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平成25年度 市政執行方針(平成25年2月27日)

平成25年度 市政執行方針

平成 25 年 2 月 27 日

稚内市長 工藤 広

 はじめに

 基本方針

   

  ■方針1:人を呼び込み にぎわいのあるマチをつくる

   

  ■方針2:地域のポテンシャルを引き出し、経済の活性化をめざす

   

  ■方針3:安心を実感できる地域をつくる

   

  ■方針4:環境と共生する地域社会をつくる

   

  ■方針5:市民との協働で活力ある地域をつくる

 自治体経営について

 むすび



 

 

(はじめに)

 このたびの市議会定例会の開会にあたり、市政に対する執行方針を申し述べさせていただきます。

 昨年の総選挙により誕生した新政権の下、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」で、経済成長を推し進めるという方針が示され、国の次なる「新しい成長戦略」に期待を寄せているところです。

 このたび示された国の予算案にも、命と暮らしを守るための「港湾や道路等の社会インフラの老朽化対策」、災害に強い広域ネットワーク構築に向けた「ミッシングリンクの整備」、また再生可能エネルギー導入のための設備投資の促進など、本市にとって好影響をもたらすことが期待される施策が多数盛り込まれています。

 こうしたことを、まちのさらなる発展のチャンスと捉え、産業や地域の活性化はもとより、あらゆる面で、より積極的にまちづくりを進めていきます。

 さて、私が市長に就任してから間もなく2年、任期の折り返しを迎えます。

 任期3年目となる平成25年度も、市民の皆さんとの「協働」を基本に、皆さんの「安全・安心」を最優先にしながら、マチの外に向かっては、わがまちの存在を発信して、「地域の発展」に結び付けたいと考えます。

 今まで以上にスピード感を持って、地域の課題解決のために必要な施策を、一つひとつ実現していきます。

 その意味で、平成25年度を、地域再生の新たなるスタートの年と位置付け、全力で取り組む所存です。

 以下、平成25年度の政策展開にあたり、私が定めた5つの基本方針に従って述べます。


(基本方針)

 ■方針1

 第1に「人を呼び込み にぎわいのあるマチをつくる」についてであります。


 1つ目に「マチ全体で取り組む観光振興」についてです。

 平成24年度上期の観光 入込客数は、10年ぶりに前年を上回り、道外客、宿泊延数は震災前の一昨年をも上回るなど、観光に明るい兆しが見えています。

 しかし本年は残念ながら、関空便、中部便という2つの航空路線の運航休止が決定され、団体旅行、夏季観光客の減少が懸念されています。

 こうしたことから、新年度は、「夏季の誘客拡大」を軸に、冬季・端境期も含め、四季折々の情報を効果的に発信しながら、これまであった認知度に新たな魅力を上乗せして、観光客誘致に取り組んでいきます。

 商工会議所、観光協会、物産や飲食、宿泊関係団体など各界を網羅し、既に官民一体となった夏季観光客誘致協議会が立ち上げられており、新たな集客事業や誘致宣伝事業などに取り組んでいきます。

 さらに、この協議会では、商業、運輸業など、より幅広い業種によるチームが設置され、ソフト面における研究にも取り組むこととなっており、お互いに情報を共有し、円滑に事業が行われるよう意を配し、誘客と受入体制の強化につなげていきます。

 新たな魅力づくりといたしましては、商工会議所を主体に、関係自治体や各観光協会と連携して取り組んできた、映画『北のカナリアたち』の、ロケ地という観光資源を活用した“新たな広域観光ルート”の形成を目指します。

 また、外国人観光客の誘致については、近年、順調に増加している台湾、サハリンなどからの誘客事業を、引き続き展開いたします。

 さて、稚内観光協会は、本年4月に一般社団法人として新たなスタートを切ります。観光を、本市経済を支える産業の一つとして、さらに大きく育てていくことは、行政のみでは成しえません。

 一義的に観光に携わる方々のみならず、農業、漁業、商工業、さらには市民の皆さん一人ひとりを含め、まち全体で取り組むことが肝要だと思っています。

 先ほど述べましたとおり、今、業種の垣根を越えて手を携えようという新しい動きが見えています。

 その中心的役割を担う観光協会の法人化に期待を寄せるとともに、“民”の中心となる主体的な取組で、本市の観光資源をしっかりと活用し得る体制を構築できるよう、支援していきます。


 2つ目に「マチとみなと、双方向からのにぎわい創り」についてです。

 昨年、稚内駅周辺整備事業が完了し、「マチ」と「みなと」が結ばれた、魅力ある空間が誕生いたしました。本年は、この「マチ」と「みなと」の双方から、にぎわいを創っていきます。

 再開発ビル「キタカラ」と「道の駅」も、間もなくオープン1周年を迎えます。

 この間、イベントや催し物にも数多く利用され、市の地域交流センターをはじめ各施設の利用者は、目標を大きく上回っています。

 しかし、街中の“にぎわい創り”という点では、必ずしも満足のいく状態とは言えません。新年度は、ソフト面も含めて、“新たなにぎわい創り”に取り組みます。

 そのため、商店街の活性化などに取り組んでいる皆さんと、まち歩きの魅力向上に取り組むとともに、歩道や歩行者への誘導サインの整備など、周遊しやすい仕組みづくりを進めます。

 イベントといたしましては、本年で3回目を迎える『最北端・食マルシェ』の開催に合わせて、本市がもつ“食”の魅力を情報発信しながら、にぎわいを創ります。観光客を呼び込めるイベントとして、一層、魅力を高め、育てていきます。

 現在、「わっかない海の駅」の登録に向け準備を進めているところです。ヨットやプレジャーボートなど、海からの来訪も期待され、「海の駅」の登録を、にぎわいの創出につなげていきたいと考えます。

 また、本年7月には、わが国最大の客船「飛鳥Ⅱ」が、乗客・クルー合わせて約1,000人を乗せ、稚内港に寄港します。

 飲食や物産を販売する皆さんと、歓迎イベントを開催するとともに、市内観光への誘導を強化して、今後の寄港に繋げ、一層の経済波及効果が得られるよう取り組んでいきます。

 

 ■方針2
 

 第2に、「地域のポテンシャルを引き出し経済の活性化をめざす」についてであります。


 1つ目は、「再生可能エネルギー拡大への貢献と地域活性化」についてです。

 風力発電に関し国内でも有数のポテンシャルを誇るわがマチが、今、国のエネルギー政策の中で、注目を浴びているところです。

 国の推計によれば、北海道は、陸上風力、洋上風力ともに全国でもトップクラスの賦存量(ふぞんりょう)を有しており、特に、本市を含む北海道北西部の“送電網強化による風力発電ポテンシャル”は、約217万キロワットと、他の地域と比べ群を抜いていながらも、今は、その5パーセント足らずしか、風力発電に活用されていないのが現状です。

 このポテンシャルを生かすためには、送電網の脆弱さが課題であることから、これまで、国に対し送電網増強の必要性について、関係自治体などと訴え続けてまいりました。

 こうした取組の結果、このほど国の平成25年度予算案に、当地域の送電網整備実証事業として250億円が計上されたところです。

 当地域全体で、約1,200億円の事業費という、この送電網整備が実現すると、本市が電力供給基地として、わが国のエネルギーの安定供給に貢献できるだけでなく、資材調達のための港湾利用や、建設工事への地元参入、建設後の維持管理業務など、雇用の確保や地域経済の活性化に繋がるものと、大いに期待を寄せているところです。

 もちろん、送電網の整備と並行して、風力発電施設等の建設も進められなければなりません。陸上のみならず洋上風力も含め、様々な展開が予想され、再生可能エネルギーの一大基地として、大きく変貌することが期待できます。

 本市の経済への波及効果を優先することはもとより、それらに、どのような取組が必要になるのか考え、しっかりと取り組んでいきます。

 また今後、様々なエネルギー政策が展開される中で、単に発電に止まらず、エネルギーの地産地消など、率先して取り組んでいかなければならない課題は山積しています。

 再生可能エネルギーの先進都市としての自覚を高めながら、一層の取組を進めていきます。


 2つ目に、「強みを生かした物流の拠点化・人流の促進」についてです。

 本市には、日本の最北、そしてサハリンと至近距離に位置する日本海側拠点港“稚内港”があり、国内で唯一、サハリンとの定期航路を保有しているという強みがあります。

 「北東アジア・ターミナル構想」を策定した北海道とも、さらに連携を強めながら、物流、人流の拡大に向け、本市が持つポテンシャルを生かし、必要な取組を行います。

 今後の動向が注視されるサハリンプロジェクト関係者も、本市の港湾機能に関心を寄せ、精力的に視察に訪れるなどの動きが見られています。

 こうした動きに対応するためにも、日本最北の物流拠点港として、稚内港の機能強化を図ることが必要不可欠です。

 現在、稚内港の将来像を描く「港湾計画」の策定作業に取り組んでいるところであり、平成25年度内の策定を目指し、しっかりと進めます。

 稚内・コルサコフ定期航路は、依然として収支が厳しい状況にありますが、運航会社においても、航路の安定化に向け、努力しており、昨年は、こうした努力の成果が現れ、1便あたりの乗客数も過去最高を記録しました。

 サハリンとの定期航路は、この地域の発展に欠かすことができないという認識のもと、航路の安定化を図るため、本年も継続して支援します。

 全国的には、この定期航路の認知度はまだ十分ではないと感じています。運航会社を支援しながら、さらに積極的にこの航路の周知を図っていきます。

 特に北海道の生鮮食料品は、品質の高さから潜在的需要が高く、本年はユジノサハリンスク市で、旭川をはじめとする道北各市と、物産展を開催します。これまで物産展開催などに実績を持つ、北海道とも連携を図りながら進めます。


 3つ目に、「“産業連携による食のブランド化”と“産業振興”」についてです。

 1次産業の振興や中小企業への支援を行うとともに、本市が優位性を持つ食材、加工品のブランド化を支援、促進します。

 昨年誕生した「稚内ブランド」については、新年度は、宿泊施設や飲食店などと連携を図ることを重点的に取り組み、最北のまちの“食”の魅力を情報発信していきます。

 酪農においては、担い手育成対策として、昨年、農協などと協議会を立上げ、営農実習受入れ事業を開始しました。現在、3名の方が新規就農を目指し実習中であり、安心してスタートできるよう引き続き支援体制の充実を図ります。

 また、営農用水の整備事業を進め、安定した営農用水の供給と、生活環境の向上を図っていきます。

 漁業につきましては、本年秋、省エネ型の新造船が完成して操業を開始するという、底引き網漁業にとって、久しぶりに明るい話題があります。

 底引船は、老朽化の問題を抱えた漁船が多く、このまま更新が進まなければ、水産物の安定供給に支障をきたしかねないことから、さらなる更新が図られるよう取り組みます。

 また、ホタテ貝柱の増産と付加価値向上を図るため、HACCP(ハサップ)対応型の加工施設が整備されました。今後も、漁業生産と漁家経営の安定化に取り組んでいきます。

 全道的に来遊が増えているトド、アザラシによる漁業被害対策としては、昨年、宗谷管内の関係者が集まり「海獣被害防止対策連絡会議」が設立されました。

 抜海港では、大学の研究者による生態調査が続けられており、専門家や関係機関と連携を図りながら、引き続き対策を講じていきます。

 本年3月の「中小企業金融円滑化法」終了の影響が危惧されることから、特別融資貸付金の融資枠を拡大して、中小企業の経営の安定化と設備の近代化を図りやすくするため、支援を行います。

 また、新たな産業創出を目指す産業クラスター研究会や、水産廃棄物の有効利用を目指そうとする団体が、本市の特性を生かした事業に成果を上げられるよう、引き続き支援します。

 

 ■方針3


 第3に、「安心を実感できる地域をつくる」についてであります。


 1つ目に、「防災対策の強化」についてです。市民生活の基本は安全であり、安心できることです。

 特に、間もなく2年が経とうとする東日本大震災の発生以降、「防災」について様々な取組を進めてきましたが、今年度は「防災」のみならず「減災」という視点も持ちながら、取り組みたいと考えます。

 「減災」は、自然災害を完全に防ぐことはできないという前提に立ち、皆さん一人ひとりの「自助」と、互いに助け合う「共助」を基本に、万が一の場合の被害を最小限にするための日常における取組です。

 「減災」のまちづくりを進めるためには、まず市民の皆さんに、「地域を知り」「災害を知り」「人を知り」そして「技術を習得していただく」ことが重要だと考えています。

 「地域を知り」「災害を知る」ため、これまでも防災ハザードマップの作成や、シンポジウムやフォーラム、そして出前講座や防災教育を行ってきました。

 新年度は特に「人を知る」に重点的に取り組みます。そのため、地域の皆さんと一緒に、高齢などで支援が必要な方の、避難時の個別計画づくりに着手いたします。

 「技術の習得」についても、引き続き、救急・救命講習会を開催するほか、自主防災組織が自ら行う訓練を支援しながら、新たな自主防災組織の結成を促していきます。本年は総合防災訓練や、地域住民が参加する実践的な訓練も実施いたします。

 また、緊急告知防災ラジオを情報伝達手段の柱に位置づけ、早めの避難を促し、被害の軽減を図る取組を進めます。

 まずは来月、公共施設や小中学校などに配置した後、市内全世帯に配布して、無償で貸与いたします。

 この緊急告知防災ラジオは、コミュニティFM放送を活用しますので、合わせて難聴地域の解消に向けても、取り組みます。

 また、緊急告知防災ラジオを情報伝達手段の柱に位置づけ、早めの避難を促し、被害の軽減を図る取組を進めます。

 木造住宅の耐震化につきましては、昨年開始した耐震化診断費用への補助に加え、新たに工事費への補助を行って、耐震化を促すとともに、上下水道などの耐震化も、引き続き、着実に進めます。


 2つ目に、「交通網などの社会基盤整備」についてです。

 市内の道路整備につきましては、安全で快適な市民生活と、円滑な交通の確保のため、計画的な道路整備と改良に取り組みます。

 緑・富岡環状通は、全体の2割の区間の実施設計を終えたところであり、今年度から街路整備工事に着手いたします。

 市内に158ある橋梁につきましては、「長寿命化 修繕計画」の策定に着手いたします。

 公園につきましては、引き続き各公園の休憩施設や遊具の長寿命化を進めるほか、稚内公園については、安全が確保できる歩道の整備などを進めます。

 北辰ダム周辺の区域について、このたび北海道の条例に基づく水資源保全地域の指定を受けるべく提案を行いました。間もなく指定を受ける見込みであり、北海道とともに水資源の保全を図っていきます。

 本市と旭川を結ぶ国道40号は、救急搬送などに利用される“命の道”であり、観光や一次産品の輸送など、本市の発展に不可欠な道路です。

 来月には「名寄・美深道路」が全線開通するほか、新年度には「更喜苫内防雪」が完了するなど進展はありますが、音威子府バイパスの建設促進、凍結されている未整備区間の早期事業化など、今後も引き続き国に訴え、またJRへの要望も行いながら、大規模災害や雪害にも強い、安心できる交通網の整備に努めます。

 地域公共交通につきましては、天北・サラキトマナイ地区の乗合タクシーの運行を継続するほか、地域住民が小中学生と一緒に乗車できるスクールバスの運行について、導入に向けた検討を進めていきます。


 3つ目に、「こどもが輝くための教育」についてです。

 私は、このマチに生まれた子ども達に、その能力を伸ばし学力を高めていって欲しいと願っています。こどもの未来に可能性を開くことは、将来、このマチを支えて行くこども自身の幸せに繋がるからです。

 本市では、これまでも市費で教員を配置するなど、学力向上のための独自の対策を講じてきましたが、新年度は、さらに一部の小学校で、放課後を利用して退職教員などによる学習支援を試行します。

 学校施設につきましては、昨年から進めている東中学校の新校舎建築工事が、本年8月の完成を目指しており、2学期から新たな学習環境のもとで授業を開始できる予定です。

 南小学校につきましては、「耐力度調査」を実施し、改築に向けた準備を進めます。

 他の学校施設も安全性を確保することが極めて重要であり、「耐震診断」を実施して、計画的に耐震化を進めていきます。

 また、合わせて通学路の安全対策としての道路整備や、給食センターの改修などにも取り組みます。


 4つ目に、「安心でやさしさのある地域づくり」についてです。

 スポーツ、文化、趣味、ボランティア等、あらゆる場面で行われる“生涯学習”は、健康づくり、生きがいづくりなど、個人の生活の豊かさに結びつくばかりでなく、社会的側面としては“人づくり”に繋がり、より住みやすい地域社会をつくるために必要な、まちづくりの基盤とも言えるものだと考えています。

 新年度は、特に高齢者の人生を豊かにするための学習機会の拡充を図るとともに、「第2次稚内市生涯学習推進計画」の終了年にあたることから、平成26年度からの新しい計画の策定を行います。

 生涯学習機能を持つ児童館、活動拠点センターについては、南地区での建設が、かねてからの検討事項であります。老朽化が進む社会教育センターや南小学校の建替えなども考慮した上で、総合的な視野に立って具体的な検討を進めます。

 また、現在、商工高校の跡利用について、北海道教育委員会と協議を進めていますが、庁内に設置した「稚内商工高等学校跡利用プロジェクト」では、生涯学習機能も含めた検討が行われており、このプロジェクトの報告を尊重した活用を基本に、作業を進めます。

 子育て支援につきましては、本市の最重要課題の一つとして、これまで一貫して取り組み、本市の子育て支援策は、他の地域に引けを取らないものであると自負しています。

 加えて昨年春から、小学生までを対象とした医療費助成の拡大や、子育て支援ショートステイ事業を開始するなど、こどもを持つ親の安心感を、さらに高めることができたと考えています。

 高齢者への支援につきましては、昨年行った公募に基づき、新年度は、特別養護老人ホームの増床、新たなグループホームの整備など、介護サービス基盤の充実が実現いたします。

 在宅支援としては、地域包括支援センターに社会福祉士を増員し、高齢者の相談支援体制を強化するほか、認知症サポーターの養成を拡大いたします。

 また、水道やガス配送会社などと協定を締結して、地域での見守り体制の強化を図ります。

 障害者福祉につきましては、昨年、設置した「基幹相談支援センター」の相談機能の充実を図るとともに、本年4月に施行される障害者総合支援法に対応する各種サービスを充実して、だれもが、いきいきと自分らしく生活できる社会を目指します。

 新たな臨床研修制度の創設以降、地方の医療には大きな課題が生まれました。医師の不足や地域偏在が深刻となり、宗谷圏の人口10万人あたりの医師数は、道内最下位で、最も多い上川中部圏と3倍以上の格差が生じています。

 医師の確保につきましては、病院事業管理者とともに、鋭意取り組んでいますが、地方の取組には自ずと限界もあります。根本的解決には、国の制度見直しなども必要であり、関係者、関係機関とともに、国に対し強く訴えていきます。

 昨年11月には、本市の助成制度を利用した2件目の診療所開設が実現いたしました。今後もさらなる開業医誘致の実現を目指し、地域医療への安心感を高めます。

 さらには、医師という貴重な人材に、少しでも長く止まっていただけるよう、地域ぐるみで医師を守る体制づくりを進める必要性を感じています。医師のおかれている環境を理解していただくための啓発を行いながら、市民の皆さんと一緒に医師の地域定着に取り組みたいと考えます。

 交通事故など市民生活を脅かすエゾシカの対策につきましては、関係機関と連携をはかり、平成23年度から、捕獲頭数を400頭と倍増して、駆除を行っています。捕獲枠の拡大を検討しながら、引き続き対策を講じます。

 

 ■方針4


 第4に、「環境と共生する地域社会をつくる」についてであります。


 1つ目は、「省エネルギーの推進」についてです。

 積雪寒冷地である北海道は、電気や灯油など民生家庭部門のエネルギー需要が特に高い状況にあります。地球規模の課題でもある、二酸化炭素の削減に繋がる省エネルギーへの取組が、ますます重要です。

 特に節電に関しては、昨年夏とこの冬は、電力事情の切迫から、全市的に対策を実施しているところであり、この取組を通じ、私たち一人ひとりに節電意識が根付き、やればできるということが実感できました。

 今後も継続して節電を推進するとともに、公共交通機関の利用促進など、移動時の省エネルギー行動や、建物や家電品の省エネルギー化の推進など、電気や燃料の消費を抑えた行動を啓発します。

 個人や事業者、行政が各々取り組むべき事項を定めた「稚内市地球温暖化対策実行計画」に基づき、着実に二酸化炭素削減に向けた施策が実行されるよう、環境展などの開催を通じ、市民や事業者への普及・啓発活動を実施します。

 街路灯や公共施設のLED化を着実に推進するとともに、バス会社と協議して、利便性の向上を図り、公共交通機関の利用を促進するなど、省エネルギーに繋がる施策を推進します。

 また、中・長期的な視点から、スマートグリッドなど、省エネルギーに関連する、技術開発や研究活動を支援します。


 2つ目は、「廃棄物の適正な処理と分別推進」についてです。

 生ごみの中間処理施設、バイオエネルギーセンターは、昨年4月から本稼動しています。先ほど一般行政報告の中でも述べましたとおり、分別とごみの減量化に、引き続き取組が必要な状況です。

 各町内会には、廃棄物減量のための推進員を配置していただいておりますが、継続的な研修開催に努めるとともに、全町内会での配置を目指します。

 本市のリサイクル率は、全国・全道と比較してかなり低い状況が続いておりましたが、市民の皆さんのご協力により、平均水準に近づいています。

 学校や町内会などを対象とした、資源物集団回収奨励金制度の活用もお知らせしながら、引き続きリサイクル率の向上に取り組みます。

 さらに本年4月には、デジタルカメラや携帯電話などを対象とした「小型家電リサイクル法」が施行されます。新しい分別品目導入に際し、市民に混乱が生じないように、対応していきます。

 不法投棄につきましては、現在、監視員2名体制で見回りを強化しています。現在のところ、悪質あるいは大量の不法投棄は認められておりませんが、今後も、しっかりと取り組み、環境保全に努めます。

 

 ■方針5


 第5に、「市民との協働で活力ある地域をつくる」についてであります。

 「地域コミュニティ活動への支援」と、「協働のまちづくりを進めるための人づくり」に取り組みます。

 住民同士が手をつなぎ合う「コミュニティ活動」は、先ほど防災の項目でも触れた「共助」の基本となるものです。こうしたまちづくりを進めることが、高齢の方の生活、また災害時の安心感に繋がります。

 広報や地域担当職員による情報提供に努めながら、町内会やまちづくり委員会が、自主的・主体的な活動を展開できるよう支援します。

 町内会活動については、その活動の拠点である町内会館の整備に対し、引き続き補助を行うとともに、地域集会所の必要な改修を、継続して行います。

 また、町内会やまちづくり委員会、NPO法人やボランティアなど、市民活動を行う様々な組織と連携してまちづくりを進めていくため、「協働のまちづくり」を担っていく“人づくり”に取り組みます。

 特に、新年度は、それぞれの担い手の“意識改革を進めるための技法”に重点を置いた研修を行います。

 職員が市民や地域の皆さんの最良のパートナーとなり、市民や地域の力が最大限に発揮されるよう、職員の意欲や能力の向上と、市の組織の活性化を図ります。

 さらには、退職やこどもの自立などで時間と体力に余裕ができたシニア世代や団塊の世代、また女性の皆さんに、社会参加を通じて地域を支える活動を担っていただけるよう、そのきっかけを作るための取組を検討します。


(自治体経営)

 最後に、「自治体経営」についてであります。

 平成25年度は、「第4次稚内市総合計画・前期計画」の最終年度です。これまでの実績や成果を総括するとともに、本市の課題を整理し、平成26年度からの後期基本計画に反映させていきます。

 私は、市民の皆さんにサービスを提供する行政の経営者であると同時に、市民という顧客を代表する立場でもあります。

 私が地域に出向き、直接皆さんとお話しする「ふれあいトーク」は、回数を重ね実施してきました。今後も、より多様な方に参加していただけるよう工夫しながら、皆さんの声に真摯に耳を傾け、市政運営に取り組みます。

 地方分権や社会環境が著しく変化する中、多様化し、増大する市民ニーズを的確に把握し、果敢にチャレンジする行動力を身につけ、地域の諸課題を解決することが行政に求められております。そのためには、職員のパワーアップが必要です。

 私は、昨年から、若手職員とのランチミーティングを実施しています。そこで、若者の視点から行政上の疑問点や改善点について、様々な意見を聴くことができました。

 今後も、こうした職員と接する機会を増やし、私自身がチャレンジ精神を示しながら、組織風土の改革を推進します。


(むすび)

 以上、平成25年度の市政執行にあたりまして、私の考えを申し上げました。

 私は、市役所は市民と市民生活のためにあるという原点を常に忘れてはならないと思っております。

 そして、主役となる市民、一人ひとりが、福祉、経済、教育、文化などあらゆる分野で生き生きと活躍されることにより、そこで生まれる“思いやり”と“共感”が、まちづくりのエネルギーになっていくものと考えます。

 市政を取り巻く環境は、引き続き厳しい状況にありますが、市民の皆さんと協働して「元気なまち」を目指し、全力を尽くしますので、市議会議員の皆さん、市民の皆さんの一層のご理解とご協力を、心からお願い申し上げます。

お問い合わせ先

企画総務部企画調整課
稚内市中央3丁目13番15号
計画経営グループ 0162-23-6187、広報・広聴グループ 0162-23-6387、秘書グループ 0162-23-6384

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