市長所信表明(平成23年(2011年)6月13日)
所信表明
平成23年(2011年)6月13日
稚内市長 工藤 広
目次
はじめに
基本姿勢
I 自立したまちづくり
II 安心・安全なまちづくり
III やさしさあふれるまちづくり
IV 実行する市役所づくり
むすび
私は、4月に行われました市長選挙におきまして、市民の皆様の温かいご支援とご支持をいただき、第5代稚内市長に就任いたしました。
稚内は、市民の皆様のまちを愛する思いと、歴代市長のリーダーシップにより、幾多の困難を乗り越え、今日まで発展を続けてまいりました。厳しい経済情勢の下、市政の舵取りを12年にわたり担っていただきました、横田前市長に対しまして、この機会に心から敬意を表しますとともに、労いと感謝を申し上げます。
また、激戦と言われた今回の選挙結果でありましたが、戦いは終わりました。まさにノーサイドの精神であります。市民の皆様からの負託を受け、自らの、これからの任期に全身全霊を傾けていく覚悟であります。
その上で、平成23年第6回市議会定例会の開催にあたりまして、私のこれからの市政運営における基本的な考え方について、述べさせていただきます。
私は、今後の市政運営にあたり、「まちづくり」の基本姿勢として、4本の柱を掲げさせていただきました。
1つ目に「自立したまちづくり」、2つ目に「安心・安全なまちづくり」、3つ目に「やさしさあふれるまちづくり」、そして4つ目に「実行する市役所づくり」であります。
以下、この4本の柱に沿って所信を述べさせていただきます。
まず、「自立したまちづくり」であります。ちょうど横田市政がスタートした1999年、我が国では、それまでの中央集権体制の反省から地方分権一括法が制定され、国全体が分権型社会に大きく舵を切りました。
そして本年4月、「国と地方の協議の場に関する法律」など地域主権改革関連3法が制定されましたことは、ご承知のとおりであります。このことだけを見ても、社会は確実に地方分権へと進み、地域主権に向かっていることは明らかであります。
かつてよく言われた“金太郎飴のまちづくり”あるいは“他力本願”、“寄らば大樹の陰“という“考え方”あるいは“進め方”は、もはや許されるものではなく、自治体の首長は、常に自らの経営理念やビジョンを示すことが求められております。
特に3月11日に発生いたしました東日本大震災は、その規模から考えても、色々な意味で、本市を含めた全国の自治体の、これからの経済や財政に大きな影響を与えることは、想像に難くありません。国はもちろんのこと、これまで以上に個々の自治体の力量と覚悟が問われる局面を迎えていると考えております。
環境が一層厳しさを増す中ではありますが、3万9千人の市民の皆様一人ひとりの生活を守るためには、今まで以上にわがまちの経済や財政の自立を追求しなければならないと、そのように考えております。
本市は、それを現実のものとするためのポテンシャルを、いくつも持っています。今一度、本市の魅力を見直すことから「自立」への道を歩みたいとそのように考えております。
そこでまず、産業振興と雇用創出について述べさせていただきます。
私たちのまち稚内が、未来を拓いていくためには、本市経済の礎である水産業・酪農業など、第一次産業がゆるぎないものであることが重要であります。
TPPなど世界的に厳しい流れの中にあるわが国の一次産業分野ではありますが、私は、このまちの一次産業が、この国の成長の一端を担っていくためにも、次の世代が夢と希望を持って仕事に取り組めるような、支援が必要であると考えます。基盤整備であれ、担い手確保であれ、今、それぞれの地区、それぞれの産業で何が求められているのか、改めて関係者の皆様のご意見をいただきながら、しっかり取り組んでまいります。
また、本市の優位性を生かした一次産業を軸に、消費者の心をつかむ6次産業化、農商工連携、異業種参入などを推進して、加工業、流通業の振興を図り、安心・安全な稚内ブランドの創出に取り組みます。中小企業振興策の見直しなどにより、中小企業の経営基盤の安定と、地域経済の活性化を図るための支援も必要だと考えております。
本市の観光産業は、世界規模の経済状況の悪化や、大震災の影響による旅行控えなどから、大きなダメージを受けております。観光に携わる皆様にとって、今は非常に苦しい時期であります。
今議会におきましても、大震災の影響から少しでも入込客を回復させるための、緊急対応策に必要な予算の計上をお願いしておりますが、何よりも本市の観光的魅力は今更申し上げるまでもありませんし、今年は特に、本市の冷涼な気候も大きなPR材料にしたいと考えております。
観光産業は一次産業と並び、本市の基幹産業であります。厳しい時代だからこそ、本市の持つ特性をもう一度「観光」としっかり結び付け、関係者ともども危機感と連帯感を強く持って取り組まなければならないのは言うまでもありませんし、本市の持つ特性は、観光という側面だけには止まらず、経済の自立に向けて色々なアプローチが考えられます。
例えば、本市には“国境のまちである“という地理的特性があります。国防の観点からも、このまちが元気でいることは、国全体にとって大変重要なことだと考えており、関係機関には、そのことを訴え続けるとともに、国際定期フェリーを生かし、サハリンとの観光分野での双方向の交流拠点化を目指してまいります。
今後、新たな展開が進むサハリンプロジェクトの支援基地としての体制の確立や、サハリンのみならず、極東ロシアに向けた物流ルートの開発による本市の物流拠点化を目指していく、そのことが本市の進むべき姿であろうと考えております。
また、再生可能エネルギーによる循環型社会の形成も、本市の大きなポテンシャルであります。
このたびの原発事故を受け、国はエネルギー基本計画を白紙から見直す方針を示しており、今後ますます風力や太陽光、バイオマスといった再生可能エネルギー、いわゆる新エネルギーに重きが置かれていくことが予想されます。
新エネルギーを普及促進するための様々な障害については、全国の自治体に先駆けてこの問題に取り組んできたこれまでの経験から十分承知しておりますし、これまでも国を始め電力会社等に対し、その解決を訴えてまいりました。今こそ、国の英断に期待をするところであります。
すでに本市では、国内屈指の太陽光発電所、風力発電施設が稼働し、これらの施設の発電量は、市内で消費される総電力量の9割近く(約88%)に達しておりますが、各種の公共施設はもちろん、家庭や事業所への新エネルギーの導入を促進するとともに、公共施設や街路灯のLED化など、省エネルギー施策も実行してまいります。
本市は3月に「環境都市」を宣言いたしました。国から認定を受けた「次世代エネルギーパーク計画」を推進して、本市の取組を国内外にアピールするとともに、観光や一次産業の振興にも活用しながら、地球環境の保全に貢献するまちを目指してまいります。
また、資源の循環を実現するためには、ごみや廃棄物の循環も大変重要な問題です。本市のごみ排出量は、皆様一人ひとりの努力の結果、確実に減少を続けており、処分場の延命にも繋がっております。
現在、建設を進めている生ごみ中間処理施設では、生ごみをバイオガスなどのエネルギー源として、また副生成物を肥料とするなど、減容化を図りながら“資源”としても有効活用していく予定でおります。
しかし、これも市民の皆様のご協力がなければ成り立ちません。新たに開始する予定の生ごみを含め、分別収集の徹底化・ごみの減量化について、改めましてご理解とご協力を切にお願い申し上げます。
一方で、生活圏域を共有する宗谷管内の各町村とは、医療や商業、観光をはじめ様々な分野で共通の課題が少なくありません。本市には宗谷圏域をけん引するリーダーの役割が課せられております。管内町村と協力しながら、宗谷圏域の中心市として、暮らしに必要な都市機能の確保に努め、将来にわたり住民が安心・安全に暮らし続けることができるよう、圏域の活性化に努めてまいります。
これまで申し上げてきた「自立」への方向性を確かなものにするためには、ひとり、行政のみで完結できるものではありません。
本市は、これまでも自治基本条例のもと、市民の皆様と議会、行政とが力を合わせる「協働のまちづくり」に取り組んでまいりました。これからは、今までの取組をさらに前進させ、これを原動力に自主・自立した「地域ごとでの住民自治によるまちづくり」を進めてまいりたいと考えます。
このたび、沿岸部の漁村、内陸部の酪農地帯、住宅や商業施設が中心の地域など、色々な地域の皆様から直接お話しを伺う中で、それぞれの実情に応じた、地域づくりが必要だと改めて感じました。地域に住む皆様が、防犯や環境など、生活の課題に自ら率先して向き合い、地域活動を生かして主体的に取り組んでいただける、そういう環境づくりが必要です。
地域ごとに異なる現状や悩みを共有しながら、「どんな地域にしていきたいのか」、「そのためには何をすればよいのか」、共通の認識に立った“それぞれのまちづくり”を進めたいと思います。
また、NPO法人やボランティアサークルなど、様々なグループや団体が主体となって行う取組に対して、支援する制度を創設し、地域に根差した“人づくり”、“地域づくり”を進めてまいります。
次に2つ目の柱「安心・安全なまちづくり」であります。安心・安全は私達の暮らしの基本であり、行政の重要な責務であると考えます。
ここでは、大きく2つの観点から述べさせていただきます。
1つは、私たちの命を守るための「防災」そして「医療」などであります。
防災対策については、このたびの東日本大震災を目の当たりにした今、市民の皆様の“災害に強いまちをつくって欲しい”という願いは、何にも増して切実なものと考えております。本市も、いつあのような災害に見舞われぬとも限らない、今回の大震災は、改めてそのように認識させられる出来事でした。
こうしたことから、さまざまな科学的検証を含め、稚内市全体の災害対策を再検討し、防災計画を見直す必要があると考えます。これは、専門家の力を借りながら、早急に進めてまいります。また、避難所や避難路の確保をはじめ、水道管などのライフラインの耐震化を今後も順次進めてまいります。
私たちのまちは海岸線が90キロにも及び、特に津波による被害が心配されます。一刻を争う避難が速やかに行われるよう、津波ハザードマップの作成、緊急情報の速やかな伝達と、高齢者など支援が必要な方々の避難計画の策定などにより、災害に強いまちを目指します。
次に、宗谷圏域の医療拠点である市立病院の経営につきましては、病院事業管理者として私も全幅の信頼を寄せております高木病院長のご尽力の下、これまで様々な角度から経営改善や医師の確保に努めていただいております。
しかし、ご承知のとおり、医師の研修制度の見直しなどの外的要因から、地方における医師不足は深刻化しております。もちろん、これまでも病院はもとより市もあらゆる手を尽くし医師の確保に努めてまいりましたが、大変厳しい状況にあることは否めません。
私は、市民の命を守るため、もちろん医師の確保に向け、今後も全力を尽くしてまいりますが、それだけで十分であるとは考えておりません。あわせて、医師の負担を軽減するための医療スタッフの充実に努めるとともに、身近な“かかりつけ医”である開業医の誘致活動も積極的に行ってまいります。
また、コンビニ受診を控えるといった、一人ひとりの行動が地域医療を守ることに直結しています。医師の現状について正しくお知らせし、啓発活動に取り組んでまいりますので、市民の皆様には、ご理解とご協力を、よろしくお願い申し上げます。
子宮頸がんワクチンの接種は医療機関の受け入れに限りがあることから、現在は学年を区切って実施しております。今後は国が対象とする接種年齢を迎えた全てのこどもが、受けられるよう取り組んでまいりたいと考えております。
健康であり続けることは、こどもから高齢者まで全ての人々に共通する願いです。自殺予防や食育の推進も含め、心と体の両面から市民の健康づくりを進めてまいります。
2つ目に、誰もが安心して暮らすために必要な、都市基盤の整備であります。
地域の商業者の皆様、国、北海道、JR北海道などと進めてまいりました稚内駅周辺拠点整備につきましては、明年4月、その中心となる再開発ビルが全館オープンする予定であり、期待が寄せられているところであります。
しかし、建物や道路などハードの整備が完了したら、それで終わりとは決して考えておりません。これから、いかに活気ある生活空間を作ることができるのか、魂を込めていくことが重要であります。商店街や地域の皆様、特に若い方々の知恵やアイディアを生かしながら、ともに考え、この後も稚内駅を中心とする、中心市街地のにぎわい創出に取り組んでまいります。
生活交通ネットワークの形成につきましては、交通事業者と連携を図りながら市民生活の利便性向上に資する最適な生活交通手段の維持・確保を図ることが肝要であります。これまで実証運行を続けてきた天北・サラキトマナイ地区の乗合タクシーについては、本格運行を開始して、公共交通機関の空白地帯の解消に努めてまいります。
また、道路の整備につきましては、地域住民の“命を守る道路”とも言える、国道40号の高規格化の早期実現に向け、関係機関に対して、積極的に要請行動を進めるとともに、幹線道路や地域の利便性を高める生活道路の整備に努めてまいります。
港湾整備につきましては、国は過日、成長著しい東アジアやロシアなど対岸諸国との貿易拠点となる「日本海側拠点港」の公募を開始し、本年秋にも拠点港が決定される見通しでありますが、拠点港に選ばれると、ご承知のとおり国の重点投資の対象になります。先ほども申し上げましたとおり、本市は極東ロシアやサハリンを視野に入れた、物流・交流拠点を目指しており、何としても稚内港が拠点港に選定されるよう、経済界と一丸となり取り組んでまいります。
住宅につきましては、来年の完成を目指す宝来団地2号棟のほか、老朽化した市営住宅を計画的に改善しながら、高齢者や障がいのある方への、住環境整備も進めてまいります。
公園につきましては、ソフト・ハード両面から稚内公園の再整備を進めるほか、各公園内の遊具を一斉点検し、必要な改修を行い、こども達の安全な遊び場を確保してまいります。
また、高度経済成長期を中心に建設されてきた、各施設の大規模改修や更新時期が既に到来しており、その対応に迫られております。全市的な視野に立ち、現在ある公共施設の適切で効率的な維持と活用を図るとともに、施設の再編などについても直ちに検討してまいります。
3つ目の柱は「やさしさあふれるまちづくり」であります。
私が市役所に採用された1974年は、稚内で千人以上もの赤ちゃんが元気な産声をあげていました。それが今では300人。当時5パーセントだった高齢化率も、今や5倍の25パーセント、4人に1人が65歳以上という時代を迎えました。
このような社会の変化、価値観の多様化から、子育て、高齢者、障害者など住民ニーズが複雑化し、一律のサービスでは対応が難しくなってまいりました。
特にこれからの福祉については、物やサービスをただ提供するのではなく、互いに助け合うことを基本に、地域で支え合う“地域福祉”が重要であり、「福祉はまちづくりである」と申し上げても過言ではない、そのように考えております。
私は、このまちは絆が強いと考えております。この強みを生かし、何よりも人間主体、一人ひとりが尊重され、お年寄りからこどもまで、助け合っていきいきと生活できるまちにしていきたいと考えます。しっかりと互いの心を結びつけた「絆が強く人にやさしいまち」、「やさしさあふれるまち」そうしたまちづくりを目指してまいります。
その基本を踏まえた上で、2つの分野に分けて述べさせていただきます。
はじめに、人をはぐくむ「教育」、「子育て環境の充実」についてであります。
本市は、全国で初めて「子育て平和都市宣言」を行い、以来30年以上にわたり、子育て運動に取り組んでまいりました。これまでも、わがまちは子育て支援を最重要課題と位置づけ、他に先駆けて充実した子育て環境を整備してきたと、誇りに思っております。
しかし残念ながら、こうした子育て環境の整備とは裏腹に、こどもの数が非常に少なくなっております。だからこそ、私は今、もっともっとそこに力を入れたい。もっと安心して子育てができるまちにしたいと考えます。
私は選挙期間中、子育て環境の充足の一環として、緑地区に学童保育所と併設で児童館をつくり、放課後のこども達の安心・安全な居場所づくりを進めたいと訴えてまいりました。さらに本市独自の新たな子育て支援策として、医療費助成の拡大を図り、小学生までの医療費の無料化と、幼稚園、小中学校に通うこどもの給食費半減を主張しました。これらは何としても任期中に実現するつもりであります。
教育につきましては、これまで、こどもたちの学習環境を改善するため、数々の施策を実施してまいりました。これらの施策や支援措置を、教育関係者や保護者、地域の皆様の声をお聞きしながら、しっかりと充実させてまいりたいと考えます。
こどもを大切にしない国に、未来はありません。私は、本市のこどもたちが、賢く、優しく、たくましく育ってくれることを願い、まちづくりにあたってまいります。
2つ目は助け合う、人に幸せをもたらす「福祉」の実現であります。
介護が必要になっても、多くの方が自宅や住み慣れた地域での生活を希望しています。在宅サービスの充実を図ることはもちろんですが、公的なサービスでは補え切れない、日常生活への支援策の検討が必要だと考えます。自宅での生活が困難になった場合に必要な、特別養護老人ホームの増床も、皆様と十分にお話しさせていただきながら進めてまいります。
多くの方が不安をかかえる認知症につきましては、地域で温かく見守るための認知症サポーターを増やすとともに、ご家族を支える仕組みづくりも進めます。
安心して生活できる場として、高齢者や障がいのある方が、それぞれ住み慣れた地域で生活するための、グループホームやケアホームの整備も進めてまいります。
教育・福祉につきましては、地域の中でのネットワークが特に重要です。いじめの防止や児童虐待防止など、こどもの安全確保、高齢者の虐待防止やひとり暮らし高齢者への見守り活動などを通じ、こどもを地域で守り育て、高齢者や障がいのある方の生活を地域で支える地域社会づくりを進めてまいります。
そして、私はあえて“高齢者”ではなく“シニア”と言わせていただきますが、定年退職やこどもの自立などで時間と体力に余裕ができたシニア世代や団塊の世代、女性の皆様が元気なまちをつくっていきたい、そのように考えております。
私も団塊の世代の一人でありますが、やさしさあふれるまちづくりの担い手には、こうした方々に、その中心的な役割を担っていただくことを期待しております、そのための仕組みや仲間づくり、活動の場づくりを、一緒に考え進めてまいります。
最後の柱は「実行する市役所づくり」であります。
私は先程来、述べてまいりましたとおり、4つの基本姿勢を掲げ、選挙期間中、様々な地域の方々と膝を交えながら、その思いをお話しさせていただきました。
その際、多くの方々からご要望や貴重なご提言をいただき、また私自身、この目で見て感じたことが数多くありました。こうした中、私は、今、市民の皆様が何を一番望んでいるのかということを熟慮のうえ、「10の約束」というものを掲げさせていただきました。この約束を実行するのが私の責務と考えております。
もちろんその約束だけがすべてではありません。今、地域経済は大変困難な状況にあり、私たちの生活を取り巻く環境には様々な問題・課題が山積しております。それら一つ一つにしっかりと目配りし、施策を講じていかなければなりません。
そのためにも、私の思いをしっかりと受け止め、共にまちづくりを進めていく「実行する市役所」を創ってまいりたいと考えます。
私は、職員として、また副市長としてこれまで誠心誠意、職務にあたってきたつもりであります。そして、色々な立場でこのまちの行政運営に携わってきたことを誇りに思っています。しかし、このたび市役所の外に、一度、身を置いたことで、気付かされたこともありました。
行政に対する市民の皆様の不満もたくさんお聞きしました。もちろん、そのことは真摯に受け止めておりますが、情報発信の不足から生じていると思われる不満も、見逃せないと感じました。わかりやすく市政をご理解いただくことの重要性と、直接対話の大切さを改めて感じております。
私は、身近な“顔の見える市長”を目指したいと思います。私の考えを直接お届けし、皆様からいただく声に耳を傾け、相互理解を深めるため、タウンミーティングあるいは地域や各種団体の会合など、自らが積極的に出向いていこうと思います。
そして、私のみならず、職員が積極的に地域に出かけ、様々な地域活動に自らも参加し、市民の皆様との対話を重ねることによって、地域の現状や課題、また市政運営について、ともに理解を深めることができるものと確信しております。
自治体経営には、まず経営の基本となる「誰のために経営するのか」「何のために経営するのか」を明確にして、共有していくことが大変重要だと考えております。市民の皆様と共感し、ともに考える市役所を目指します。
様々な施策を速やかに実行していくためには、行政に携わる職員の意識改革をさらに進めなければなりません。自治体経営において、職員一人ひとりは重要な経営資源です。市職員の能力や専門性を最大限発揮できる環境の醸成とともに、職員の意識改革にしっかりと取り組んでまいります。
これからの自治体経営は「国や道に言われたから」ではなく、「多くの自治体がやっているから」でもなく、市民にとって、そしてこのまちにとって必要なことであれば、「前例がなくてもやる」「新しいものをつくっていく」、果敢に挑戦する市役所を目指します。
私は、明日を考え行動することが“改革”であると考えます。もちろん、“行政改革”はこれまでも、あらゆる場面で進めてきたつもりでありますが、刻々と変わっていく社会情勢の中、改革に“これで終わり”ということはありません。
ただ、私は「行政のみの改革」だけではなく、市民が主体である“地域全体”を変えていく「地域改革」、「自治体改革」を目指したいと考えます。私は皆様と一緒に、このまちを変えていきます。市民・議員の皆様とともに、思いを同じくして協力し合う“志のネットワーク”を組んでまいりたい、このように考えます。
私の遠い記憶の中で、初めてテレビの海外衛星中継で映し出された映像は、ケネディ暗殺のニュースでした。本当に衝撃的でありましたが、今、その第35代アメリカ合衆国大統領、ジョン.F.ケネディの有名な演説を思い起こしています。
“国が貴方たちに何ができるのかを問うのではなく、貴方たちが国に何ができるかを問うて欲しい”
この国難とも言うべき今だからこそ、市民の皆様と一緒に力を合わせ、このまちの次の時代をつくって行かなければならないと考えております。もちろん、その先頭は私が努めます。ぜひ力をお貸しください。
自分が住んでいる地域が少しでも暮らしやすい郷土になることを願っている方々、これから家庭を築き将来に夢を持とうとする若い方々、また長年この地に住み郷土を愛してこられたご年配の方々、そして稚内の未来に向けた発展を望む3万9千人すべての市民の“幸福”のために、私は誠心誠意、努力していくことをお誓い申し上げます。
今後の市政運営にあたり、市民の皆様そして議員各位の特段のご支援、ご協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明とさせていただきます。ありがとうございました。
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