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教育行政執行方針

令和8年度教育行政執行方針

令和8年(2026年)2月24日
稚内市教育委員会
 
 令和8年、第2回稚内市議会定例会の開会にあたりまして、令和8年度「教育行政執行方針」を申し上げます。

 生成AIの普及やDXの進展など、デジタル技術の飛躍的な進化は、次代を担う子ども達の生活習慣や学びの環境、コミュニケーションのあり方を劇的に変えようとしています。このあと戻りできない大きな変革の波は、私たちが長年積み重ねてきた教育の伝統や価値観を根底から揺さぶり、既存の枠組みを超えた新たな学びの姿を模索すべき時が来ていることを示唆しています。

 しかし、デジタル技術が、いかに高度化しようとも、人間関係の中で育まれる「人による人の育成」が教育の揺るぎない基盤であることに変わりはありません。AIが瞬時に正解を提示する時代だからこそ、子ども達に必要なのは、情報を鵜呑みにせず、その真偽を確かめ、正解のない問いに果敢に立ち向かう「生きる力」です。

 この生きる力を支える重要な基盤となるのは、文章や情報を正しく読み解き、文脈を捉える「読解力」にほかなりません。
 令和8年度は、デジタルの利便性とアナログの指導を融合させながら、全ての教科の学習の基盤となる「読解力」の向上を最優先課題に位置付けるとともに、学力向上の土台となる基本的生活習慣の確立と、家庭で自ら学びを進める学習習慣の定着に、不退転の決意で臨みます。

 特に、子ども達の心身の健康と学力に大きな影響を及ぼすことが指摘されているデジタル機器の利用については、単に禁止や規制など制限をするのではなく、子ども達が自らコントロールする力を身に付けることができるよう、全市的な取り組みを進めます。

 デジタル技術を主体的に使いこなし、子ども達が予測不能な未知なる未来へと力強く羽ばたいていけるよう、支え続けることが、私たち教育委員会の使命であり、夢や目標に向かって、ひたむきに 進む子ども達を誰一人取り残すことのないよう、教育委員会が一丸となって、本市教育の更なる発展に取り組んでまいります。

 以下、「第3次稚内市教育大綱」に基づき、4つの柱に沿って、重点的施策を申し上げます。

〇はじめに、1つ目の柱であります「こどもまんなか社会の実現に向けての家庭教育、子育て支援の推進」についてです。

 家庭は子ども達の健やかな育ちの基盤であり、家庭教育は全ての教育の出発点です。
 社会構造や生活様式の変化、価値観の多様化が進む中においても、子どもの基本的な生活習慣や情操、倫理観、自立心などを育む「家庭の教育力」を高めるため、親自身が学び成長するとともに、社会全体で子育てを支える機運の醸成がますます重要となっています。
 このため、本市がこれまで長年取り組んできた市民ぐるみの子育て運動の一層の充実とともに、保護者の親育ちを促す学びの機会の充実に努めてまいります。

 子育て推進事業の一環として実施する教育講演会におきましては、デジタル社会における家庭教育の重要性をテーマに、子ども達を取り巻く課題について学び、 家庭・学校・地域による具体的な行動につなげることができるよう、子育て推進協議会と緊密に連携して、その内容を充実させてまいります。

 子育て支援については、本年4月から、保護者の就労要件を問わず、6か月以上から満3歳未満の未就園児が時間単位で利用することができる「こども誰でも通園制度」が全国で導入されます。
 本市では、これまでの一時保育やファミリー・サポート・センター、病児保育など短時間の預かりに加え、4月から市立白樺保育所において、本制度の運用を開始し、多様なライフスタイルに応じて安心して子育てができる環境の更なる充実を図ります。

 また、本年4月には、これまでの「子育て世代包括支援センター」を改組し、新たに「こども家庭センター」を設置します。妊娠・出産・子育ての相談に加え、児童虐待や福祉、発達支援など、専門的な課題にも一体的、かつ、包括的に対応する体制を構築します。

 これらの家庭教育及び子育て支援の取り組みを着実に進め、子どもの健やかな成長の権利が保障される「こどもまんなか社会」の実現を目指してまいります。

○次に、2つ目の柱であります「次代を担う人材の育成と地域とともにある学校づくりの推進」についてです。

 児童生徒が予測困難な時代を生き抜くために必要な「真の学力」を身に付けるためには、「受動的な学び」から「主体的な学び」への転換が不可欠です。
 本市の児童生徒については、これまでの調査等から、文章を読み解く力や、自主・自律的な学習習慣・生活習慣の確立に課題があり、一人ひとりの実態把握と改善に向けた取組が急務となっています。
 このため、「放課後学力グングン塾」については、コミュニティ・スクールなど学校と地域が連携した取組へ移行することを含め、発展的に終了し、全ての学力の土台となる「読解力」の育成に向け、新たにリーディングスキルテストを導入し、一人ひとりの課題を踏まえた授業改善や個に応じた指導の充実を図り、基礎学力の確実な定着につなげる取組を進めてまいります。
 併せて、昨年から全小中学校に導入しているAIドリルや、学習支援アプリの一層の効果的活用を図るとともに、児童生徒が自らの学習習慣や生活習慣の課題に気づき、主体的に改善するための取り組みを学校・家庭・地域と連携・協力して進め、一人ひとりの可能性を最大限に引き出す教育環境の構築に、全力で取り組んでまいります。

 全国的に不登校児童生徒数やいじめの認知件数は増加の一途をたどっており、本市においても同様に深刻な状況が続いています。
 本市としては、学校との連携のもと、情報共有の徹底や初動を含め迅速な対応に努めています。これに加えて、各学校が抱える課題を組織的に共有・解決する場として、 昨年12月に「稚内市生徒指導連絡会議」を新たに設置し、更なる対応力の向上を図っています。
 不登校やいじめなどへの対応については、今後も、学校はもとより、スクールカウンセラーや教育相談所など関係者と、これまで以上に連携を図り、児童生徒一人ひとりの状況に応じたきめ細かな支援に努めてまいります。

 近年、特別支援学級の在籍者や通常学級に在籍しながら通級指導を受ける児童生徒数は、年々、増加傾向にあります。
 これを受け本市では昨年度から、年度途中の在籍変更にも柔軟に対応できるよう運用の適正化を図っています。
 今後も、一人ひとりの教育的ニーズを的確に把握し、最適な指導が行えるよう、必要な環境整備を推し進めてまいります。

 部活動の地域展開については、令和6年6月に教育委員会と関係団体による「稚内市立中学校部活動地域移行に係る検討会」を立ち上げ、検討を進め、昨年8月に「稚内市立中学校における部活動の地域展開に関する方針」を策定しました。
 今後は、方針で示した取り組みを推進し、子ども達が将来にわたって、希望するスポーツや文化的な活動に継続して親しむことができる機会の確保に向けて、学校や地域、関係団体等と一体となって取り組んでまいります。

 教職員の働き方改革については、本市の「学校における働き方改革アクション・プラン」に基づき、部活動の完全休養日の設定やストレスチェックの実施などに引き続き取り組んでまいります。
 また、令和6年度から一部の学校で導入している「校務支援システム」を市内全ての小中学校に拡充するなど、教育DXを推進することで、公務の抜本的な効率化と意識改革を加速させます。
 教職員が本来の専門性 を発揮し、子ども達と向き合う時間を確保し、やりがいを実感できる職場づくりを推進することで、教職という仕事の魅力向上に努めてまいります。
 本市初となる義務教育学校の開校に向け、これまで、学校と地域の関係者による「義務教育学校開校準備委員会」において、校名や校歌の選定、本市の小中一貫教育の具現化に向けた「9年間の一貫した教育課程」の編成など、多角的に検討を重ねてまいりました。
 開校予定である令和9年度まで残り1年余りとなることから、総合的な学習の時 間の一体的な推進など、教育課程の一部を先行して試行することで、新たな学びの場の構築を着実に進めてまいります。
 学校再編については、少子化に伴う学校の小規模化が進行する中、将来にわたり教育の質を維持・向上させ、子ども達にとって最適な教育環境を確保していくことが喫緊の課題となっています。
 現在、有識者会議において再編の基本方針について検討を重ねており、今後は、その方針に基づき、具体的な再編計画の内容について慎重に協議・検討を進めてまいります。

 学校給食については、本市独自の給食費助成に加え、ここ数年の食材費の上昇分を公費で補填し、学校給食費を据え置いてきましたが、保護者が負担する給食費と実際の食材費との乖離は拡大する一方です。このため、令和8年度から開始される国の小学校給食費の負担軽減策を機に、本年4月から学校給食費を改定し、適正化を図ります。
 一方で、小学校の給食費にかかる保護者負担については、国の交付金を活用し、超過分を市が全額負担することで完全無償化を実現します。
 中学校や幼稚園・保育所の給食費については、市が独自の支援を行うことで、 給食費改定後においても、保護者の実質負担が令和7年度と同水準に収まるよう措置を講じてまいります。
 また、施設設備の故障や停電など不測の事態による給食停止を想定し、給食としても活用可能な非常食を災害備蓄と一体的に購入・管理することで緊急対応に備え、安全で安心な学校給食の提供に努めてまいります。

 コミュニティ・スクールについては、本市では、全ての中学校区に学校運営協議会を設置しており、令和7年度には、地区別サポーター、分野別コーディネーターを認定し、地域とともにある学校づくりに向けた活動が本格化しています。
 今後は、コミュニティ・スクールと連動して、学校を核とした地域づくりを目指す「地域学校協働活動」を充実させることで、 地域の教育力向上やコミュニティの活性化を図り、子育て平和都市宣言のまちとして長きにわたり力を入れてきた本市の市民ぐるみの子育て運動の基盤を生かしながら、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動を一体的に推進してまいります。

○次に、3つ目の柱であります「市民の学びを支える地域づくり」についてです。

 社会構造が目まぐるしく変化し、価値観も多様化する中、コミュニティを維持し、市民一人ひとりが 豊かで幸せな人生を送るためには、地域の課題を自分事として捉え、解決に向けて主体的に行動する人づくりを進めることが重要です。
 このため、生涯学習総合支援センター「風~るわっかない」の機能を最大限に生かし、地域課題や多様なニーズに応じた学習機会を創出し、地域のつながりの中でともに学び、気づきを育み、学ぶ楽しさとそれを生活に活かす喜びを実感できる学習環境の整備を進めます。
 更に、多世代による学習機会を確保し、世代間の交流と学習の継続、知識や技能の継承を促進する取り組みを推進します。
 また、令和9年度の北海道生涯学習推進構想の改定に合わせ、本市の生涯学習推進計画の改定作業を進めます。

 本市が子育て平和都市宣言のまちとして、市民ぐるみで取り組んできた子育て運動の取り組みの一つに「平和教育」があります。 1983年に発生した大韓航空機事件を契機として、本市では長年にわたり、地域に根差した平和学習や平和祈念事業が行われています。
 未来を担う子ども達の幸せは世界共通の願いであり、その幸せは平和の元に育まれます。本市が有する貴重な平和教育の営みを継承しながら、稚内で育つ子ども達に、わっかない人としてのアイデンティティを育む取り組みとなるよう努めてまいります。

 稚内市青少年科学館では、サイエンスクラブ等を通じて科学の原理を体感し、全ての世代が新たな発見や新鮮な驚きに触れ、科学の楽しさ、魅力を実感できる展示や各種事業に取り組んでまいります。

 また、本市は南極観測で活躍した樺太犬の訓練地として、また本市職員が観測隊員として参加するなど、長年にわたり南極観測と縁が深い地域です。

 令和8年度は、第1次南極地域観測隊が南極へ派遣されてから70年の節目を迎えることから、関係団体等と連携した「南極観測70周年記念事業」を実施し、パネル展、体験プログラムなどにより子ども達の興味 ・関心を高めるとともに、本市の魅力ある観光資源や環境問題への取り組みの充実につなげてまいります。

 ノシャップ寒流水族館では、水棲生物の生態を伝える展示の充実に加え、アザラシへの餌やりやタッチプールなど、生物を間近に見て、触れることができる体験を通じて、来館者が楽しく学べる機会の提供に努めます。

 図書館では、多角的な資料収集に加え、季節毎の展示や「図書館まつり」等のイベントを通じ、市民が本を手に取るきっかけを創出するとともに、情報の拠点として、より身近で魅力ある図書館を目指し、更なるサービスの向上に努めます。
 また、「第四次稚内市子どもの読書活動推進計画」に基づき、子どもの語彙力・読解力向上を見据えた読書活動を推進し、次世代を担う豊かな感性と知性を育みます。

○最後に、4つ目の柱であります「地域と共創した持続可能な文化・スポーツ活動の推進」についてです。

 人口減少や少子化が加速する中、本市の文化・芸術活動を牽引してきた中核的人材の不足が顕在化しており、担い手の確保が喫緊の課題となっています。
 このため、多様な文化・芸術活動に触れる機会の創出に加え、市民の関心を高め、新たな担い手として活躍するきっかけとなるよう、質の高い音楽や舞台芸術作品等を鑑賞する機会の充実を図ります。
 また、 関係団体と連携し、後継者育成のための優秀な指導者の招聘や交流活動への支援を充実させるとともに、稚内学などを通して多世代による学びの場を確保し、世代間の交流や知識が継承される環境づくりを推進します。

 本年1月から市民のスポーツ・文化活動の振興を目的として、稚内中学校体育館の一般開放を実施しています。

 学校施設を含む地域のスポーツ資源をより効果的に活用できるよう、利用環境の整備や運用の適正化を図り、青少年の活動機会を確保しつつ、市民が幅広くスポーツに参加できる体制構築を進めます。
 また、学校部活動の地域展開を含め、地域でのスポーツ活動の広がりに対応できるよう、指導者の育成や活動の受け皿づくりを進めるとともに、各種企業との包括連携協定によるスポーツ教室などの体験機会の提供や、管内市町村の子ども達がスポーツを通じて交流する機会を作るなど、学校と地域が互いに補完し合いながら、多世代がスポーツを楽しみ、支え合う地域づくりを推進します。

 以上、令和8年度の教育行政執行にあたっての基本的な考え方と主要な施策の概要について申し上げましたが、教育委員会では、これら4つの柱による重点的施策を計画的かつ効果的に推進することで、本市教育の充実・発展に全力を尽くしてまいります。

 市民並びに議員の皆様の一層のご支援とご協力をお願い申し上げ、令和8年度の教育行政執行方針とさせていただきます。

お問い合わせ

教育委員会教育部学校教育課
〒097-8686
稚内市中央3丁目2番1号
電話:総務グループ 0162-23-6518(直通)

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