臨床検査科のご案内
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更新日:2024年12月6日
検査科紹介
当検査科では現在15名の臨床検査技師と助手2名の計17名(男性8名、女性9名)で検査を実施してます。臨床検査は大きく分けて検体検査と生理機能検査があります。
検体検査は患者様から採取した血液・尿・便・細胞…を対象として検査しています。
生理機能検査は心電図・脳波検査…など患者様ご自身を対象として検査しています。
分野別で当検査科の紹介をします。
検体検査
血液学的検査
血液検査は血液疾患(貧血や白血病など)の病気の状態を解析・診断する検査であり、診断後も治療の効果・判定、経過観察、予後推定に欠かせません。血液疾患以外に感染症、悪性腫瘍、肝疾患、腎疾患、代謝異常、膠原病…などあらゆる全身性疾患の検査としても重要です。
血液検査は主に血中の細胞(赤血球、白血球、血小板)を診る血液一般検査と出血傾向や血栓の有無を診る凝固・線溶系検査があります。
また骨の中の骨髄液を採取して造血の様子を診る骨髄検査があります。
ここでは輸血分野の一部であるABO・Rh式血液型判定もしています。
生化学的検査
主な生化学検査として、肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP…)、腎機能検査(BUN、CRE…)、血糖検査(GLU、HbA1c…)、脂質検査(T-CHO、HDL-C、LDL-C…)、腫瘍マーカー(CEA、AFP、PSA)、甲状腺機能検査(TSH、FT3、FT4)などがあります。これらの検査結果が出た時、検査報告書には基準値が記されます。
当院の基準値は健康な人を集め、項目ごとで95%の人が含まれるような範囲に設定してます。ひとつでも基準値の範囲にない項目があると気になるものですが、一応の目安としてください。まれに病気でなくとも検査結果が基準値から外れることがあります。検査値は年齢差や性差、1日のどのタイミングで検査したかなどでも変化します。医師は経時的な変化や他の検査データを診て総合的に判断してます。
まずは病気のことだけではなく、日ごろの生活管理全般について医師や看護師の指示に従うことが大切です。
尿・便などの一般検査
一般検査では主に尿や便について検査を行ってます。尿検体については、スクリーニングとして尿蛋白、尿糖、潜血などが出ていないか試験紙で診てます。また遠心分離を行うことで、腎臓、膀胱といった泌尿器に由来する細胞や血球を調べることができます。尿検査は糖尿病や腎臓病、泌尿器の感染症などの診断に役立ちます。
便検体では、潜血や寄生虫卵について調べることができます。特に便潜血は癌や細菌感染による腸からの出血を調べる、重要な検査です。
このほか髄液検査、キットを使用したインフルエンザなどの迅速検査も行ってます。
免疫血清学的検査
免疫検査はほぼすべてが抗原抗体反応を利用しています。検査過程で血清中の蛋白などが誤って反応(または阻害)することがまれにあり、偽陽性・偽陰性の原因となって判定に時間がかかることがあります。
当院では梅毒、HIVなどの性感染症、B型・C型といった肝炎ウイルスの感染有無を調べています。
HIVや肝炎ウイルスは、感染初期には自覚症状がほとんどないため、気づかないまま病状が悪化していく可能性があります。
検査によって早期発見、治療が可能なので検診を積極的に受診してください。
輸血検査
血液型には一般的に知られているABO型、Rh型に加え、Lewis型、Duffy型、Diego型など多数の型があります。輸血検査は輸血を受ける人に血液製剤が適合するかどうかを調べる検査です。
生理食塩水法、間接クームス法など、複数の方法で調べる事で安全性を高めます。
近年設立された稚内血液センターと連携することで迅速な濃厚赤血球製剤の提供が可能になりました。
微生物学的検査
細菌検査は患者様から採取した尿、便、喀痰、血液・・・などで感染症の原因となっている微生物の検索とその細菌がどの薬剤に効くかを調べる薬剤感受性試験を行っています。起因微生物の検索では塗抹(グラム染色)→分離培養→同定検査の流れで検査しています。
病理学的検査
病理学的検査には、大きく病理組織検査、細胞診検査があります。病理組織検査(組織診)
病理組織検査とは、手術で摘出された臓器や内視鏡などで採取した組織などを対象に、病理組織標本を作製し、顕微鏡で観察・診断する検査です。患部が炎症によるものなのか、良性腫瘍か、または悪性腫瘍かなどが分かります。病理組織検査は多くの場合が「確定診断」となります。この診断結果により次の治療方診などが決まります。
標本作製は臨床検査技師が行い、診断は専門の医師である病理医が行います。
当院の病理医は北海道大学医学研究科腫瘍病理学分野から週に一度、出張できてます。
細胞診検査(細胞診)
細胞診検査とは、尿や喀痰中の細胞、子宮をこすって採取した細胞、乳房のしこりに針を穿刺採取した細胞などを対象に細胞診標本を作製し、顕微鏡で観察・診断する検査です。採取した細胞のなかに正常とは異なる細胞(異型細胞)がないか、その細胞が良性か、または悪性かなどを見分けます。
細胞診検査は病理組織検査と比べ、採取時の患者様への負担が少なく、繰り返し検査を行えることから、癌検診や手術後の経過観察などに利用され、病理組織検査の補助的役割も担っています。
標本作製において細胞を観察し診断に役立つ細胞を選び出す作業や良・悪性の判定などを細胞検査士が行います。最終的な診断は細胞専門医が行います。
細胞専門医は北海道がんセンター病理部の医師に依頼してます。
病理解剖について
患者様がお亡くなりになった際、ご家族の承諾のもと病理解剖させていただくことがあります。病理解剖は患者様の死因、合併症、治療効果の究明を目的として行われます。
病理解剖の結果は病理解剖検討会で報告し、今後の医療の発展に役立てています。
生理機能検査
生理機能検査では検査の紹介と検査時の注意点を記載しました。このページをご覧になって、患者様が不安なくスムーズに検査を受けることができれば幸いです。
循環生理検査
心電図検査
心電図(ECG)は心臓で起こる電気信号を波形として記録したもので不整脈、心肥大、虚血性心疾患などの診断や手術前の精査などでも行われます。痛みは伴いません。注意点
上下分かれた着脱簡単な衣服でお越し下さい。また、足首に電極を装着しますのでタイツは避けてください。検査時間は5分です。
ホルター心電図
携帯型の小さい心電計を体に装着し、日常生活(24時間)の心電図記録をとります。心疾患、不整脈の判定や自覚症状時の心電図変化をみます。
注意点
通常の生活をして構いません(激しい運動は避けてください)装着中はシャワーや入浴はできません。また電気毛布は使わないで下さい。
装置装着時間は15分です。
肺機能検査
肺活量や、肺機能を調べます。肺疾患の診断や手術前検査としても行われます。マウスピースを通して大きな呼吸や強い呼吸をしていただきます。
注意点
息を大きく吸ったり吐いたりしますので出来るだけ楽な服装でお越し下さい。患者様の努力次第で結果が大きく変わります。ご協力をお願いいたします。
検査時間は肺活量などの簡単な検査では約10分、精密検査は約20分です。
動脈硬化検査(ABI・PWV)
両手、両足の血圧測定をして動脈のつまりや硬さをみます。注意点
冬場などズボン下着用で来院される場合、足首にゆとりのあるものをお召しになって下さい。透析用シャントのある方は、念のため技師にお伝え下さい。
検査時間は約20分です。
超音波検査(腹部・心臓・下肢・腎動脈・頚動脈・甲状腺エコー)
装置から超音波を出して、各臓器・血管から反射してくる超音波を画像化する検査です。超音波は人体に無害で、繰り返し検査できます。
注意点
腹部・腎動脈エコーは食事をとると腹腔内にガスがたまり診断が難しくなります。午前中の検査の場合、前日21時以降は禁食となります。※水またはお茶は可。あめ、ガムは不可となります。
検査時間は腹部・心臓は約20分から30分、その他は30分から1時間程度です。
神経生理検査
脳波検査
脳から発生する微弱な電気信号を波形として記録し、脳の働きをみます。頭にクリームを塗り電極を装着して、覚醒時や睡眠時の脳波を記録します。
痛みは伴いません。
注意点
前日に洗髪し、検査当日は整髪料やピアスはご遠慮願います。検査中は眠っていただくのが好ましいので寝不足気味でご来院ください。
(小児科の場合、睡眠導入剤を使用して検査することもあります。)
検査時間は約1時間です。
神経伝導速度検査(NCV)
末梢神経を皮膚上から電気刺激し、刺激の伝導速度、振幅などを測定します。神経障害では伝導速度の遅延、振幅の低下を認めます。
注意点
神経を電気で刺激するため、疼痛(ピリピリ感)を伴う検査です。検査時間は腕のみの場合約30分、腕+足の場合は1時間~2時間かかります。
耳鼻科領域検査
聴力検査(標準鈍音聴力検査、チンパノメトリー)
どのくらい小さな音まで聞こえるかを測定します。その結果により、聞こえの悪さがその部位の異常によるものかを大まかに判断します。
めまいで受診された場合もこの検査を行うことがあります。
注意点
検査前に耳の装飾品類ははずしてください。検査時間は15~20分です。
聴力誘発電位(ABR)
脳波を使った聞こえの検査です。カチカチという音を聞いていただき、同時に脳波を記録します。脳幹反応があるかないかで聞こえているかどうか判断します。
注意点
小さなお子様は動くことがあるので睡眠状態で記録します(睡眠導入剤を使用することもあります)。検査時間は約30分です。