文化交流派遣事業―稚内吹奏楽団サハリン公演(2011年8・9月) 8月31日から9月2日の期間で、稚内吹奏楽団の関係者(団長、メンバー21名、スタッフ2名)がサハリンを訪ね、コルサコフ市、ユジノサハリンスク市で演奏を披露しました。これは稚内国際文化交流協議会による、友好都市との文化交流の一環として催されたものです。今年はコルサコフ市友好都市20年、ユジノサハリンスク市友好都市10年にあたるため、今回の稚内吹奏楽団派遣は「記念行事」として企画されたものでもあります。これまでも音楽演奏を披露するためにサハリンの友好都市を訪ねた経過は在りましたが、「21名の楽団」というのは、これまでに例が無い規模のものです。 「各種の管楽器に打楽器が加わって、アレンジを加えた様々な楽曲を演奏」という“吹奏楽”は、日本ではなかなかにポピュラーなもので、学校のクラブ活動も盛んです。稚内吹奏楽団の皆さんの多くは、そうした活動の経験者です。稚内吹奏楽団は、各々がそれぞれの分野で活躍している社会人のグループです。主に休日や夜に練習を行い、公演やコンクールへの参加等を行っています。 ロシアでは「管楽器主体の楽団」と言うと、パレードの際に勇壮なマーチを演奏する、軍の音楽隊のようなものが連想されるようで、日本で言う“吹奏楽”のようなイメージのものは然程ポピュラーではないようです。そうした意味で、今回の稚内吹奏楽団による公演は「目新しいジャンルの演奏の披露」、或いは「新ジャンルの紹介」という色彩も帯びるものとなりました。 ロシアと言えば、クラシックの名曲を創った数多の作曲家を輩出した国であり、サハリンも含めて「街で音楽演奏の催し」ということがポピュラーなので、公演に来られる皆さんは所謂「耳が肥えた聴衆」ということになります。そういうことで、稚内吹奏楽団の皆さんは「各々が仕事を持っているのでメンバー全員が揃う機会が限定される」という難しさを抱えながらも、ベストな演奏が出来るよう練習を重ねました。 「2部構成」とした公演のプログラムですが、「日ロ文化交流」ということで、能楽の面からインスピレーションを得て作曲されたという『般若』、“日本のメロディー”として外国でもお馴染みな「さくらさくら」をアレンジした『さくらさくら―ブラスロックヴァージョン』というような“日本”を意識した作品や、ロシアの歴史に題材を求めた歌劇『ロシアの皇太子』と言った“ロシア”を意識した作品を採り入れました。 |