の部で本日の測定を終了させて帰着したのです。今日は、全ルートの3分の2までは終了したのですが、これから数日間は天候が回復しないとの予報ですので、天候が回復次第残りを行うと言うことです。
 このように着々と17日に出発予定の中継点旅行に向けての準備が本格化してきています。

8月5日(金)

(天候:ふぶき・最大瞬間風速:27.3m/s・気温(最高:-6.8℃ 最低:-11.8℃)
(日出9:42 日入15:14))

 昨日の夕食直後18時31分に外出注意が発令されてから、天候が回復せず、今日一日吹雪き模様で外作業は全く出来ずじまいの一日となりました。気温もさらに暖かくなり最高でマイナス8℃程度まで上昇しました。この時期にこの気温はこちらでもめずらしいのでは?その前日がマイナス35℃以上あり一気に上昇したため余計暖かく感じたのかもしれません。日本の各地では今年一番の気温を観測したということですが、稚内も25℃まで上昇したらしくようやく夏本番で海水浴日和になってきところでしょうか。
 こちらもこれから冬本番で、寒さも一段と厳しくなっていくことが予想されます。TV会議でも必ず地球温暖化の質問が出されますが、実際に昭和基地で生活している分では全く感じられませんし、去年や例年と比較してという単純な方法での比較は出来ますが、まだ昭和基地が出来て観測をし始めて46年しか経過していません。これらの温度変化、温暖化については100年程度の長い期間、測定したデーターの温度変化の推移を見て、最終的にどうなってたかを分析しないと詳しいことは解らないそうです。例えば、私達が見たり感じたりして温暖化の影響がわかるようでしたら、世界的な危機状態になっているはずです。間違いなくこのようなことは感じられませんので安心して下さい。私たち南極観測隊は、このような地球レベルでの環境に関する観測を行っているのです。

とても大きい氷山がたくさんあります その1
とても大きい氷山がたくさんあります その2
(とても大きい氷山がたくさんあります)

8月6日(土)

(天候:曇後一時雪・最大瞬間風速:29.0m/s・気温(最高:-6.2℃ 最低:-10.4℃)
(日出9:37 日入15:19))

 今日は、今月7回実施予定のTV会議の2回目の中継で、相手は岐阜県多治見市です。「南極探検スクール2005」と題し、「南極観測隊員と交信しよう!」というサブタイトルも付いていました。小学校1年生から5年生の代表者が10名、それぞれ質問をしてきました。自然(花・オーロラ)、動物(ペンギン)、氷・気温、観測隊員の生活等の質問に対して、担当隊員が写真等を見せながらわかりやすく説明をしていました。中には、「南極はどんなところでどのように暮らしていますか?子供は居ますか?」なんていう質問もありました。
  毎回そうですが、この中継をするために事前に南極のことを多少勉強し、疑問に思ったことを質問してくるとは思うのですが、この事前に調べて疑問を持つということがとても大切で、特に小学校低学年にとっては何で?どうして?その答えがTV画面を通じて写真やビデオ使って説明をされると、非常に効果的に理解をしてくれますし、印象に強く残るだろうと思います。私達は回答を出来るだけ短時間で解りやすくという気持ちでいつも取り組んでいますが、果たしてこちらの思ったとおりに理解してくれているのでしょうか・・・。

司会、回答者の写真
撮影風景の写真
(司会、回答者の皆さんです)
(またまた外から映しています)

 今日はとてもおめでたい話題が・・・。機械隊員の一人に待望の男の子が誕生したそうです。母子共に健康ということです。これで気象隊員に次いで二人目になりますが、ハッピーな話題はいくつあってもうれしいものです。帰国して真っ先に子供とご対面をして尚一層の嬉しさが込み上げて来るのでしょうね。いずれにしても、おめでとうございます!!(ちなみにもう既に名前は決めていたそうです)

8月7日(日)

(天候:曇後雪・最大瞬間風速:7.0m/s・気温(最高:-14.8℃ 最低:-18.5℃)
(日出9:32 日入15:23))

 本日は、休日日課にもかかわらず、朝7時頃からかなりの隊員が行動し始めていました。これはこの数日間の悪天候で野外での活動ができず、足止めを余儀なくされていましたので、天候が回復した今日、一斉に待ってましたとばかりに野外に出て行ったのです。
  先ず一つ目のグループは、とっつき岬までのルート(STK、TE)上の海氷厚の測定、二つ目のグループは西オングル島テレメトリー小屋のバッテリー充電、三つ目はスカルブスネス方面のルート工作、4つ目は岩島探索、5つ目は向かい岩探索と多少それぞれの出発時間はずれてはいましたが、それぞれの目的のために出て行ったのでした。
  この天候も9日午前中まで程度で、それ以降は発達した低気圧の影響により20~30m程度の強風が予測されています。天候が崩れる前までに出来るだけのことをやっておきませんと次のオペレーションに影響が出てしまいますので、そうならないようにやれる時にどんどんやってしまわなければなりません。

氷厚測定作業の写真1
氷厚測定作業の写真2
(氷厚測定もなかなかの重労働です)
穴が開いた氷の写真
(ようやく貫通しました)

 私はというと、「向岩」探索チーム(8名)の一員として、雪上車2台に分乗し行ってきました。昭和基地から東側に位置しており、雪上車で約20~30分程度のところにあります。直ぐそこには南極大陸が有り、ついでですから上陸してきました。この時期でなければこの「向岩」に来る事が出来ませんし、ましてやそこから歩いて南極大陸に上陸するのも今のこの時期、海氷がしっかりあるうちで無ければ出来ません。集合写真を撮って帰路に着こうとしたところ、空のドラム缶2つほど転がっているではありませんか。昭和基地クリーンアップ4カ年計画の初年度としては、これは基地に持ち帰らなければなりません。足場の悪さもなんのその、雪上車にこのドラム缶も分乗させて無事昭和基地へと着いたのでした。さすが46次隊!!

探索チームの写真
空ドラム缶の写真
(後ろにはスカルブスネスが見えます) (空ドラム缶、発見!)

8月8日(月)

(天候:晴・最大瞬間風速:14.5m/s・気温(最高:-17.5℃ 最低:-27.0℃)
(日出9:28 日入15:28))

 今日の13時に、西オングル島テレメトリー小屋バッテリー充電旅行に出ていた4名が無事帰着しました。昨日と今日の天候は穏やかな2日間でしたので、順調にバッテリー充電が進み、予定より早く作業が完了し無事到着。お疲れ様でした。
  ちょうど昨日の深夜に綺麗なオーロラが出ていたそうですが、基地管理棟からとまた少し異なった綺麗なオーロラを見ることができたそうです。

テレメトリー小屋の写真1
テレメトリー小屋の写真2
(テレメトリー小屋一体です)
オーロラの写真
(見事な色彩です)

 さてもう一方、スカルブスネス方面のルート工作隊5人はこれも予定作業より多少進むことができ、きざはし浜小屋に到着したそうです。

方位を取っている写真
あざらしの写真
(方位を取っています)
(あざらし、発見)
小屋の中の様子1小屋の中の様子2
(小屋は意外に広いんです)

 でも、天候は今日までで、今日の夜半過ぎから徐々に崩れ、明日早朝には20~30m程度の強風になるらしく、スカルブスネスルート工作隊はこの小屋に停滞せざるを得なくなりそうです。回復は10日いっぱいかかりそうだということですので、2日間は停滞し体力を温存して天候が回復次第、一気に作業を進めることになるでしょう。何とか頑張って無事に帰ってきてほしいです。このように天候が一旦崩れだすと、中途半端ではないくらいのブリザードになり、停滞は野外活動につきものなんですが、あまり長期になると食料が心配になります。ですから、ある程度の停滞を想定して予備の食料はもって行きます。今回は「きざはし小屋」には食料の備蓄がありますので、多少の余裕があるそうですが、それにしてもできるだけ早く昭和基地に戻りたいことでしょう。天候が早く回復するのを願っています。

8月9日(火)

(天候:ふぶき・最大瞬間風速:39.9m/s・気温(最高:-6.7℃ 最低:-19.6℃)
(日出9:23 日入15:32))

 やはり予報どおり天候が崩れてしまい、スカル方面のルート工作隊はきざはし浜小屋に停滞です。

ブリザード前の写真
ブリザードの中の写真
きざはし浜小屋から(ブリザード前)  →  (ブリザード中)

 朝7時早々に外出注意が発令。この時点で風速20m/sを超え視界も殆ど見えない状況でした。このブリザードのピークは明日の午前3時頃ということですので、どんどん状況が悪くなっていき、ついにというかとうとう14時57分に外出禁止が発令されました。この時点では風が30m/s近くになっており、殆ど視程が無いほどの外の様子になっていました。このブリザードは弱まりながらでも明日一杯続き、11日は多少穏やかになるそうですが、また12日には別な低気圧が近づきブリザードになる模様です。本当にブリザードが多いですなぁ~
 そんな中、9時過ぎから今月3回目のTV会議中継が東京の東急百貨店の写真展会場とを結んで行なわれました。この写真展は、朝日新聞の記者で45次隊で越冬された方の作品を展示している会場からの中継で、いつものように大きな会場とはまた少し異なった場所からとなったのです。
 また、いつもと違うのは基地側の司会もいつもでしたら私が行うのですが、できるだけ多くの隊員に経験してもらうということで、今日は通信担当の女性隊員が行いました。いつものように日本側からの「昭和基地の皆さ~ん」という呼びかけでスタート!そうすると夏休みのせいもあって日本側の会場にはかなり沢山の子供達をはじめとして多くの方見学に来ていました。
 これもいつものように基地周辺の外の様子をビデオカメラでと思ったのですが、かなりのブリザードのため食堂非常口から少しだけカメラを出しての撮影でしたが、映った映像は真っ白で殆ど何も見えない画像になりましたが、かえって南極の厳しい自然が映し出されて良かったのではなかったでしょうか。会場の子供達の驚いている様子がよ~く解りました。
 東京は、猛暑で35℃を超えているときにこのような南極の映像で涼しさを堪能してくれたのではとも思っています。
 司会の通信隊員も最初は緊張の面持ちでしたが、そこは南極観測隊に選ばれた優秀な隊員ですので、すぐさま落ち着いた司会進行で無事に勤め上げていました。
 私は全く出演することがありませんでしたが、観客として後ろから見ていると、司会や外部カメラ班で見ている部分とはまた異なった見え方が出来ましたので、今後の参考に非常になったTV会議でした。

8月10日(水)

(天候:晴後曇一時雪・最大瞬間風速:43.7m/s・気温(最高:-5.2℃ 最低:-12.3℃)
(日出9:19 日入15:37))

 昨日の外出禁止がようやく16時21分に注意令に変わり、ブリザードが終息に向かっていった日になりました。
  それにしても今回のブリザードも凄かったです。瞬間最大風速43.7m/s、風速平均21.6m/s、最大平均風速33.7m/sと数値だけを見てもその凄まじさを感じられます。昨日の外出禁止で各観測棟に6名が残っており、一晩を過ごしたわけですが、一晩でよかったですね。夕食時、その6名は元気な顔で幸せそうに夕食を食べていたのが印象的でした。結局、このブリザードも「A級ブリザード」と認定され、今シーズン4回目、A~Cブリザードはなんと18回目になったそうです。随分とブリが来たもんだぁ~!あと、何回くるのでしょうね? また、このブリザードで停滞せざるを得なくなっているスカル方面ルート工作隊は「きざはし小屋」で一日を過ごしたそうですが、20時の定時交信では元気な声が聞こえてきていました。

きざはし浜小屋からの写真
(天候が回復したきざはし浜小屋から~)

 今後の天候も明日11日に回復しますが、12日には再度崩れる予報になっていることから11日中に帰着する方向で検討しているそうです。
 次のオペレーションの出発に関係する隊員もいますので再度、仕切りなおしといったところでしょうか。

8月11日(木)

(天候:晴・最大瞬間風速:20.1m/s・気温(最高:-13.2℃ 最低:-15.5℃)
(日出9:14 日入15:41))

 午前9時、7回目となるS16オペレーション総勢9名が出発しました。今回の目的は、17日に出発予定の中継点旅行の準備が主なもので、主に燃料を積んだソリ11台をS16地点まで運び込むことが主な作業になり、この燃料ソリを引いていく雪上車が、46次隊で昭和基地に持込んだ大型雪上車(SM116号)です。昨年の12月にしらせから降ろし整備点検を充分し満を持しての出発でした。海氷上を初めて走行させるわけですから、ルート上の海氷厚を測り充分に安全を確認していますが、何せ11トンの重量ですから慎重に走行していきました。今回のオペレーションで中継点旅行の準備がほぼ完了します。次はいよいよ中継点良好です。

SM116号車の写真
スタッフミーティング中の写真
(SM116号車!)
(スタッフミーティング中です)
ソリを引いて出発の写真
S16地点吹雪の写真
(ソリを引いていざ出発)
(S16地点は吹雪いています)

 また、昨日までの悪天候が回復し、停滞を余儀なくされていたスカルブスネス方面ルート工作隊が17時30分に無事、帰着しました。雪上車から降りてきた5名は元気に、そして嬉しそうな笑顔だったのがとても印象的でした。
  これでスカルブスネスまでのルートはほぼ出来上がりましたが、今度はその先のスカーレンまでルートを延ばさなければなりませんが、その辺りは氷山のかけら(乱氷)やタイドクラックがかなりありそうだとのことですから、慎重にルート作りをしていかなければなりません。

8月12日(金)

(天候:晴・最大瞬間風速:16.6m/s・気温(最高:-15.8℃ 最低:-19.1℃)
(日出9:09 日入15:45))

 昨日出発したS16オペレーションン隊が大型雪上車(SM106、115号)を引き連れて昭和基地に帰ってきました。115号車は整備をしてドームへと向かいます。また、106号車の方はというと、長年の疲れが溜まったせいで日本へ持ち帰ってしばらくゆっくりするそうです。106号車、お疲れ様!

帰ってきたSM106号車の写真
(帰ってきたSM106号車)

 さて、ブリザードの後というと、強烈なドリフト(どうも違和感があるので吹き溜まりにしよう)の除去です。総動員で行ないますが、ブルドーザー2台、ユンボと重機がフル稼働します。各観測棟では人力で入口の確保を行います。今回のブリザードによる吹き溜まりは、予想をはるかに超える量になっていましたので昨日、今日と二日間まるまるとかかって作業が行われたのでした。皆さんお疲れ様でした。
  そんな中、今日の13時過ぎから月に一度の「地磁気絶対観測」が行われていました。この観測の説明を載せてみますが・・・「地磁気活動の静寂時に、地球磁場ベクトルの絶対観測(偏角、伏角、全磁力の測定)を行なう。その結果を基に、地磁気変化観測の基線値を求める。また、地磁気変化観測結果よりKインデックスの算出を行なう。」(観測計画調書より)何のことやら???

8月13日(土)

(天候:晴・最大瞬間風速:16.6m/s・気温(最高:-15.8℃ 最低:-19.1℃)
(日出9:05 日入15:49))

 今日は第2土曜日の休日日課で、恒例のスポーツ大会が開催されました。今回は海氷上でのパークゴルフです。今回も居住棟対抗として4つのチームが1番ホールからスタート。一人ひとりでのスタートではなく、チームの中で交替でショットをしていきます。気温がマイナス20℃ありますし、海氷上で多少風も有り、体感的にはもう少し寒く感じられますので、全員が羽毛服の上下、防寒D靴等完全防備の格好をしています。そのため、とてもショットしずらい中でのプレイでしたので、空振りはあるはナイスチョット?はあるはで思うようにボールに当たっていませんでした。また、昨日からの降雪で雪が多少積もっていましたので、海氷上ではめずらしく柔らかいところが沢山有り、そこにボールが埋まってしまって見えなくなるハプニングも・・・
  一打一打交替で4チーム全員が進んでいきますので、打たない人たちはゾロゾロと後をついていくのみです。
  そんな中、マイナス20℃のせいでボール(プラスチック製)が割れたり、スティックにも亀裂が入ったりして、さすがに北海道発祥のスポーツとはいえどもマイナス20℃でのプレイを想定していなかったのでしょうね。でも普通、日本ではこんな寒い中ではしませんけどね。

パターゴルフ スタートの写真
ナイスショットの写真
(スタートです。)
(ナイスショット!!)
パッティングの写真全員写真
(パッティングは慎重に・・・)
(最後は全員で!)

 この寒さで、鼻の一部や頬が寒さによって白くなっている人がいて、他の隊員から指摘を受けてその部分を慌てて暖めていました。これは凍傷になる寸前の状態で本人は殆ど冷たいなぁ~と言うくらいの感覚でしかないそうですから、お互いにお互いの顔を注意して見る様にということが普段から言われていますので、その効果が現れた一面もありました。約1時間程度、寒い中ではありましたが楽しいスポーツ大会となったのです。
  ちなみに優勝は、またまた「1居2階」でこれで4連覇達成です。我が「2居1階」は惜しくも2位となりましたが、なんと私が「ドラコン」ホールで偶然にも打順が回ってきまして、めでたく獲得したおまけも付いたのでした。

ドラコン賞受賞の写真
(ドラコン賞の私です)

8月14日(日)

(天候:雪後一時曇・最大瞬間風速:10.2m/s・気温(最高:-16.5℃ 最低:-21.8℃)
(日出9:00 日入15:54))

 今日は、今月4回目となるTV会議が、名古屋港で開催されている南極観測船ふじ20周年特別展と中継が行なわれました。
  今回の総合司会は旭川高専の先生が担当し、その他のスタッフもタイムキーパー、外回りのカメラ補助と初めて経験する隊員で行われましたが、これは、これから野外活動に参加し基地を空ける隊員が多くなりますので、できるだけ多くの隊員が経験を積んでもらうことが目的です。

ブリザード前の写真
ブリザードの中の写真
(司会は高専の先生)
(外からのカメラは私でした)

 今まで相当な回数のTV会議をしてきていますので、ある程度の動きはほとんどの隊員がわかっていますし、前日のスタッフミーティングも充分に詳細をつめて行なわれているため、ほぼ問題なく進行できました。
  内容については、いつものように日本の会場からの質問に回答していくということでしたが、中継が無事終了した後に、今年の2月に感動的にお別れをした夏隊の隊員(名古屋在住)が来ており、モニター越しに懐かしい顔とご対面。久しぶりに顔を見ることが出来て、それぞれの隊員が少しづつだけでしたが懐かしい話をしていました。今度は20日に大阪の朝日新聞社と中継があります。

ドラコン賞受賞の写真
(夏隊の隊員と話中です)

 いよいよ中継点旅行が近づいて、参加する隊員が休日日課にもかかわらず忙しそうに準備をしています。6名で40日間ですので持っていく荷物も相当な量になります。特に食料は、この旅行のために相当前から準備していましたが、かなりの量になっています。その他にも雪上車の整備物品など準備に大忙しの一日でした。
  その中継点旅行と時期を一緒に出発するもう一つのオペレーションが、圧雪滑走路造成実験隊です。これは中継点旅行と同時に出発し、途中までの支援も含まれていますがH68地点で小型除雪車、雪上車を使い3種類の造成方法で造成実験を行なうということですが、期間は2週間弱。これも大変なオペレーションになりそうです。どちらのオペレーションも無事に終了してもらいたいものです。

8月15日(月)

(天候:曇後一時ふぶき・最大瞬間風速:18.5m/s・気温(最高:-9.0℃ 最低:-21.1℃)
(日出8:56 日入15:58))

 今日の夕食時に17日出発する中継拠点旅行隊への激励と安全なオペレーション遂行祈願の意味を込めての壮行会が開催されました。

壮行会垂れ幕の写真
激寄せ書きの写真
(素晴らしい!まさに芸術)
誕生会の写真
(誕生会も合同開催です)

 まず、越冬隊長から安全に注意し頑張ってきてくださいという挨拶の後、中継拠点旅行隊6名それぞれから壮行会開催のお礼と、このオペレーションに対する力強い決意がありました。チームリーダーの隊員から「今日の皆さんの激励とこの旗を心の支えとして頑張ってきます。」さすがリーダー!!
  この壮行会と併せて8月の誕生会も同時開催されました。これは中継拠点旅行、圧雪滑走路造成実験と大きなオペレーション、総勢10名が17日に出発してしまいますので、出発前にということからの合同開催です。
  今月は、4名の該当者がいましたので、こちらも喫茶係の手作りケーキにろうそくを立ててお祝いしました。今回も調理隊員が腕によりをかけた数多くの料理がこの壮行会、誕生会をより一層引き立ててくれたのでした。
  両オペレーション隊、頑張って!ファイト!!そして8月生まれの方、誕生日おめでとうございます!

8月16日(火)

(天候:晴時々曇一時ふぶき・最大瞬間風速:20.6m/s・気温(最高:-9.5℃ 最低:-13.3℃)
(日出8:51 日入16:02))

 いよいよ明日出発の中継拠点旅行隊、圧雪滑走路造成実験隊が今日一日あわただしく準備をしていました。
  通路には、このオペレーションに係る荷物や食料がどっさりと積まれていますが、昨日あたりから少しずつ荷物は雪上車に積み込めるものは積み込んでいましたので、かなり量は減りましたが、まだまだたくさんの荷物が整然と置かれています。

通路に置かれている荷物の写真1
通路に置かれている荷物の写真2
(通路に置かれている荷物です)

 その中継点旅行の目的を以下箇条書きにしてみました。
 (1)ドーム本旅行の燃料ドラム缶を中継点に輸送
 (2)往路、復路で積雪サンプリング、気象データーの収集
 (3)H100地点、みずほ基地等で無人磁力計データー回収
 (4)ルート標識の整備
  これだけのことをしなければなりません。特に燃料ドラム缶110本をそりに積んで大型雪上車で引いていかなければなりません。その燃料用のそりや食料、機械、トイレなど全部で21台のそりをそれぞれの雪上車が7台ずつ引いて行きます。中継点までの片道約650km、往復1,300kmを40日間かけての長旅になります。40日間、雪上車の中で生活をするため、当然ながらお風呂はありませんので、洗浄用ペーパーに泡状の石鹸を吹き付けて身体を拭きます。トイレは専用のホロ付きのソリを当てます。また、洗濯も当然出来ませんから、できるだけ長い期間、着替えはしないということらしいのですが、それもしょうがないですね・・・。このようにかなり制約された生活の中で、数多くの業務をこなさなければなりませんので、とても大変なことですが、この業務を当たり前のように遂行するのが私達の代表としての6名なのです。
  もう一つ、圧雪滑走路造成実験隊も約2週間のこれまた長旅になります。こちらも難しいオペレーションですが、そこは精鋭4名が頑張って遂行するはずです。
  どちらのオペレーションも順調に行ってくれるといいのですが、悪天候だけは避けることができません。必ずこの期間のどこかで遭遇することになりますが、とにかく雪上車の中で停滞、待機をして天候回復を待つのみです。何とか最少限の遭遇で済んでくれたらと思っています。

8月17日(水)

(天候:・最大瞬間風速:1.9m/s・気温(最高:-17.2℃ 最低:-18.5℃)
(日出8:47 日入16:06))

 午前8時40分、いよいよ中継拠点旅行隊、圧雪滑走路造成実験隊合計10名が元気に出発しました。出発を祝うかのように快晴、無風の素晴らしい天候で、この両オペレーションの幸先の良いスタートになったはずだったんですが、雪上車のトラブルが発生。全ての車両を充分に整備していたつもりですが、やはり何が起きるかわからないのが南極の厳しい環境です。この雪上車の入れ替えを行ないましたので、今日の到着目標であるS16地点まで多少時間は遅くなりましたが、全車両無事到着したということです。21時からの定時交信で、明日の午後からS16地点よりさらに内陸のS28~30地点まで進むという予定ということが報告されていました。
  明日も好天の予報ですので何ら問題なく、目標地点に到達するものと思います。残りは39日間です。安全な移動を祈ります。

出発前の最終ミーティングの写真1
出発前の最終ミーティングの写真2
(出発前の最終ミーティングです)
出発する旅行隊と見送る隊員の写真
(出発する旅行隊と見送る隊員)

 さて、持込んでいた食料も6ヶ月を過ぎるといろいろな物がなくなってきます。今日はタマゴがついになくなったそうです。キャベツ、グレープフルーツなども既に底をついていましたがとうとうタマゴも・・・食べたらなくなるのは当たり前ですので全員は納得しているのですが、気分的に寂しい気持ちが・・・ 12月中旬にしらせが来ますのでその時点で再度食料は補給されます。早く新鮮な食料が食べたくなってきた今日この頃です。

8月18日(木)

(天候:・最大瞬間風速:4.2m/s・気温(最高:-13.7℃ 最低:-18.8℃)
(日出8:42 日入16:10))

 明日、19日、新聞係で発行している新聞「Daily4646」がめでたく200号発行を迎えます。2月1日の越冬交代から一日も休むことなく発行されてきました。内容は新聞係の新聞発行担当が、発行前日に基地内外での出来事などを取材し、記事を集めて発行します。担当隊員は、2週間に一度この記者当番が回ってきますが、ネタ集めや編集に苦労したりしながら発行をしています。逆に外出禁止になった日などは、管理棟の中だけの取材になってしまい、本当にネタが無くて他の隊員に急遽記事の提供をお願いしたり、いろいろな工夫もしています。そうして発行を続けてきたこの新聞もとうとう200号を迎えたわけです。越冬終了までは365号発行予定ですから、既に半分を超えています。このような節目(50、100、150号)では盛りだくさんに記念企画を掲載し、私達読者を楽しませてくれてもいます。その中には「リレーエッセイ」と称し全員が一つの「テーマ」について記事を書きます。一つの共通課題に対してそれぞれの考え方等が表現されておりこれもまた面白いです。
  また、この新聞を読んで前日等の野外での活動や基地での出来事を細かく知ることが出来ますので、毎日読むのが楽しみです。これからも休刊することなく発行できるように私たちも協力をして行きたいと思います。
  最近の問題というとは、中継拠点旅行等で基地を留守にした隊員の内、7人も含まれて居ますので「臨時記者募集」が叫ばれていました。何とか私たちの協力で乗り切らなければなりません。頑張りましょう~!!

200号記念の写真
(200号記念です)

8月19日(金)

(天候:薄曇後晴一時曇・最大瞬間風速:10.9m/s・気温(最高:-13.9℃ 最低:-16.3℃)
(日出8:38 日入16:14))

 13時45分、けたたましく火災報知機が鳴り出しました。基地には27名しか居ません。何処から出火だろうか、消火体制は大丈夫だろうか、煙に巻き込まれていないだろうか・・・今日は毎月行なわれている消火訓練です。一応、安全主任より昨日のミーティングの時に明日、「もしかすると何処からか出火するかも?消火体制を確認しておくように」という告知がありましたので、特に混乱も無く、スムーズに現場に集合出来ましたが、火災はいつ何処で発生するかは解りません。この毎月行なわれている訓練を訓練と思ってしまったら意味がありませんし、訓練慣れになってしまうと訓練を消化しようという気持ちになってしまったらとても危険です。告知をしておき、様々なことを事前に確認しておくというのも大事ですが、いざという時に果たしてどれだけ冷静に、そして素早い適切な判断で放水、消火、人員確認、人命救助が出来るかです。そのためには、いつも本番と同じ気持ちを持っていなければなりません。次回以降は、告知無しの深夜、皆が寝静まったころの訓練かもしれません。そうなるとどんな状況になるかは不明ですが、一度やってみる価値はあるのでは・・・

消化器を持って現場に集合の写真
(消火器を持って現場に集合です)

 さて、中継拠点旅行隊と圧雪滑走路造成実験隊の様子ですが、予定通り進んでいるとのことです。圧雪滑走路造成実験隊の目標地点であるH68地点に到着し、早速実験を開始したということです。また中継拠点旅行隊はH100地点まで進み、無人磁力計の作業を行いここでキャンプを張るということです。昭和基地の天候とは若干異なり、気温マイナス27.1℃、気圧は839hPa。本日の走行距離は37km。明日は行ける所まで進むということですが、慎重に、安全に!

8月20日(土)

(天候:曇一時晴・最大瞬間風速:5.4m/s・気温(最高:-14.4℃ 最低:-27.8℃)
(日出8:33 日入16:18))

 午前9時過ぎから今月5回目のTV会議中継が朝日新聞大阪本社と行なわれました。今日の昭和基地の外の状況を映す時には、タイミングよく太陽が昇ってきているところでしたので、綺麗な映像を見せることが出来ました。会場の子ども達の歓声が聞こえてきていましたので、素晴らしい南極の様子を伝えることができたと思います。
  中継内容は、ほぼ前回同様の内容でクイズ型式で○×を会場の人に答えてもらう会場参加型が最近の主流になっています。話や写真などを見たり聞いたりするのもいいのですが、自分が参加することによってより理解を深めてくれそうです。
  また、中継が終了して大阪近郊出身の隊員の家族が来ていましたので、久しぶりのご対面も行なわれましたし、夏隊の数名も会場に来ていましたので、これも久しぶりに話をすることができ、とても嬉しそうに会話を楽しんでいたのが印象的でした。

家族とご対面の写真
いつもの外からカメラマンの写真
(家族とのご対面です)
(いつもの外からのカメラマンです)

 さて、中継拠点旅行隊情報です。気圧788hPa、気温マイナス37.5℃となっており、どんどん高いところに登って行ってることがよくわかります。途中に雪上車の走行による振動が原因かと思われるバッテリー端子が緩みエンジンが停止してしまいましたが、この部分を一部溶接などの処置をほどこし、問題解決!その後、何ら問題なく走行を行ったとのことでした。今日の走行距離は68km。昭和基地からは131kmまで達しました。中継点まで残り約500kmです。まだまだ先は長いです・・・

8月21日(日)

(天候:晴後一時曇・最大瞬間風速:5.7m/s・気温(最高:-19.6℃ 最低:-30.4℃)
(日出8:29 日入16:22))

 今日は、今月7回目のTV会議中継が行なわれました。今回は、茨城県の自然博物館との中継が行なわれました。茨城県ということで、茨城県出身の隊員が2名おりますので、一人は総合司会、一人はカメラマン、それぞれを担当してもらい行なったのです。
  また、茨城県には松原隊長が住んでおられますので、松原隊長も会場に来られていましたし、夏隊員の数名も会場に来ており、とても懐かしい感じがしました。朝日がとても眩しいくらいの好天で、気温も南極らしいマイナス28℃でしたので、管理棟3階の非常階段からお湯をまくシーン(湯気が一瞬にして凍って白くなる映像)も撮影することができましたので、茨城の会場の子ども達は、この映像を見ることができて良かったと思います。
  総合司会、カメラマンで活躍してくれた茨城県出身の隊員の皆さん、御苦労様でした。

司会者の写真
インタービューを受けている写真
(司会は茨城県出身隊員です)
(インタビューを受けている私です。)

 これだけ好天が続くのは、夏作業以来かと思われるくらいです。そんな好天の中、そして休日日課ということもあり、基地周辺のネスオイヤ、貝の浜、岩島にそれぞれ野外研修に出かけていました。私は管理棟前にある岩島(歩いて20分程度)に行ってきました。いつも見ているとはいえ、いざ歩いてみると意外に距離があり、いくつもの大きい氷山の間を通過しなければ行けない事もわかりました。そしてこの岩島、近くでみると意外と大きいのにはビックリしました。
  せっかくですから、頂上まで登って見渡してみると、これまたいい景色です。今まで見たことのない角度からですから、何かいつも見ている風景が新鮮に感じます。また、氷山に太陽の光が反射し、これまた綺麗に見えます。南極の景色を堪能した休日日課となりました。

岩島に向かう途中の氷山の写真
岩島の頂上からの写真
(岩島に向かう途中の氷山)
(岩島の頂上から)
岩島から見た昭和基の写真
頂上でハイポーズの写真
(岩島から見た昭和基地)
(頂上でハイポーズ!-28℃)

 中継拠点旅行隊はといいますと、走行距離59km、Z22地点まで到着。気圧756hPa、気温マイナス41.4℃、天候は晴、今日も安全走行で無事到着とのことです。明日以降も安全に進んでほしいものです。

8月22日(月)

(天候:曇・最大瞬間風速:7.5m/s・気温(最高:-17.3℃ 最低:-22.4℃)
(日出8:24 日入16:26))

 今日の午後より、アンテナ島に埋もれていた旧式雪上車の掘り起こしの支援をしました。アンテナ島というと先日、最後の旧式雪上車を運び出したという報告をしましたが、運び出したのはアンテナ島頂上付近に置いてあったもの18台で、実はその他に数台アンテナ島の下の方に転がっていた物があり、その数台の内の1台を掘り起こしているのです。
  数日前から環境保全隊員が、地道にミニユンボで降り積もった雪をどかしていましたが、雪上車本体まで2~3mを掘り下げ、全体が見えてきました。しかし、横倒し状態になっていることと、下になっているキャタピラ部分が全て凍っており、この氷砕きがまた一苦労。ユンボのバケットでは全く歯が立たないくらいの分厚い氷です。秘密兵器の削岩機で砕きますが、なかなか手ごわい氷です。交替しながら氷を砕き、砕いた氷をミニユンボでかき出す。この繰り返しを行いましたが、まだびくともしません。あと数日はかかりそうです。
  これだけ苦労するくらいなら、もう少し暖かい時期で氷が解けてから…とふと思いましたが、ここのまわりは海ですので、今の時期でしか重機を含めて来ることができません。これもいたしかたないのです。地道に掘り起こし作業(氷砕き)をやるしかないのです。

小型ユンボで掘っている写真
削岩機で氷を砕いている写真
(小型ユンボで掘ります)
(削岩機で氷を砕いています)

 毎月定期的に行なわれている西オングル島テレメトリー小屋充電旅行隊4名が出発。これで昭和基地の中には23名しか居ないことになります。夕食時には、2テーブル分の席が空いていて寂しい感じが・・・
  さて、中継拠点旅行隊は今日も順調に進んでおり、この調子で進むと予定より、早めに目的地に到着するとのことです。本日の走行距離は58km。(Z96地点到着)気圧741hPa、気温マイナス44.9℃。明日はいよいよ「みずほ基地」に到着予定だそうです。

8月23日(火)

(天候:曇・最大瞬間風速:10.3m/s・気温(最高:-15.7℃ 最低:-16.6℃)
(日出8:20 日入16:30))

 昨日、出発していた西オングル島テレメトリー小屋充電旅行隊が午前10時30分過ぎ、無事基地に戻ってきました。今回は天候にも恵まれ、また、充電作業もスムーズに進み、予定より早い時間での帰着となりました。距離的には近いところに位置していますが、何事も無く帰着できましたので一安心です。
  中継拠点旅行隊は、みずほ基地に到着後、雪上車の250km点検を行ったそうです。7台のソリを引いてサスツルギで、でこぼこになっている雪面を走行してきましたので、いろいろなところを整備します。キャタピラのボルト増し締め、足回りやプロペレシャフトのグリスアップ、各種オイルの点検を全車両行います。
  そして再び、目的地に向かって走行します。雪上車が故障などで走行不可能になってしまうと、このオペレーション自体ができませんので、充分な点検が重要になるのです。中継点はまだまだ先です。 みずほ基地の気象:気圧740hPa、気温マイナス39.8℃

 さて、持込んでいた食料も6ヶ月を過ぎるといろいろな物がなくなってきます。今日はタマゴがついになくなったそうです。キャベツ、グレープフルーツなども既に底をついていましたがとうとうタマゴも・・・食べたらなくなるのは当たり前ですので全員は納得しているのですが、気分的に寂しい気持ちが・・・ 12月中旬にしらせが来ますのでその時点で再度食料は補給されます。早く新鮮な食料が食べたくなってきた今日この頃です。

8月24日(水)

(天候:ふぶき後一時曇・最大瞬間風速:23.9m/s・気温(最高:-14.2℃ 最低:-17.2℃)
(日出8:15 日入16:34))

 今日は、月末恒例の各部会(観測、設営、生活)が一日がかりで開催されました。
  それぞれの部会で、各部門ごとに8月の活動報告、9月の活動予定報告をします。観測部会は観測、研究の内容の報告と野外活動の予定を、設営部会は建物設備の保守、管理を中心に、生活部会、各係のイベントなどを中心に報告されています。その中で、特に観測部門では、来月の活動で他の部門に支援を要請するオペレーションの予定、概要が報告されますので、来月の予定を捕らえ、その調整(日程、人)をオペレーション会議で審議することで、最終的な日程を作成するのです。9月からは宿泊を伴なう野外活動が多くなり、調整がかなり難しくなります。私たちは37名しかいませんので、この人員でできるだけ効率的な調整をしていきながら、46次隊の予定している野外活動(観測、実験)をしてゆくのです。
  また、しばらく好天が続き、南極らしくない状態が続いていたのですが、ようやく?天候が悪化し、9時に外出注意が発令されました。風はそれほどではなかったのですが、雪を伴ないましたので、視程が悪くなってきて外出制限発令の基準になったために発令されたのです。15時過ぎに回復し、解除されました。しかし、明日は今日以上の天候の崩れが予想されていますし、その後も崩れるという悪天候のサイクルに突入してしまったらしいです。やはり好天は長続きしないんですね・・・
  さて、中継拠点旅行隊の情報です。みずほ基地を出発しましたが、雪面のサスツルギの間隔が狭まり、走行しづらくなり雪上車の速度も6~7km/hしか出せない状況。それでも本日の走行距離は20km進んだそうです。気圧735hPa気温、マイナス42.8度。これから更に環境が厳しくなっていきます。 頑張れ~我ら旅行隊の仲間たち!!

8月25日(木)

(天候:吹雪一時雪・最大瞬間風速:31.4m/s・気温(最高:-11.9℃ 最低:-19.4℃)
(日出8:11 日入16:38))

 昨日一度収まった天候が再び崩れ、10時43分に外出注意が発令されました。最大瞬間で31.4m/sを記録、視程は管理棟の3階の窓から見ても、ほとんどすぐ隣の発電棟が見えないくらいですから、人の視線レベルでは多分ほとんど前が見えない状況だろうと思います。18時31分に解除となりましたが、このブリザードは「C級ブリザード」と認定されたのでした。明日は天候が回復かと思いきや、明日もまたブリザード予報で今日よりも荒れそうな予報です。連日のブリザードでまた凄いドリフト(吹き溜まり)が発生するでしょう。このドリフトとの戦いの繰り返しこそが南極を制するのです。?
  さて、今日は今月最後のTV会議が行なわれました。「ス-パ-サイエンスミュージアム」と題し、昭和基地を含む4元中継です。日本側のゲストととして、あの宇宙飛行士であった「毛利 衛」さんが参加されていたそうです。実は、中継時間が昭和時間で午前3時30分(日本時間午前9時30分)でしたので、私の出番も無く(起きていられませんでした)、数人が見ていたそうで、見ていた隊員から聞いたのです。参加された関係隊員の皆さん大変ご苦労様でした。

午前3時過ぎですから観客が・・
これが4元中継です
(午前3時過ぎですから観客が・・)
(これが4元中継です)

 これで今月のTV会議8回全てが終了したわけですが、多くの日本の子ども達に南極のことを理解してもらえて、とても良かったと感じていますし、昭和基地周辺の「今」の映像もリアルタイムで見てもらうことができて、見る側、見せる側両方にとって素晴らしいTV会議中継になったと思います。これを期に南極に興味を持ってもらい、多くの子ども達に近い将来、ぜひ「昭和基地」に来てもらいたいものです。
  さて、中継拠点旅行隊の本日の動向はというと、やはり天候が悪いため思ったように進めず、MD40地点に到着。走行距離は26kmでした。吹雪のため、雪上車間においてあるトイレ用カブースにライフロープを張ったということらしいです。それだけ吹雪によって視程が悪くなったのでしょう。トイレに行く時も安全確保!明日はブリザードで視程が確保できなければ停滞の可能性もあるそうです。
  気圧720hPa、気温マイナス31.7℃からの報告でした。

8月26日(金)

(天候:吹雪・最大瞬間風速:33.3m/s・気温(最高:-7.7℃ 最低:-14.1℃)
(日出8:07 日入16:42))

 午前7時に全館放送で「外出注意を発令するので人員確認を行なう」という放送で飛び起き、通信室にダッシュです。人員確認の連絡が一斉に通信室に入りますのでこの手伝いをするためなのですが、今日は私が通信室に到着する間(約1分少々)に連絡が終了していました。これはほとんどの隊員が居住棟の自室で寝ており、居住区の代表が各部屋からの確認を取りやすかったのですが、それにしても今日は全員の確認まで約1分。素早い対応でした。
 やはり昨日の予報どおりにブリザードになり昨日、一昨昨日よりさらに凄いブリザードになりました。結局、今日一日、外出注意が解除されませんでした。  
 このブリザードも明日は回復するそうですが、またそれ以降悪天候が予想されていますので、明日、天候の回復を待って除雪作業をしなければなりません。

風速計のプロペラが壊れそうの写真
発令直後の風速ですの写真
(風速計のプロペラが壊れそう)
(発令直後の風速です)

 さて、各部会が終了した後に行なわれるオペレーション会議が、13時30分より、食堂で開催されたのです。今回はオペレーション会議構成員の内2名が中継拠点、圧雪滑走路造成実験にそれぞれ出ていますので、代理の隊員が出席して行われました。内容はというと例月同様に各部会報告、9月の予定などが中心に協議されましたが、何と言っても9月は野外活動が多く13ものオペレーションが計画されていますので、そのオペレーションの日程調整や支援隊員の調整などが重点的に協議されたのです。支援する隊員が重複していないか、かたよっていないか、日程的に大丈夫なのか、雪上車の配車はどうか等一つ一つのオペレーションの検証と全体的な日程調整が図られました。またこのように計画していくらうまく調整を行なっても、天候によって左右されるものですからブリザードで動きが止まってしまうとその分計画が全てずれ込んで行ってしまいます。
 その際に再度、調整をしなければなりませんが、これも致し方ありません。全てが計画通りに進むことは到底考えられませんので、一応順延された場合のオペレーションの優先順位を付けてこのような状況になっても動じない体制をとっているのです。でも何とか最小限の変更で済むようにと思っていますがさて、どうなることやら・・・

いつものように真剣に行なわれていますの写真
(いつものように真剣に行なわれています)

8月27日(土)

(天候:曇一時雪・最大瞬間風速:25.7m/s・気温(最高:-7.3℃ 最低:-15.4℃)
(日出8:02 日入16:46))

 今日は昨日までの悪天候がようやくおさまり、このタイミングを待っていたかのように野外活動が休日日課にもかかわらず盛んに行なわれました。一つは西オングル島の東池までのルート工作で、東オングル島(昭和基地管理棟)から時計回りに回り込み目的地の東池までのルートを作成するというもので無事に終了。もう一つはM5地点で行われているラドン観測用のバッテリーを交換。これも無事終了できました。
 そしてもう一つは海洋生物のサンプリングと漁協係主催の釣りがネスオイヤ付近で行われました。釣りは今まで数回行なってきた漁場(北の浦海氷上)を変えてのチャレンジでしたが成果はというと、ショウワギス他35匹と5個のクモヒトデ。魚は意外と大きなものも有りましたので、まずまずといったところでしょうか。

釣りの成果ですの写真
一人でこんなに釣った隊員もの写真
(釣りの成果です)
(一人でこんなに釣った隊員も)
東池の氷は透き通っていて綺麗ですが・・・の写真その1
東池の氷は透き通っていて綺麗ですが・・・の写真その2
(東池の氷は透き通っていて綺麗ですが・・・)

 そしてブリザードの後といったらドリフトがいたるところに出来ていますのでブルドーザーでの除雪も一日中行なわれていました。
 休日日課と言えども出来る条件のときにやっておかないと、いつブリザードで足止めをされるかわかりません。一日程度でおさまるようなブリザードであればまだしも、数日間、外出禁止なんてこともありえます。一応、前日のミーティング時に気象隊員による翌日の天気予報が発表されます。その予報いかんによって明日の行動の準備、また順延等の方向性がだされます。この目まぐるしく変化する天候との戦いも南極観測隊にとって重要なポイントとなっているのです。
 さて、中継拠点旅行隊は順調に目的地に向かって進んでいます。途中でそりに積んであった缶ジュースが寒さの影響なのか荷物同士ぶつかったのかは不明らしいのですが、破れているのが見つかり急遽、ソリから雪上車に全て移動したハプニングもあったそうです。MD84地点からMD132地点までの49km走破。気圧706hpa、気温マイナス50.8℃(ついに50℃を超えました)の中継拠点旅行隊からの報告でした。
 また圧雪滑走路造成実験隊は予定していた実験全てを終了し、後片付けをして帰る準備に入ったそうです。
 どちらも安全第一で頑張って下さい!!

8月28日(日)

(天候:ふぶき・最大瞬間風速:37.2m/s・気温(最高:-4.6℃ 最低:-9.1℃)
(日出7:58 日入16:49))

 今日は明け方から急に天候が崩れだし、午前5時14分に最大瞬間風速37.2m/sを記録し、しばらくこの状態が続いたため、7時に外出注意が発令されました。その後も収まる気配が無くこのまま外出禁止になるだろうと思っていましたが、なかなか平均風速25m/sを超えそうで超えない状態で一日中推移しました。結局、15時過ぎから徐々に風速も弱まり21時37分に解除となりました。昨日の天気予報で予想はされていましたが、たった3時間弱で一気に崩れていき且つ、崩れ方が凄まじいこの気象条件はまさに「南極」と言ったところでしょうか。9月になると宿泊を伴う野外活動が数多く計画されていますが、天候の変化には充分注意して行動をしなければなりません。
さて外は悪天候ですが管理棟の中は全く穏やかな休日日課となりました。月に2回営業します喫茶「ひだまり」が14時30分から開店をしました。今日も手作りでとてもおいしいメニューとなっていました。一つはティラミスで何やら一工夫されていてちょっと苦味のある大人の味がしてとても美味しかったです。それからドーナツとチュロスというものでしたがこちらもとても美味しくいただきました。
 管理棟の外はブリザードですが、それを忘れさせてくれるほっとした時間を作り出してもらったような気がしたのは私だけではないでしょうね。いつも美味しいものを丹精こめて作って提供してくれる喫茶係の皆さん、ありがとうございます。

美味しかったですよの写真
美味しかったですよの写真
(美味しかったですよ)
(喫茶係の皆さん)

 さて、中継拠点旅行隊はやはり悪天候の影響で視程が100m程度しかない状態らしく、先頭車両が視界から消えてしまいレーダーと無線の誘導で合流できたというハプニングも。サスツルギもとても大きな物が目立ち雪上車のフロントガラス付近の高さに達するものもあり、行く手を阻まれることもあったそうです。そんな状況ですのでゆっくり安全を確認しながら3~5km/hで進んだと言うことです。それでも本日の走行距離は22km。よく頑張りました。
気圧685hPa、気温マイナス34.5℃のM132地点からでした。
 もう一方の圧雪滑走路造成実験旅行隊は、こちらは悪天候の影響をまともに受けたようで、気象状況は測定不能で完全に停滞したと言うことです。測定不能の状況は一体どれほどのものだったのでしょうか?帰ってきたら是非聞いてみたいものです。この停滞を余儀なくされたことによって29日の帰着予定が1日延びて30日なるそうです。もう少しですので安全に、慎重に帰ってきてもらいたいものです。

8月29日(月)

(天候:晴後曇・最大瞬間風速:37.2m/s・気温(最高:-9.0℃ 最低:-14.2℃)
(日出7:53 日入16:53))

 今日の午後から久しぶりに外作業に行ってきました。管理棟より約200m程の北の浦の海氷に穴を開け海水を採取する作業だったのですが、この海氷にアイスオーガという氷掘削用のドリルに電動のアングル・ドリルをつけて掘り込んでいくのですが、約1mのエクステンションを次々足すこと7本、深さが7mのところまで行ったのですが、アイスオーガの中に氷が詰まってしまいこれ以上掘ることが出来なくなったため今日のところはこれまでとなりました。  
 ここまで約2時間余り、風速10m/sの吹きさらしの中での作業は久しぶりに南極を感じました。また明日以降天候を見ながら再開となったのです。それにしても7m掘っても海面に出くわさないのですから凄いものです。

最初はどんどん進んだのですが・・・の写真その1
最初はどんどん進んだのですが・・・の写真その2
(最初はどんどん進んだのですが・・・)
この長さを見て下さい
(この長さを見て下さい)

 中継拠点旅行隊情報です。気圧689hPa、気温マイナス43.8℃。今日は地吹雪のため視程が不良のため停滞をし、午後より多少回復しましたが走行には至らず、雪上車で牽引してきた橇が地吹雪によってドリフトがついて埋まっているものもあったのでその掘り出し、ソリ列の移動を行なったそうです。本日はMD154地点に完全停滞でした。
 また圧雪滑走路造成実験旅行隊はS16地点まで戻ってきており今日はここでキャンプとのことです。さすがに厳しい条件の中で走行してきた雪上車も軽いダメージを受けており応急処置を施し動いてはいますが戻ってきたら本格的な修理が必要になるようです。あと少しで昭和基地ですから何とか持ちこたえてもらいたいものです。

8月30日(火)

(天候:曇・最大瞬間風速:37.2m/s・気温(最高:-13.7℃ 最低:-17.2℃)
(日出7:49 日入16:57))

 12日間のオペレーションを終えた圧雪滑走路造成実験旅行隊が15時30分、無事昭和基地に帰着しました。4名の隊員の顔には厳しい環境の中でほぼ目的どおりのオペレーションを成功させたという満足感と達成感が「笑顔」となって現れているのでしょう。でも全員が頬に軽い凍傷をしていましたが、いかに寒さが厳しかったかを物語っています。
 いずれにしても今日はゆっくりお風呂に入って自分のベッドで寝て疲れを癒してほしいものですが、この4名のメンバーの内2人は9月1日からのオペレーションが早速控えています。また基地を留守にしていた間に溜まっているメールの整理、業務の整理もかなりの量になっています。基地に帰ってきてゆっくりする暇が取れませんがこれも致し方ありません。とにかくお疲れ様でした。

無事、到着!皆で荷物降ろしを手伝いますの写真その1
無事、到着!皆で荷物降ろしを手伝いますの写真その2
(無事、到着!皆で荷物降ろしを手伝います)
ミーティングで報告するリーダーの写真
(ミーティングで報告するリーダー)
※圧雪滑走路造成実験の様子です。
除雪機で一定のエリアを先ず掘りますの写真その1
除雪機で一定のエリアを先ず掘りますの写真その2
除雪機で一定のエリアを先ず掘りますの写真その3
(除雪機で一定のエリアを先ず掘ります)
こんな吹雪も有りましたの写真
その後雪上車で踏み固めますの写真
寒さから守りますの写真
(こんな吹雪も有りました)
(その後雪上車で踏み固めます)
(寒さから守ります)
(この様子から寒さを感じてください)
(でも元気一杯です)

 さて今日の13時30分から月末恒例の全体会議が開催されました。9月は多くの野外活動が予定をされています。ピーク時には中継拠点旅行隊を含め15~16名が旅行をすることになります。そうすると基地の中には20名程度しか残らなくなりますので、その間の消火体制など緊急事態が起こった時の代理体制含めて確認しておかなければなりません。いよいよ9月になると慌しくなり、より一層時間の経過が早まっていくことになりそうです。47次隊としらせが来るまであと4ヶ月余りとなりました。いよいよカウントダウンが始まったような気がします。

(全体会議です)

 中継拠点旅行隊情報です。気圧678hPa、気温マイナス47.5℃。特に人員、車両等に異常なく走行できたそうです。本日の走行距離は27.4km。MD182地点まで進んだようです。中継拠点がMD364ですのであと約183kmで到着します。ようやく先が見えてきています。でも慎重に慎重に・・・

8月31日(水)

(天候:雪後一時吹雪・最大瞬間風速:36.9m/s・気温(最高:-8.5℃ 最低:-17.2℃)
(日出7:45 日入17:01))

 今日の午後より昨日のブリザードで出来た130kl水槽の周りのドリフトを、手空き総員作業で崩しながら水槽の中に入れる作業をしました。ドリフトは発電棟の屋根まで達し、水槽の渕自体もほとんど見えないくらいに溜まっていました。約20名程の隊員がスコップでドリフトを崩しながら水槽の中に入れていきます。約30分ほどで水槽には山盛りの雪が入りましたが、ドリフトはほんの少し崩れただけで、明日はまたブリザードが予想されていますので元の木阿弥になるような・・・いえ、絶対になります。そうなるとまたドリフトを崩して水槽に入れ貴重な水を作るのです。地元だと厄介な除雪作業ですがここでは大切な「水つくり」の作業となっています。

雪入れ直前のドリフトです
(雪入れ直前のドリフトです)
雪入れで随分無くなりましたの写真
(雪入れで随分無くなりました)

 さて、今日で8月も終わり、いよいよ明日から9月に突入です。日の出もどんどん早くなり7時過ぎから夕方17時頃まで外作業も充分にできるくらいになりましたし、9月からは野外での活動が盛んになり、観測隊としての動きが本格化し「夏日課」(業務時間が8:00~17:00)という時間帯に変更になります。観測部門は本格的な観測、設営部門は持帰り用物品の整理も始まってきます。いよいよ後半戦、そして終盤に近づいてきている時期になったのです。

雪入れ直前のドリフトです
(夏日課ポスター製作は私です)

 中継拠点旅行隊情報です。665hPa、気温マイナス41.1℃、天候、地吹雪。MD210地点まで到着(本日の走行距離28km)到着時には視程が約50m程しかない状況。人員、車両等異常なし。進めぇ~!!もう少しだぁ~!

第46次日本南極地域観測隊 越冬庶務 近江


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