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市長所信表明(平成27年(2015年)6月16日)

所信表明

平成27年(2015年)6月16日
稚内市長 工藤 広

目次

はじめに
基本方針
I まちの可能性を実感し、未来を拓く市政
II みんなが共感し合う市政
III 安心を実感できる市政
IV 賑わいを実感できる市政
地方創生に向けて
実行する市役所づくり
むすびに

はじめに

 本日、平成27年第4回定例会が開会されるに当たり、市政運営における、私の所信を申し述べさせていただきます。
 私は、先の統一地方選挙におきまして、多くの市民の皆様のご信任をいただき、引き続き、市政運営を担わせていただくこととなりましたが、今この場に立たせていただいて、改めて、市政を預かる重責に、身の引き締まる思いでいます。
 1期目の4年間を振り返ると、私は、わがまちの経済・財政の自立と、安全で安心して暮らせるまちづくり、市民の皆様とともに考え、行動するまちづくりの実現を目指し、全力で取り組んでまいりました。
 今、市民生活において何が求められ、何を選択すべきか、様々な決断を迫られる中、市民の皆様と真摯に向き合い、一つひとつの政策課題の克服に、スピード感をもって対応してきたつもりです。
 また、いわゆる「10の約束」の実現には、議員はじめ市民の皆様のご協力のもと、一定の成果をあげることができたと自負しています。
 しかし、一方では、4年間で成し得なかった課題も残されており、新たに直面している諸問題の解決と併せて、今後も強い信念を持って、市政運営に当たる所存です。
 その上で、私は2期目の市政運営の柱として、4つの基本方針を掲げさせていただきました。
以下、順にご説明させていただきます。

1つ目の柱は、「まちの可能性を実感し、未来を拓く市政」の推進です。

産業の自立化と振興

 我が国の経済状況は、デフレからの早期脱却と、経済再生の実現に向けた取組みが進められ、マイナスからプラスへと転換していると言われているものの、一方で地方においては、景気回復の流れを、十分に実感するに至っていない、というのが率直な感想です。
 国が展開する地方重視の流れをしっかりと取り込み、このまちのポテンシャルを、具体的なビジネスと結びつける取組みを展開し、地域経済の持続的な発展につなげることが、私に課せられた大きな使命と考えています。
 わがまちの経済を支える第一次産業が、将来にわたって発展できるよう取り組むことは、全国に向け安定した食糧を供給するという意味でも、また地域の結束を高め、活性化につなげるという意味でも、非常に重要であることは、申すまでもありません。
本市の「食」を巡っては、資源の減少、安定的な供給を支える従事者の高齢化、担い手不足など、多くの課題を抱えており、経営安定化対策や生産基盤の整備、担い手の確保策など、関係者・団体等と連携しながら、より効果的な産業振興策を推進していきます。
 また、今、農水産物の地域間競争が全国的に激しさを増す中、本市においても、農水産物の一層の高付加価値化、ブランド化を図り、国内は言うに及ばず、海外への販路拡大などへの取組みを積極的に支援し、競争力の強化に努めていきたいと考えます。
 トドなどの海獣や、エゾシカなどによる被害は、自然環境だけではなく、農水産業や市民生活にも、深刻な影響を及ぼしており、生産現場はもとより、町内会などからも効果的、かつ具体的な対応を求められています。
 エゾシカ等の捕獲後の残滓(ざんし)処理場の建設を含めて、個体数の削減に向けた、様々な検討を進めるとともに、北海道をはじめ、関係機関と連携して、総合的な対策を講じていきます。人口の減少は、企業活動にも深刻な影響を与えていますが、中小企業の経営基盤の安定、雇用対策などについても、関係する皆様と連携を図りながら、積極的に取り組んでいきます。
 本市の友好都市である鹿児島県枕崎市との交流事業、「コンカツプロジェクト」が発展し、本市においても「稚内コンカツプロジェクト推進協議会」が設立されました。
 今後は、協議会において、様々な分野で幅広い事業を展開する予定であり、本市としても、地域経済の活性化につながる取組みに対して、同じく友好都市である石垣市も含め連携を深めたいと考えております。

国際化を目指した港湾の強化

 国際的な海峡に面し、海で外国と国境を接している、本市において、稚内港の強化は、産業の発展においても、輸出入の進展においても、大変重要であることは、論を待ちません。
 その地理的優位性を活かし、国内外の大型貨物船などによる搬出入拠点港として、更に大型クルーズ船の寄港に対応できる観光拠点港を目指し、航路泊地の更なる水深の確保について、これからも、継続して国などの関係機関に、強く要望していきます。

未来志向のサハリンとの経済交流の拡大

 道内唯一の外航旅客定期航路である、「稚内・コルサコフ定期航路」は、これまでの本市とサハリンとの長い歴史を振り返っても、更には、北海道とサハリンを結ぶ物流、観光交流の手段としても、本市の発展に不可欠であり、歴代の市長が、その実現と継続に腐心してきたところですし、私も基本的な認識は、何ら変わりません。
 現状においては、ロシアを巡る難しい国際情勢もありますが、一方では現在の円安が、サハリンからの観光需要を喚起し、本市のみならず、稚内港を中継して東南アジアなどを目指す方も含め、サハリンからの観光客の一層の誘致を働き掛けたいと考えています。
 また、物流の面では、これまで道北9市で実施してきた、サハリンでの物産展が3年目を迎え、今年度は更に、日本食を中心としたフェアーの開催なども企画されており、将来的にこれらの取組みが、海外貿易の拡大への布石となるものと、期待しているところです。
 そのためにも定期航路の存続に、全力を挙げて取り組んでいきます。

新エネルギーの推進と水素資源等の活用

 私はこれまで、再生可能エネルギーについては、単に発電の問題だけでなく、近年深刻化している異常気象の原因とされている温室効果ガス削減など、この小さなまちが、地球環境の保全に少しでも貢献したい、そんな思いで取り組んできました。
 しかし、現在、国が進めている電力システム改革や、自動車産業界が進めてきた燃料電池車の商業化などが、再生可能エネルギーを取り巻く環境を、大きく変化させています。
 これからは電気のみならず、熱や燃料の分野でも、再生可能エネルギーの可能性は広がっていきます。
 私は、このまちの可能性をさらに広げるため、これまでの再生可能エネルギーの取組みに加え、今後は、「洋上風力」や「水素」の導入・利活用にも取り組む必要があると考えています。
 国内における洋上風力につきましては、現在、長崎や福島沖などで国の実証研究が進められているほか、数か所において、2020年代前半の商業運転を目指した取組みが進められています。
 本市においても、民間事業者による、港湾区域内での商業運転開始を目指した動きがあり、国のガイドラインに基づき、関係機関、団体で構成する検討協議会を設立しますが、先ずは、検討の経過を十分見守ります。
 洋上風力の先進地であります欧州では、コスト削減のため、風車の組立を建設現場で行わず、基地となる港に資機材を集約し、港で組立・出荷する方法が主流となりつつあります。
 稚内港が風車の組立・出荷基地となることは、まだまだ現実的ではありませんが、まちの将来に大きな希望を与えてくれるものであり、私の夢の一つです。
 また、究極のクリーンエネルギーとして注目される、水素を燃料とする燃料電池自動車の商業販売が始まり、道内においても、5月上旬、道庁赤レンガ前でお披露目されました。
 私も北海道知事、札幌市長とともに、その燃料電池自動車に試乗し、いよいよ、水素社会の幕が開かれたことを実感いたしました。
 水素は、家庭用燃料電池や自動車分野での利活用が、実用段階に入りつつありますが、今後は、再生可能エネルギーの貯蔵・輸送の手段としての活用が期待されています。
 これまで、再生可能エネルギーは、殆どが電気に変換され利用されていたため、貯蔵するためには、蓄電池の設置など、多額のコストを要していました。
 これを電気ではなく、水素として貯蔵・輸送できれば、再生可能エネルギーの可能性は、更に大きく広がります。
 大規模風力発電基地としてのポテンシャルを活かし、次世代のクリーンエネルギーである水素の利活用にも、積極的に取り組むことは、新たな産業の創出や雇用の拡大など、本市の暮らしや産業に、計り知れないプラス効果をもたらすものと期待しています。
 省エネルギーという観点では公共灯のLED化を積極的に進めるほか、町内会で設置・管理する防犯灯のLED化など、今後も地域の環境保全に対する取組みについて、不断に進めてまいります。

2つ目の柱は「みんなが共感し合う市政」の推進についてです。

笑顔が広がる子育て支援のさらなる充実

 本年4月から、新たな「子ども・子育て支援制度」が始まり、本市においても、この3月に今年度から5年を1期とする「稚内市子ども・子育て支援事業計画」を策定し、制度の着実な実施に向けた取組みに、着手したところです。
 これまで、「子育てをするなら稚内市で」と思っていただけるよう、様々な子育て支援策の充実に取り組んできましたが、勿論、これで十分だとは思っていません。
 次の世代を担う子どもたちを、しっかりと育てていくことは、稚内そして日本の未来を築くことに他なりません。
 若い世代が、安心して子どもを生み、育てることができ、また子育てと仕事の両立を支援し、地域全体で子どもたちの成長を見守る環境整備を進め、皆さんから「子育てのまち」として、しっかり評価いただけるよう、一層の充実に努めます。
 その一つとして、かねてから計画を進めていました、南地区の児童館・学童保育所の建設について、地域の皆さんと協議を重ね、地域活動拠点センターの機能も有する、多機能型コミュニティ施設として、来年度の早い時期のオープンを目指し、いよいよ着工いたします。
 子どもから高齢者まで、幅広い年齢層の地域住民が集い、世代間交流を推進する施設となるよう、運用面においても充実を図ります。また、学校給食費の助成についても、新たに助成を幼稚園児まで拡充し、子育て世帯の経済的負担の、一層の軽減を図ります。
 そのほか、共働き家庭の保護者や、地域から強い要望のあった「病児・病後児保育所」の開設や、母親だけではなく、父親やこれから親になろうとしている皆さんに、より広く、より簡単に、本市の子育てサービスや子育て支援の取組みを知ってもらうための、情報発信の強化に取り組みます。
 少子化問題の解消には、息の長い取組みが必要ですが、本市では、地元に戻り仕事を引き継ぎ、家庭を持って子育てをしようという、若い世代が増えている、そんな元気な地域もあります。
 地域における今後の児童数に配慮しながら、へき地保育所の整備を進めます。

女性や若者の活力を生かしたまちづくりの推進

 私はこの4年間、市内で開催される多くの事業やイベントに参加させていただきましたが、その際、高齢者や女性、そして若い世代の皆さんが、元気に活躍される姿を拝見し、非常に頼もしく感じていました。
  「地方消滅」という言葉が、日本中に衝撃を与えたことは、まだ記憶に新しいところですが、本市においても、人口減少問題など厳しい状況の中で、このまちの現実と向き合い、未来の可能性に向けて活動する、そんな地域の人たちの知恵や行動力こそが、これからのまちづくりの起爆剤になると考えているところです。
 当然、若者を呼び込み、定着につなげることは、本市のまちづくりを考えるうえで、非常に大きな課題であることは間違いありません。
 稚内北星学園大学の開学にあたっては、市外から多くの学生が集まってくれることももちろんですが、本市の高校生が地元で学べる環境を作りたい、まさに高等教育の機会均等が大きな狙いでした。
 今年度の稚内北星学園大学の入学生は、約8割が本市の出身者であり、大学に対する地域の評価に正直変化を感じていますし、小学校から大学へと続く教育の流れは、若者の定着や生涯教育の拠点として、教育のみならず、地域社会にも大きな影響を与えると受け止めています。
 また、昨年、「地(知)の拠点事業」として文部科学省の認定を受けた、市内小学生の学習支援や、観光資源の開発、今年3月に中央商店街に開設した「まちなかメディアラボ」を拠点としたまちのにぎわいづくり等、地域と密着した活動を実践し、まちづくりという点においても、本市にとって、大学は今や、なくてはならない存在だと思っています。
 これまで、経営に対する支援という観点が中心でありましたが、今後は、若者の定着に向けた取組みの一環として、また、宗谷管内唯一の高等教育機関の更なる活用を目指し、連携を強化したいと考えています。
 女性や若者ならではの視点による提言やアイディアも、これまで以上に施策に反映させたいと考えています。
 これまで取り組んできた、女性や若者を対象にしたまちづくりに関する懇談会や、意見交換会などを基盤として、具体的、継続的な地域活動の実践に繋がるような仕組みづくりを進めるとともに、まちづくりへの積極的な参画を促していきます。

元気なお年寄りの社会参加への応援

 長寿社会と言われる中、いわゆる団塊世代を中心に、現役を引退された世代の方々が、地域活性化の原動力として、その活躍を期待されています。
 これまで培った技術や経験を発揮する、という意味での雇用の受け皿に留まらず、地域の課題解消に向けた活動をすることで収入も得る、「コミュニティビジネス」の創設を視野に入れながら、地域における就業の機会や、雇用を拡大するとともに、高齢者の居場所や出番を創出し、生きがいを持って、元気に暮らし続けることができる環境の整備を進めます。

誇りを持てる教育とスポーツの充実

 本市が「スポーツ都市宣言」を行ってから、来年で35年となります。
 人間に例えれば成年に達しており、スポーツを通じて心と体を鍛え、世代を超えた交流が進むことを目指した、この宣言にふさわしい取組みを、改めて考える時期が来ています。
 計画的なスポーツ施設の整備はもちろんでありますが、特に、本市は冬が長い北国であることを考えれば、スポーツ種目もさることながら、室内スポーツや室内での冬の対策は重要です。
 特に、札幌市が2026年の冬季オリンピック・パラリンピックの開催地として立候補を表明しており、冬のスポーツ振興に取り組む絶好の機会と思っております。
 積雪寒冷地の「稚内らしさ」を活かしたスポーツとして、これまでもお話ししてきた、カーリングについては、老朽化した施設の改築と、より多くの市民が体験できるよう普及に努め、さらに冬の体力向上やスポーツ環境の充実に、取り組んでいきます。
 また、日本の最北端のまちとして、全国から参加できるようなスポーツイベントの開催などについても、検討したいと考えています。

3つ目の柱は「安心を実感できる市政」の推進についてです。

医療と福祉環境の充実

 これまでも、市立病院の医師不足の解消のため、関係機関と連携し、勤務医確保に向けた取組みや、開業医誘致活動などを進めてきました。
 しかし、現在、市立病院では一部の診療科目で、常勤医が不在となっており、また民間病院においても診療の縮小が懸念されるなど、本市の医療体制は大変厳しい状況にあると言わざるを得ません。
 現在、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で、自立した生活が営むことができるよう、医療や介護など5つの分野の連携を図る「地域包括ケア体制」の充実や、地域の多様な主体により高齢者を支援する「新たな介護予防事業」の着実な実施に向け、準備を進めています。
 そうした活動の中で、大きな役割を占める医師の確保は、医療や介護が必要となっても、安心して暮らしていくための、このまちの最重要課題であります。
 今後もこれまで以上に様々なネットワークを活用し、医師の確保に努めていきます。また、地域医療を志す医師が、このまちでやりがいや生きがいを持って働くことができる環境を作ることが、地域の医療を守ることにも繋がります。市民の皆様お一人おひとりが、医師、病院そして地域の医療を守るために行動する、そのような機運が一層高まるよう、市としても率先して取り組んでまいります。
 今、高齢者の約4人に1人が認知症の人、またはその予備軍と言われています。
 早期発見、早期治療により、できる限り認知症の進行を緩やかにするとともに、地域における支援体制の整備、認知症への理解を深めるための普及・啓発を推進します。

防災対策の強化

 昨年8月に、本市にとって50年ぶりと言われる大雨被害が発生しました。
 国内外で大規模災害が頻繁に報じられる中にあって、本市も決して例外ではないことを思い知らされました。
 今後も、防災、減災にしっかりと取り組んでいきます。
 先ず、子どもの生命、安全を守るため、老朽化の著しい稚内南小学校の改築を進めるとともに、耐震度の低い小中学校などは、耐震改修を計画的に実施し、安心、安全な学校づくりを進めます。
 また、災害の状況や避難情報を、いち早く知らせる体制整備を進めてきましたが、引き続き、地域の実情に合わせた避難計画の作成や、自主防災組織の育成など、防災対策の強化を図っていきます。

交通ネットワークと冬の住環境の充実

 工事着手から3年目を迎える、「緑・富岡環状通街路」における拡幅・改良工事につきましては、引き続き必要な財源の確保に努め、早期完成を目指し整備を進めるとともに、橋梁の拡幅と耐震補強工事を行うことで、安全で快適な交通環境の整備を進めます。
 高齢者が本市を離れる理由の一つとして、冬期間の除雪の困難さがあげられます。
 本市では、他都市に引けを取らない、充実した除雪体制を敷いており、今後も、この体制を維持していきますが、特に除雪弱者と言われる、一人暮らしの高齢者や障がい者世帯の除雪支援体制について、現在、実施されている支援内容をしっかりと把握、又は検証し、地域や関係団体のご意見も伺いながら、冬でも安心して暮らせるよう対策を講じていきます。
 今年度から大黒地区の市有地跡において、道営住宅の整備が始まりますが、その中には、「子育て支援型の住宅」も取り入れられることになっています。
 今後も、子育て世代が安心して子育てができる生活環境の提供など、地域における多様なニーズに応じた、住環境の整備に努めてまいります。

4つ目の柱は「賑わいを実感できる市政」の推進についてです。

外国人観光客の誘致・拡大

 我が国への訪日外国人旅行者数が、2014年に1,300万人を超える中、政府は更なる観光立国を目指し、2020年には2,000万人という意欲的な目標を掲げ、国をあげて様々な施策を展開しています。
 北海道においても、東京オリンピック、パラリンピックをターゲットに、2020年には、全道の外国人観光客300万人を目指し、道内各地と一体的に誘客プロモーションを進めるとともに、北海道新幹線の開業効果を、全道に波及させるとしています。
 本市にとっても、この北海道新幹線の開業、夏季オリンピック・パラリンピックの開催、冬季オリンピック・パラリンピックの招致運動は、人やモノの交流を拡大し、地域の活性化につなげる、千載一遇のチャンスと捉えています。
 本市における外国人観光客は、年々増加傾向にあり、特に台湾をはじめとした、アジア諸国からの観光客が多くなっていますが、これを倍増させるため、戦略的な取組みを加速させます。
 これまで、本市においては、周辺自治体や関係団体等と連携しながら、国外航空会社や旅行会社、マスメディア等の招聘事業や現地を訪問して、宣伝・誘致を行ってきました。
 今後は、これに加え、ガイドブックやパンフレット等様々な分野における多言語標記や、Wi-Fi(ワイファイ)整備を促進し、外国人観光客のニーズに合わせた対策を強化するとともに、外国人観光客が安心して滞在できる環境の実現に向け、観光協会をはじめとした関連団体と、連携してまいります。
 国内旅行では、FDA(フジ・ドリーム・エアラインズ)が、夏季間において、3年連続で就航したことは、明るい話題の一つです。本年は、8,000人を超える集客が予定されており、これは本市のみならず、宗谷地域全体としても、大きな経済効果が期待されます。
 今後も、積極的に誘客対策を講じてまいります。

中心市街地の魅力の拡大

 駅前再開発事業が完成し、新たな駅ビル「キタカラ」がオープンしてから、早や3年が経過しました。
 施設そのものについては、様々な表彰を受けたように、大変高い評価をいただいていますし、市民のみなさんや観光客で賑わっていると受け止めていますが、中心市街地の再生という観点では、期待した「人の流れを変える」までには至っていないというのが、正直な感想です。
 中心市街地が、賑わいを取り戻し、「人が行き交う」交流拠点となるよう、更に民間の意欲を引き出し、住民や事業者、あるいは各関係機関と一体となって、この施策に取り組んでいきます。

各種大会・会議の誘致・拡充

 昨年度、本市を合宿で訪れた方は、37団体4,000人と、合宿誘致に取り組み始めた5年前と比較すると、1,500人、40%の増加となっており、少年団等の競技力向上などと併せて、これまでの誘致活動が、様々な場面で着実に実を結んでいます。
 現在、宿泊先として利用されている、少年自然の家のリニューアルや、総合体育館のトレーニングルームの充実など、受け入れ体制の整備により、更なる誘致に積極的に取り組みます。また、本市は各種会議等に対応できる宿泊施設が整備されています。
 多くの方々に本市を訪れていただけるよう、関係団体等と連携して、規模の大きい会議や大会等の誘致を推進します。

移住・定住の拡大

 本年度から、本市への移住を検討される方を対象に、一定期間、生活体験をしていただく「ちょっと暮らし」事業をスタートさせます。
 まずは、体験住宅1棟、実施期間6ヶ月で実施いたしますが、徐々に事業を拡充し、4年後には、市内の不動産事業者の協力を得るなどして、体験住宅12棟、実施期間を1年間に拡大し、300組以上の方に利用していただくことを目標としています。多くの方に本市の魅力を体験していただき、本市への移住につながるよう、積極的に取り組んでいきます。

地方創生に向けて

 少子化・高齢化の進行と人口減少は、地域経済の縮小、地域コミュニティの担い手不足など、多くの課題をもたらしています。
 これらの課題を現実問題として受け止め、人口減少を克服し、地域経済の活性化を図っていくために、戦略的な地方創生の取り組みを進めるべく、検討を開始しました。
 本年度中に稚内版の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」と「人口ビジョン」を策定するとともに、地方創生市民会議を設置し、市民の皆様の意見を取り入れながら、本市の特性を活かした取組みを進めるとともに、若い世代が希望の持てる施策の実現を目指します。

実行する市役所づくり

 私は、4年前、「実行する市役所づくり」と、職員の意識改革を市民の皆様にお約束しました。
 市民にとって、或いはこのまちにとって、必要なことであれば「前例がなくてもやる」、「新しいことにも果敢に挑戦する」、そのような市役所を目指し、職員とともに走り続けてきました。
 これまで14回のふれあいトークを開催し、市民の皆様と膝を交え、話をさせていただきましたが、この中で、我々がやろうとしていることと、市民のみなさんがやって欲しいことが、果たして噛み合っているのか、反省することも多々ありました。
 しかし、職員一人ひとりが、地域に積極的に出かけ、地域の中で活動し、本市の現状や課題について、市民の皆様とともに理解を深め、解決策を見つける取組みを、自ら実践するという機運が、今、市役所の中で確実に育ってきています。
 実際に、多くの皆様から「市役所、職員は変わった」という評価をいただいており、信頼される市役所づくりが着実に進んでいると感じているところです。
 今後は更に、職員が、「地方の新しい自立のモデルをわがまちから発信するんだ」、という気概と誇りを持って仕事に臨むよう、更なる意識改革を進めるとともに、協働のまちづくりを一層進めるためにも、様々な手段を活用し、行政情報等の積極的な発信に努めていきます。
 また、これからの4年間も、市民の皆様に私自らの考えを直接語りかけ、そして皆様の声に真摯に耳を傾ける、そのような場に、座して待つことなく、これまで以上に積極的に飛び込んでいきたいと考えています。
 市民の皆様との共感こそが、市役所の原動力に他ならない、それを合言葉に、職員と一丸となって、立ちはだかる様々な困難にも、挑み続けたいと考えています。

むすびに

 これからの北海道は、北海道新幹線の開業や、冬季オリンピック・パラリンピックの誘致、更には、送電網整備も含めた電力システム改革などによって、その風景が大きく変わっていきます。
 本市がその波及効果を最大限に享受できるよう、市民の皆様と目標を共有し、準備を進めたいと考えています。
 私の使命はまさに、どんな困難があっても、信念と勇気をもって立ち向かい、ふるさと稚内の輝かしい未来を、次代を担う若者たちに手渡すことだと信じています。
 これからの4年間は、本市においても、わがまちの将来の姿を決める、大事な4年間になると肝に銘じ、たじろぐことなく、皆さんの先頭に立って進んでいきます。
 新たな決意と情熱をもって「市民が元気に笑顔で暮らせるまちづくり」、そして、このまちの新たな可能性に挑戦するため、初心を忘れることなく、全力を尽くすことをお約束させていただきます。
 市民の皆様並びに議員各位の、特段の御支援、ご協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明といたします。

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稚内市中央3丁目13番15号
広報・広聴グループ 0162-23-6387、秘書グループ 0162-23-6384

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