「エネルギー」のはなし(子ども向けページ)
1.電気はどうやって作られているの?
私たちの家庭や、工場、会社、学校などで使われる電気は、ほとんどが、火力(かりょく)発電所(はつでんじょ)や水力(すいりょく)発電所(はつでんしょ)、原子力(げんしりょく)発電所(はつでんじょ)で作られています。電気は発(はつ)電機(でんき)を回して作られますが、発(はつ)電機(でんき)を動かすために、水の力や熱の力を利用するのです。
このほか、電気を作る方法は、風の力を利用するもの、太陽の力を利用するもの、火山地帯などで地熱(ちねつ)を利用するものなどがあります。また、今大変話題になっているものに、燃料(ねんりょう)電池(でんち)があります。
燃料(ねんりょう)電池(でんち)は、酸素と水素を反応させて電気を作るものです。水の電気分解(でんきぶんかい)と逆の化学(かがく)反応(はんのう)を利用するもので、電気と水ができます。
2.電気は何に使われているの?
わたし達の生活で、電気で動くものはどれだけあるでしょう。テレビ、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、パソコン、ビデオデッキ、電話、もちろん照明もあります。ストーブも電気がなければ使えません。電気は、私たちの生活になくてはならないものなのです。
3.生活のなかのエネルギー
私たちは、電気の力を利用し、いろいろな機械や道具を動かして生活しています。このほか、料理にはガス、暖房には灯油、自動車にはガソリンなどを利用しています。
このように、私たちは、石油や電気、ガスなどの力を使って生活しているのです。この「力」のことを「エネルギー」といいます。何かを動かしたり、熱や音を出す「はたらき」をするものです。
昔から、人間は自然のエネルギーを利用して生活してきましたが、石油や電気、ガスなどを利用するようになったのは、人間の歴史のなかでは、ごく最近のことなのです。18世紀に蒸気(じょうき)機関(きかん)が発明されて、「産業(さんぎょう)革命(かくめい)」が始まり、石炭が大量に使われるようになりました。その後、水蒸気(すいじょうき)から電気へとエネルギーの形は変わり、燃料も石油へと変わってきたのです。
石炭や石油などの化石(かせき)燃料(ねんりょう)が使われる以前、私たちの先祖が利用したのは、木のエネルギーです。エジプトや中国など、古代文明が栄えたところでは砂漠(さばく)が広がっていますが、人々が森林を使い果たしてしまった結果なのです。ヨーロッパでも森林が伐採(ばっさい)され、もう原始の森はほとんどありません。
4.エネルギー問題
エネルギーは、私たちの生活になくてはならないものですが、とても大きな問題があります。
(1)石油はどれだけあるの?
化石(かせき)燃料(ねんりょう)とは何でしょう?
化石(かせき)燃料(ねんりょう)とは、石炭、石油、天然ガスなどのことをいいます。大昔の動物や植物の死がいが、地中の熱や圧力を受けて変化し、3~4億年という長い年月をかけてできたものなのです。ですから、使ってしまうと2度と同じものはできない「使い切り」のエネルギーなのです。
化石(かせき)燃料(ねんりょう)が地下に存在する量を埋蔵量(まいぞうりょう)といいます。石油の埋蔵量(まいぞうりょう)はあと40年分、天然ガスは70年、石炭は190年分といわれています。
石油は、燃料として使っているだけではなく、いろいろな製品の原料にもなっています。これからは、化石(かせき)燃料(ねんりょう)に依存している社会の仕組みを変えていく必要があります。
(2)石油をめぐる争い
化石(かせき)燃料(ねんりょう)は、地球上のどこにでもあるわけではありません。エジプト、サウジアラビア、イラクなどの地域に世界の石油の3分の2があるのです。
石油の値段には、世界中の国々が大きな関心をもっています。石油の取引をめぐって、石油を持つ国と持たない国の間で紛争(ふんそう)がおこる可能性もあるのです。
(3)豊かな国と貧しい国
また、このことは、豊かな国と貧しい国の間の差が、ますます広がっていくことにもつながります。
日本を含む先進国といわれる豊かな国では、たくさんのエネルギーを使っていますが、開発(かいはつ)途上(とじょう)国(こく)に住む人びとはわずかなエネルギーしか使えません。
使うエネルギーの差は、いろいろなことに影響(えいきょう)を及ぼします。食料、学校教育、医療(いりょう)などにも大きな差があります。平均寿命も日本では82歳ですが、アフリカのシエラレオネでは34歳です。これはエネルギーの不公平の結果なのです。
(4)地球(ちきゅう)温暖化(おんだんか)
また、今大きな問題になっているのが、環境(かんきょう)問題(もんだい)です。
地球(ちきゅう)温暖化(おんだんか)は、空気中の二酸化炭素(にさんかたんそ)が増えることが原因といわれています。二酸化炭素(にさんかたんそ)は、化石(かせき)燃料(ねんりょう)を燃やすことで発生します。
温暖化(おんだんか)がすすむと、異常(いじょう)気象(きしょう)や水不足が起こり、動植物にも大きな影響(えいきょう)が出ます。また、細菌(さいきん)やウィルスの活動も活発になり、熱帯性(ねったいせい)の伝染病(でんせんびょう)が流行するという予測もあります。
このような大きな影響(えいきょう)を避(さ)けるためには、地球の平均気温の上昇を2度以下にしなくてはなりません。二酸化炭素(にさんかたんそ)などの発生を、現在の値(あたい)から半分以下にしなくてはならないとされています。
5.私たちは何をしたらよいのか?
エネルギーの問題を解決する方法はあるのでしょうか?
風力(ふうりょく)発電(はつでん)は、エネルギー問題を解決するための1つの方法です。風は「使い切り」の化石(かせき)燃料(ねんりょう)ではなく、何回でも使えるエネルギーです。また、二酸化炭素(にさんかたんそ)を発生しない発電方法でもあります。
私たちの子孫が、これからも地球で暮らしていくため、今からエネルギーの使い方を変えていくことが必要です。エネルギーを無駄使い(むだづかい)しないことから始め、化石(かせき)燃料(ねんりょう)から風や太陽、植物のエネルギーを利用していく社会を創(つく)っていかなくてはなりません。
エネルギーの問題は、環境(かんきょう)や人口、食料の問題とも複雑(ふくざつ)に関係していて、簡単な解決方法はありません。けれども、毎日の生活のなかで少しでも気にかけることが大事です。ちょっと気にしてみてください。
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