ここからメインメニュー

メインメニューここまで

サイト内共通メニューここまで

ここから本文です。

市長所信表明(令和5年(2023年)6月19日)

所信表明

令和5年(2023年)6月19日
稚内市長 工藤 広

目次

はじめに
「5つのゼロ」
各分野における具体的な取組
  1. 安心できる「暮らしづくり」
  2. 地域資源を活かした「仕事づくり」
  3. 市民が笑顔の「基盤づくり」
  4. 未来を担う「人づくり」
  5. 市民が誇れる「ふるさとづくり」
むすびに

はじめに

本日、令和5年第5回稚内市議会定例会が開催されるにあたり、市政運営における私の所信を申し述べさせていただきます。
先の統一地方選挙における稚内市長選挙において、多くの市民の皆様のご信任をいただき、引き続き市政の舵取り役を担わせていただくことになりました。
改めて、この場に立っていることは、この上ない光栄であるとともに、市政を預かる重責に、身の引き締まる思いです。
私は、平成23年に市長に就任してから、この3期12年間、全ての市民が元気に笑顔で暮らせるまちづくりを目指し、まちの発展、課題解決に全力で取り組んできました。
特に、3期目の4年間においては、市民の皆さんが、安心してこのまちで暮らし続けられるよう、「10の約束」として掲げた、「高校生までの医療費の無料化」や「保育所の待機児童の解消」、また「稚内型奨学金の創設」、そして「市役所新庁舎や稚内中学校の建設」などについて、私自らが先頭に立って、積極的に推進してきたところであり、議員をはじめ、市民の皆様のご協力のもと、一定の成果をあげることができたと自負しているところです。
しかし、新型コロナウイルスの世界的流行やロシアによるウクライナ侵攻など、国際情勢の大きな変化を要因とした、原油や物価の高騰に対し、市民生活や事業経営に及ぼす影響を最小限にとどめるための対策に、奔走しなければならなかったばかりでなく、これまで本市がサハリンとの間で半世紀にわたって交流し、築き上げてきた関係性などにも、甚大な打撃を受けることとなりました。
今後は、そのような外的要因により、活動に制限を受け、思うように実施できなかった取組を、改めて進めていくことに加え、新たな課題の解決に向けても、強い信念を持って取り組んでいく所存です。
その上で、4期目の市政運営のスタートを迎えるに当たり、早急に、そして継続して取り組む必要があると考える政策として「5つのゼロ」を掲げさせていただきました。

1つ目は、「保育所の待機児童ゼロ」です。

市内保育所における待機児童は、公立保育所と私立保育所における役割の明確化や、認定こども園の整備支援など、保育施設の充実により、解消を図ることができましたが、昨今の人手不足の状況などにも鑑み、子育てと仕事の両立支援の観点から、安心して子どもを産み育てられる環境の一層の充実を目指します。

2つ目は、「特別養護老人ホームの待機者ゼロ」です。

入所待機者の中には、通所や在宅で、医療や介護サービスを受けながら、生涯、ご自宅で生活したいという希望を持つ方も多いと認識しており、単に施設という受け皿を増やすのではなく、在宅医療と在宅介護の連携を一層強化しながら、サービス提供体制を整えることによって、ご本人が望む暮らしを実現し、待機者の解消を図りたいと考えています。
また、元気な高齢者をできる限り多くしていくことが、入所待機者を減らしていくことにつながりますので、健康寿命の延伸を図る取組も、並行して進めていきます。

3つ目は、「高校生までの医療費ゼロ」です。

高校生までの医療費無料化については、すでに実施しているところですが、継続して取り組むことにより、今後も、まち全体で子どもたちの健康を守るとともに、子育て世代の経済的負担を軽減します。

4つ目は、「子育ての負担ゼロ」です。

本市では、いま申し上げた「高校生までの医療費ゼロ」をはじめとして、様々な子育て支援策の充実に取り組んできました。
今後も、より一層、このまちが「子育てしやすいまち」だと実感してもらえるよう、取組を進めていきますが、その新たな一歩目として、まずは給食費について、現在半減の対象としている世帯の負担ゼロ、そして残る全ての世帯の負担半減に取り組みます。

5つ目は、「ゼロカーボン 温室効果ガスの排出量ゼロ」です。

本市はこれまで、2011年3月に「環境都市宣言」、2021年2月に「ゼロカーボンシティ」を目指すことを表明し、国が示す2050年カーボンニュートラルを見据えながら、風力発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入拡大や、公共施設への電力自己託送などに取り組んできました。
引き続き、「地域エネルギー会社の設立による再エネの地産地消」、「余剰再エネ電力を活用した地域間連携の構築」に取り組むとともに、今後は、市民生活や企業活動により排出されるCO2を削減する観点から、家庭や事業所における省エネ機器などの導入支援を検討しながら、全市が一丸となって、「ゼロカーボンシティ」の実現に取り組みます。
これら「5つのゼロ」については、すでに着手しているものもあり、スピード感を持って、着実に取り組んでいきたいと考えていますが、無論、これだけをもって市政運営の全てが成り立つわけではありません。
ここからは、各分野における具体的な取組について、「第5次稚内市総合計画」における基本方針を踏まえて設定した「5本の柱」に基づいて、順に述べさせていただきます。

1つ目の柱は、安心できる「暮らしづくり」です。

全ての市民が、この街で安心して暮らしていくためには、「不安なく子どもを産み育てられる」、「心配なく老後の生活を送れる」、そのような環境を維持し、充実させていく必要があります。
まず、在宅医療センターの設置についてです。
地域医療体制の充実については、これまでも本市の最重要課題と捉え、宗谷圏域のセンター病院である市立稚内病院の機能向上のみならず、市内の公的病院や民間病院への支援、また開業医の誘致など、一次医療の充実に向け、あらゆる取組を進めてきました。
今後は、継続してそれらの取組を進めていくことはもとより、先ほど申し上げたように、在宅での医療・介護のニーズが高まっている状況を踏まえ、医療機関や介護事業者、そして「地域医療を考える稚内市民会議」などの関係団体とともに、各々が果たすべき役割や機能を確認しながら、今後の医療体制の在り方についての協議・連携を深め、市民が在宅で、安心して医療や介護を受けられるよう、「在宅医療センター」の設置に向けた検討を進めます。
次に、地域共生社会の実現についてですが、誰もが活躍の場を持ち社会に参加して、ともに支え合うまちづくりを目指すため、従来、障がいのある方や高齢者の社会参加支援として、地域の皆さんと一緒に、高齢者の方が集まるサロンや介護予防教室の取組などを進めてきました。
さらに、「第2次 稚内市地域福祉計画」の基本理念に「地域共生社会」の実現を掲げてからは、これまで縦割り制度の狭間に置かれてきた、ニートやひきこもりの方が社会に参加するための支援に、新たに着手してきたところです。
今後も、制度や分野毎の縦割りや、「支え手」「受け手」という垣根を超え、地域の全ての人が「我が事」として、まちづくりに主体的に参加できる仕組みづくりを進めることとし、本年度は、介護保険事業計画や地域福祉計画の策定過程の中で、シニア世代にも参加していただける有償ボランティアなどを活用した「日常生活支援」の仕組みを検討し、地域の中での支え合いを一層進めます。

2つ目の柱は、地域資源を活かした「仕事づくり」です。

まず、基幹産業を中心とした、安定した仕事づくりについてですが、本市は、恵まれた資源に支えられた水産業、豊かな大地と冷涼な気候を活かした酪農に代表される農業に加え、観光を基幹産業として発展してきたまちであり、これらの基幹産業が、今後も元気であり続けることは、市内の各産業に好影響をもたらし、市内経済の活力になることはもとより、雇用の場の確保にとって極めて重要です。
水産業については、水産加工業の従業員確保、沿岸漁業の担い手確保、沖合底引き漁業の漁船更新などが課題となっていますので、水産振興における国や北海道の対策に加え、市として行うべき支援についても検討を進めていきます。
酪農を中心とした農業については、高齢化や担い手不足に加え、飼肥料価格の高騰や消費の低迷により、多くの生産者が農業経営に不安を抱えています。
経営上の不安が解消され、生産者に今後も安定して本市の農業を担っていただけるよう、関係者との連携のもと、経営安定化のための対策を実施するとともに、基盤整備などについては、国などに要望していきます。
また、本市の基幹産業である水産、酪農、観光の横の連携を強化し、生産から加工、販売までをトータルでとらえた六次産業化やブランド化を一層推進することで、市外からの消費を拡大する、稼ぐ観光地を目指すことが重要となります。
そのためには、地域連携DMOを舵取り役として、この地域ならではのグルメや土産品、イベントの創出を促し、魅力の向上を図ることで、新たな雇用に繋げていきます。
次に、企業と連携した人手不足の対応と企業活動支援についてです。
本市の経済界においては、以前から働き手不足の問題がありましたが、この間、約3年にも及ぶ新型コロナウイルスなどの影響もあり、さらに、その深刻度が増しているところです。
6月9日には、政府が、熟練外国人労働者として永住が可能な在留資格「特定技能2号」について、受入対象分野を一次産業や三次産業にまで拡大することを決定したところであり、こうした制度も活用しながら、各企業が行う「外国人労働者の働きやすい環境づくり」や「人材不足を補うデジタル技術の導入」、「Uターン人材の確保」などの取組に対する支援をはじめ、引き続き、中小企業の経営の下支えのため、様々な施策を展開していきます。

3つ目の柱は、市民が笑顔の「基盤づくり」です。

快適な市民生活を送る上で欠かせないものとして、利便性の高い交通体系や都市機能など、社会基盤の整備を進めていかなければなりませんが、行政面積が広く、また地形に起因して、市街地が分散している本市だからこそ、拠点ごとの役割や機能を定めた「稚内市 立地適正化計画」に基づき、計画的に整備を進めていきます。
まず、市役所新庁舎を核とした中央地区の再生と南稚内駅前の整備についてですが、市役所新庁舎の建設位置である中央地区は、このまちの「中心市街地」として、市役所や市立病院、交通結節点であるキタカラ、金融機関など、様々な都市機能が集積するほか、北防波堤ドームなどの観光施設も立地しており、市民・観光客・ビジネス客など多様な方々が訪れる地区です。
「立地適正化計画」では、新庁舎整備を核とした商業を含む各種機能の充実や、キタカラを中心とした観光拠点の形成を掲げており、新庁舎整備と駅前通りを連動させた都市軸や公共・公益機能の連携拠点の形成、既存施設も活用した官民連携による商業の活性化や観光拠点としての賑わいづくりなど、まちの顔として魅力的な都市拠点づくりを目指します。
また、南稚内駅前の整備については、旧稚内海員会館の後利用と一体的に進めていく必要があると考えていますし、併せて、オレンジ通り商店街の活性化を含め、地域の皆さんや商工会議所など関係団体とともに、南稚内駅前一帯の今後のグランドデザインを検討していきます。
次に、空港・港湾・鉄道・道路のネットワーク強化による交通網整備についてです。
稚内空港については、旅客数はコロナ前の水準に近づいてきているところであり、今後、さらなる利用増を目指し、空港を運営する北海道エアポート株式会社と協力しながら、集客力・利便性の向上に努めるとともに、「横風対策滑走路の新設」などの懸案事項については、引き続き国に働きかけていきます。
また、空港の利用向上のためには、二次交通の充実が不可欠であり、国道からのアクセス道路の整備など、ハード面も含め、関係者と連携して検討します。
港湾については、人流・物流の拠点である稚内港の航路・泊地の浚渫や、宗谷地区の水産振興の基地である宗谷港の係留施設の整備など、港湾機能の維持・充実に向け、今後も国に対しても要望しながら進めていきます。
また、クルーズ船の誘致は、現在の社会情勢を踏まえ、国内クルーズを中心に取り組むことにより、本市を訪れていただいた多くの方が、消費を生み出すことで地域経済の活性化に繋がるよう、官民連携による積極的なポートセールスを進めます。
JR宗谷線については、観光やビジネス利用など、この地域に住む私たちの都市間移動手段の一つとして、維持存続していかなければならないということは言うまでもなく、今後も人の輸送という観点はもちろんのこと、いわゆる“2024年問題”を見据えた物流での活用や患者移送など医療面での活用、さらには、国境を有する地域を走る路線としての特殊性や国防という観点での鉄道の重要性も改めて国に訴えながら、JR宗谷線の維持存続に向けて取り組みます。
本市と旭川・札幌圏とを結ぶ大動脈である「国道40号」の高規格道路としての整備については、現在、「天塩防災事業」「音威子府バイパス」など事業化区間における整備が進むほか、昨年度からは、中川-天塩間の整備のための計画段階評価が着手されたところです。
今後も、稚内-豊富北間を含め、残るミッシングリンク区間が解消され、稚内-名寄間の全面整備が早期に実現するよう、関係機関とも連携しながら取り組みます。
こうした整備を進め、それぞれの強みを活かし、脆弱性を補完し合える交通ネットワークを形成していくためには、併せて二次交通の充実を図ることが重要であり、バスの運行も含めた交通網を構築することで、地域住民や観光客の利便性を高めていきたいと考えています。
次に、稚内中学校の建設、跡地利用についてです。
稚内中学校は、稚内中央小学校に隣接して建設することとし、本年度から建設工事に着手、令和7年9月末の校舎完成に向け、計画的に進めているところです。
また、新校舎への移転に伴い、現稚内中学校は解体することとなり、市街地に大きな空地ができることになりますので、その広さや交通の便の良さを活かした活用方法の検討を進めます。

4つ目の柱は、未来を担う「人づくり」です。

まず、「わっかない人の育成」についてですが、少子高齢化や人口減少、情報化社会の進展など、変化の激しい将来予測が困難な時代の中にあって、本市が発展し続けていくためには、この街に生まれ、この街で育ち、そしてこの街の将来を担う子どもたちが、確かな学力とともに、主体的に未来を切り拓いていく力を身に付けるための教育が必要です。
また同時に、稚内学などの「ふるさと教育」を通じて、ふるさとへの誇りや愛着を育むことができるよう、教育活動の充実を図ることで、次代を担う「わっかない人」の育成に挑戦します。
次に、中央小学校・稚内中学校における義務教育学校の実現についてですが、
稚内中央小学校と稚内中学校は、約2年間にわたり検討いただいた、「在り方検討会」からの答申のとおり、義務教育の9年間を通して、環境を変えることなく学べ、子どもたちの学力向上や健やかな成長が期待される「義務教育学校」を目指しているところであり、引き続き、円滑に移行できるよう進めます。

5つ目の柱は、市民が誇れる「ふるさとづくり」です。

このまちには、「日本のてっぺん」という、内外に共通で認識される確固たるアイデンティティと、国境に面しているからこその「北のゲートウェイ」になり得るポテンシャルがあります。
そのような地域の特殊性や魅力、強みを広く知ってもらい、より多くの方にこの地域を訪れていただくため、既存の観光地の磨き上げや、新たな交流人口・関係人口増加のための取組などを積極的に進めます。
まず、宗谷岬周辺の整備についてですが、
日本のてっぺん宗谷岬と、その後背地にある北海道遺産に認定されている宗谷丘陵には、毎年多くの観光客が訪れています。
宗谷地区には、このまちの基幹産業である漁業基地や広大な面積を有する宗谷岬牧場があり、「食」の宝庫であるほか、日本でも有数の風力発電の風車群やホタテの貝殻を敷き詰めた「白い道」、さらには、この地域の歴史を語る上で欠かすことができない建造物や記念碑など、本市を代表する「食」、「自然」、「歴史」、「環境・エネルギー」など、多くの資源があります。
これらの魅力を高めることが、本市への滞在日数の延長や、旅行消費額向上に直結するものと考えており、まずは現状の課題などを整理しながら、基本構想を策定し、必要な整備を進めていきます。
次に、関係人口・交流人口の拡大についてです。
今後の本市のまちづくりを考える上では、このまちで暮らす市民の皆さんはもちろんのこと、まちの外から本市の取組を応援してくださる企業や個人、いわば「稚内市の応援団」の力を活用させていただくことが重要だと考えています。
令和元年以降、毎年20億円を超える寄附を全国からいただいている「ふるさと納税」制度については、寄附者の想いに応えられる施策の充実に努めるとともに、実際にこのまちに訪れた方からいただいた寄附に対し、すぐその場で何らかのサービスとして還元できるような、訪問・体験型のふるさと納税の仕組みなどについて検討を進めます。
また、民間企業が寄附を通じて自治体を応援する「企業版ふるさと納税」についても、本市が重点的に取り組む事業に対し、賛同し応援していただけるよう、各企業へのアピールを続けていきます。
さらに今後は、自治体と企業が、特定の分野にとどまらない幅広い連携を進めるための「包括連携協定」なども、積極的に進めていきたいと考えています。
こうした取組に加え、本市が持つ遊休資産などを利用した、民間企業の創意工夫を活かしたまちづくりの提案の活用や、サテライトオフィスを開設し、本市とつながりのある企業に働きかけ、利用していただくなど、直接的な結びつきを深める取組も進めていきたいと考えています。

むすびに

今から5年後の2028年、現行の「第5次 稚内市総合計画」の目標年次であるこの年は、1949年の市制施行から80年目の年でもあり、さらには、かつては「開基」という言葉を使いましたが、当時の宗谷村に役場ができた年から150年という、先人の功績とともにこれまでの歴史を振り返り、次の飛躍を誓い合う、歴史の大きな節目を迎える年でもあります。
私のこの4年間に求められる役割は、これまでのまちづくりの成果に基づき、次に向かって誇ることができる、より確かなまちの姿を示すことであり、3期12年間の経験を活かし、「暮らし・仕事・基盤・人、そしてふるさとづくり」をさらに進めること、何よりも、このまちに暮らす次の時代の全世代の市民に、「住んでよかった」、「住み続けたい」と思っていただけるよう、全力でその任を果たすことだと考えています。
先人から受け継いできたこのまちを、より良い形で次の世代に引き継いでいくため、私は、これからの4年間、皆さんの先頭に立ち、後世に確かな「道しるべ」を残せるよう、邁進していくことをお約束するとともに、市民の皆様並びに議員各位の特段のご支援、ご協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明といたします。

お問い合わせ先

広報秘書課
稚内市中央3丁目13番15号
広報・広聴グループ 0162-23-6387、秘書グループ 0162-23-6384

メールでのお問い合わせはこちら

本文ここまで

ここからフッターメニュー