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内 容 (1)稚内市長挨拶
(2)講演「自治基本条例とは」
…北海学園大学法学部 横山教授
(3)テーマ「稚内らしさ」によるグループワーク(計3グループ)
(4)発表・まとめ
【概要報告】
(1)市長挨拶(要旨)
◆今まさに地方分権がどんどん進んでいく環境の中で、住民自らが、自分たちのまちづくりを主体的に考え、そして自らの力もかけながら、まちづくりを進めていこうという機運が全国各地で盛り上がってきています。
◆我々住んでいる者がどういうふうにこのまちをつくっていくのか、そのための様々な規範、仕組みというものを制定していかなければいけない時期にきました。それをきちんと多くの市民の方々に参加していただいて制定していこうというのが今回の自治基本条例制定に向けての趣旨です。
◆これは市役所の職員がつくりあげるものではありません。やはりここに住んでいる住民の皆さんの手で制定していくもの、その制定にかかる経過、手続き、議論が非常に大切なんです。
◆一応期限として今年の12月くらいを目処に成案ができ、議会などの議論を経て18年度中に制定できればと思っていますが、まだまだ議論が足りないということであれば、何回でも議論を重ねていく機会を作らせていただきたいと思います。
◆皆さんは仕事が終わってからこうして来ていただくのはたいへんな重荷だろうと思いますけれども、どうかひとつ我がまちのことだということでご理解をいただいて積極的にご参加いただきますよう心からお願い申し上げたい。
(2)講演「自治基本条例とは」(北海学園大学教授 横山 純一)
◆今日はワークショップということですが、その前に少し基本条例というのはどういうものなのか、なぜいま基本条例なのかということをお話しして、その上でワークショップのほうに入っていただければと思います。
1 条例制定の背景
◆市長のお話にもありましたが、条例制定の背景とはいったい何なのか。今全国の自治体では、基本条例が「制定済み・検討している」という所が非常に多いです。それにはいくつかの背景があります。
◆ひとつは自治体をとりまく環境がかなり変わってしまったということです。昭和50年代の自治体を取り巻く環境と現在とではぜんぜん違う。いろいろな要素があるわけです。
◆その要素のひとつは財政の問題です。右肩上がりで自治体に地方交付税が入ってくる、税収もそこそこ上がっているという時代ではなくなっています。また、自治体の借金が増えているという実態もあります。入ってくる収入がだんだん先細りぎみであり、もう一方で過去にした借金の返済はしていかなくちゃいけない。多くの自治体が非常に厳しい状況にあるということです。
◆そうしますと、例えばこれから職員の人件費も減らしていく、あるいは住民の受益者負担といっていろいろな使用料・手数料などを引き上げなければいけない、ということになるのではないでしょうか。そのときに大事なのはなぜ使用料や手数料を引き上げたのか、なぜこういう住民サービスを引き下げたのか、これは首長さんの説明責任です。住民に納得してもらう、その手続きが大事なんです。
◆それから市町村合併の話ですが、北海道ではあまり進んでいません。宗谷管内では、歌登町と枝幸町が合併しただけです。しかし、これから先自治体は一方では外に向かっていく、そしてもう一方では内に向かっていく両方必要になってきます。外に向かっていくとは、やはりいろいろな行政コストを考えると、ひとつの自治体だけでやるよりも広域でやった方がいいということです。
◆内に向かっていくとは、近隣自治あるいは狭域自治と言いまして、稚内市という市の中をいくつかの地域に分ける狭い自治がこれから必要になってきます。町内会とか、NPO、老人クラブ、あるいはボランティア団体、こういった人たちが活発に動いていくような狭域的な自治もこれから必要になってきます。
◆それからもう一つは、自治体自身が自己決定をしていく仕組みづくりです。これは地方分権一括法というのが2000年4月から施行されました。トレンドとして分権の方に大きく流れてきていると言って良いと思います。
◆それから自治体政策の質的向上です。政策評価とか、住民参加とか情報公開などです。稚内市も情報公開条例ができていますし、行政評価も取り組んでいます。地域で温度差はありますが、そういう流れになっています。
◆そういうわけで、状況の変化というのがある中で自治体の運営のルールをつくっていきましょう、行政と住民が協働でやっていくようなまちづくりのルールをつくっていきましょう、ということなんです。
2 基本条例の制定
◆基本条例とはどういうものか。中身は今後皆さんが議論したものを取り入れれば良いわけで、あまり私の方から具体的に申すことはないんですが、あえて言えば、例えばまちづくりみたいなこと、具体的には情報共有、市民協働といったものを盛り込むことが多いです。それから住民参加のルール、住民の権利とか機会の保障も多くみられます。それから自治体運営のルール、情報公開、政策評価などが多いです。
3 基本条例によって期待される効果
◆基本条例によって期待される効果は何か。すぐ直接的に出てこないかもしれません。見えないかもしれません。じわりじわり効いてきます。
◆じわりじわり何が効いてくるか。住民にわかりやすい自治体運営がひとつその効果として現れます。住民参加の一層の促進というものも長い目で見れば出てきます。それから行政の監視機能、住民が行政運営をチェックするということ、政策の質的向上を目指すといったようなものも出てくるかもしれません。
◆ただ、そのときこの条例をつくっていく過程が大事なんです。例えば稚内市の職員が2人くらいで、インターネットから拾い上げて、他市の条例のいいところ取りしていけば、文章としては立派なものが出来るんですよ。これはだめなんです。稚拙でもいいから住民が策定過程に積極的に関わって、そして行政がしっかり情報を提供し、そしてワークショップとか、審議会とか、あるいはフォーラムなどを頻繁にやりながらまとめる、この作業が大事なんです。
◆そうすると、それがまちづくりの憲法ですから、住民の中に内在的に生きてくるわけです。そういう策定過程が大事なんです。
4 条例のタイプ
◆条例のタイプについてですが、自治基本条例、行政基本条例、住民参加条例、理念条例と4つほどあえて言えばあります。稚内市は自治基本条例を目指していることになります。
◆理念条例というのは、まちづくりの理念だけを規定した条例です。いちばんそういう意味でいうと弱い条例です。住民参加条例というのは、まちづくり全体における住民参加の手続きの部分だけの条例です。行政基本条例と自治基本条例はまちづくり全体を総括的にしっかり規定するものです。
◆自治基本条例と行政基本条例は何が違うか。議会を規定するかしないかです。つまり議会についてもしっかり書くのが自治基本条例。住民の問題や行政の問題などは盛り込むけれども、議会の部分ははずしますというのが行政基本条例です。道庁がつくっているのは行政基本条例です。全国でも自治基本条例、行政基本条例いろいろあります。
5 条例の制定状況
◆道内的には、まずニセコ町です。ニセコ町は「まちづくり基本条例」という形で2001年の4月にできました。それから遠軽町は2005年の3月、奈井江町は2005年の4月に制定されています。
◆ただ、ニセコの場合は自治基本条例と言われましたが、2001年4月の非常に注目をされた時の条例は実は行政基本条例なんです。議会を入れてないんです。ただ、ニセコの場合は4年後に見直しますという項目を入れていまして、今回見直しで議会を入れるということです。
6 策定過程が重要
◆策定過程がたいへん重要ということでしたが、ひとつは市民検討委員会を立ち上げるということです。稚内市の場合は審議会をつくっております。それから、ワークショップを開催するということ、あるいはワークショップだけではなくもっとたくさんの市民が参加できるようなフォーラム、シンポジウムなどが求められてきます。
◆もう一方で、市役所内部に庁内研究会をつくる必要があります。行政と市民の協働でまちづくりの条例をつくるわけですし、圧倒的に情報を握っているのは行政なんです。
◆検討期間は、場合によっては当初考えていたよりも時間がかかってもよいということです。先ほど横田市長が言ったとおりです。
◆議員の役割、これをどう規定していくか。議会がいま自治基本条例についてどうお考えになっているかわかりませんが、議会の方から反発されるような場合には行政基本条例にするというのもひとつの方法です。絶対自治基本条例だというのであればそうするのも方法です。
◆ただ、行政基本条例というときには「4年後には見直しをかけます」というような見直し条項を入れるべきです。
◆いずれにしても、オール稚内で考えるという視点が大事です。いろいろな政策などの問題では議論をして賛成だ反対だということになるのはいいと思います。ただ、基本条例はできるだけオール稚内でまとめていく必要があるのではないかと思います。まちづくりの憲法であり、まちづくりの原則や住民と行政の共同作業だいうことを決めていくことですし、将来ずっと生きていくものにしなければいけませんから。
◆かんかんがくがくの議論を大いにやり、そのうえで最後まとめるという努力を求められるのではないでしょうかということを申し上げまして私のお話を終わらせていただきます。
(3)および(4) グループワークのまとめ
Aグループ | |||
分類 | 稚内の良いところ | 分類 | 稚内の悪いところ |
景観・環境 | ・観光資源が多い | 子供 | ・子供の通学に不安が多い |
生活 | ・魚介類が豊富だ | 街並み | ・地方への移動に時間がかかる |
生活 | ・パークゴルフ場無料にしてほしい | ||
その他 | ・市議会議員が問題だ | ||
Bグループ | |||
分類 | 稚内の良いところ | 分類 | 稚内の悪いところ |
福祉 | ・地域で子供を見守る温かい環境 | 教育 | ・教育レベルがあまり高くない |
食文化 | ・漁業が盛んで食べ物がおいしい | 医療 | ・病院事情が悪い |
産業 | ・漁業の街 | 商業 | ・商業に競争が少なくあぐらをかいている |
観光 | ・40号と238号で景色が全くちがう | 公共施設 | ・文化施設が少ない |
国際 | ・日本で一番外国に近い | 都市計画 | ・都市計画がへた |
環境 | ・四季がはっきりしている | 観光 | ・観光のPRがへた |
生活 | ・子供たちが明るい | 地域 | ・地域の活性化に乏しい(まちづくりに難色) |
その他 | ・市民活動がある | 大都市からのアクセス | ・道路事情が円滑化されていない |
経済 | ・無秩序な公共事業 | ||
自然 | ・風が強い | ||
Cグループ | |||
分類 | 稚内の良いところ | 分類 | 稚内の悪いところ |
自然 | ・自然災害が少ない | 自然 | ・天候が厳しい |
サハリン | ・サハリンとの交流が盛ん | サハリン | ・ロシア人の犯罪が増えている |
人 | ・親しみやすい市民の方が多い | 人 | ・市民の気質が熱しやすくさめやすい |
交通 | ・アクセスポイントが整っている | 交通 | ・交通の不便さ |
食 | ・魚介類がおいしい | ||
生活 | ・北星大学 | 生活 | ・高度医療ができなく大都市へいかなければならない |
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