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サハリンからの“稚内ツアー”(2009年9月)

2009(平成21)年9月25日から9月28日、サハリンで募集された“稚内ツアー”の参加者85名が、秋の休日を楽しみました。

一行は稚内・コルサコフ航路で稚内に到着後、市内ホテルに3泊し、思い思いに時間を過ごしました。今回は「フェリー券、宿泊(朝食付)、ホテル・フェリーターミナル間の送迎」などがパックとなっている“フリープラン”という方式でのツアー募集でした。サハリンの広告紙に「17,700ルーブルから」という、旅行会社による広告を出して募集が行われました。

最近は、サハリンの人達の間で“休暇旅行”というものの人気が高まっており、旅行関係の広告は比較的多く見掛けます。しかし明確に「17,700ルーブルから」という広告の出し方は、初めてに近い試みです。サハリンの人達の反応は想像以上に好く、結局85名の参加者となりました。参加された皆さんは、御夫妻、親子、兄弟姉妹と言った家族単位で、或いは友人同士や仕事仲間で「稚内の週末」を楽しまれたようです。

サハリンの広告紙に掲載された募集広告
↑サハリンの広告紙に掲載された募集広告 「稚内 9月25~28日限定 17,700ルーブルから」とある。
神社を見学するツアー参加者参加者85名の中、44名の皆さんは9月26日に催行された“オプション”の<バスで巡る稚内>に参加されていました。参加者の7割強は「初めての稚内」ということでしたが、その方達を中心に希望者が集まったようです。初めての方に限らず、何かで稚内を訪れた“経験者”の方の中にも<バスで巡る稚内>の参加者は見受けられました。

このツアーの期間中の稚内ですが、夜間に冷たい強風が吹いていたり、雨が降っていたこともありましたが、日中については好天に恵まれていました。9月26日も「絶好の市内巡り日和」となっていました。

この“オプション”以外に関しては、各々希望の場所を訪ねる、食事を愉しむ、稚内で友人や知人に会う、買物をするなどしながら過ごしていたようです。

近年、ロシアでは「日本料理ブーム」と言っても差し支えない状況が見受けられます。サハリンにも日本料理を提供する店が在るのですが、概して割高感が否めないようです。そういう中ですから「稚内であれば、相対的に安価に日本食を愉しむことが出来る」と喜んでいた方が多く見受けられました。回転寿司に立ち寄って1人10皿以上頂いたという話しや、刺身を肴に、サハリンへ行けば“高級酒”ということになる日本酒を試したという話しを耳にしました。

帰国のフェリーに乗船するために集まったツアー客またスーパーの惣菜コーナーで寿司、お弁当、おかず類を色々と求めて―ホテルでそれを愉しまれていたのでしょう―いた様子も見受けられましたし、肉料理を提供する店でも彼らの姿が見受けられました。

ツアーの皆さんがサハリンへ帰国する際、稚内港国際旅客ターミナルは夥しい荷物で溢れました。ツアー参加者の皆さんは、それぞれに結構な量の買物をされたようです。

「ターミナルにサハリンの方が求めた家電製品の収められた大きなダンボール箱が届く」というのも珍しい光景ではなくなっていますが、今回もそれが多く見受けられました。その他、彼らの間ではプロテインの類や化粧品、玩具や服、紙おむつのような“子ども用品”も人気が高いようです。更に意外な感じがするものとしては、インスタントコーヒーを求めていた方が存外見受けられました。サハリンでも近年は普及が著しいようですが、向こうでは種類が少なめで、こちらと比べると相対的に割高なのかもしれません。

旅行会社での、今後の商品づくりの参考とするために参加者アンケートも実施しました。そのアンケートの範囲で推計すると、「パック料金に含まれない昼食費・夕食費」として、1人平均13,700円程度を消費しています。また、高価な家電製品から、細々したものに至るまでの買物で、1人平均97,300円程度を消費しています。これらの平均値にツアー参加者の人数“85”を乗じる(11万円×85)と「3泊4日の食事や買物だけで935万円」ということになります。これらに、交通費や宿泊費を加えると、所謂“経済効果”というものが出ます。今回はそうした“経済効果”として、「1,400万円程度」と推計出来ます。

「地域振興のための観光」、「観光の振興」という意味で、“経済効果”というものは重要です。今回の「サハリンからの“稚内ツアー”3泊4日 参加者85名」の“経済効果”として推計される「1,400万円程度」は、「非常に高い効果」と評価出来ます。

昼食費・夕食費については、ツアー期間中の昼食や夕食の機会が5回であることを思うと、単純な平均で「1回2,740円」となり、「刺身を肴に日本酒」というように多少値が張りそうな食事から、「ファミリーレストランのランチメニュー」というように安価なものまであるので、「妥当な額」と見受けられます。他方、例えば大型テレビのような「相当に高価な家電製品」を求めた方が平均を押し上げているにしても、「3泊の滞在期間で97,300円」というのは、他の団体での類似例に思い当たりません。

土産売り場に立ち寄ったツアー客とは言うものの、「他所の方が稚内を訪ねる」ということに関しては、こうした“経済効果”が“全て”ではないとも考えられます。

旅行会社での、今後の商品づくりの参考とするために参加者アンケートの中では、想像以上に「好意的意見」が目立ちました。

今回のツアーの皆さんがコルサコフ港を発つ際、フェリーの乗船客が“今季最多”の180名であったことから出国手続と乗船に手間取り、出航時間が1時間強遅れました。また1時間強の遅れで到着した稚内港でも、入国手続に長い時間を要し、最後の乗客が出て来るまでに丸2時間以上を要しました。こうした「旅客サービスとして如何なものか?」という状況も残念ながら生じたため、“厳しい意見”が多々寄せられることを想定していましたが、それでも「好意的意見」が多かったのは“意外な結果”でした。

今回のツアーの皆さんの中では、サハリンには類似施設が見受けられない水族館や、彼らの目線では「非常に独特な日本の文物」ということになる神社の見学が好評だったようです。

温泉も大人気です。ロシア語にも“温泉”や“浴場”を意味する表現は在りますが、敢えてその表現ではなく“онсен”(オンセン)と書いて「温泉が良かった」とアンケートに記している方も見受けられました。因みにロシア語の辞書に“онсен”(オンセン)という単語は載っていませんが、そのうち「サハリンにローカルな表現」として広まるかもしれません。

そして百年記念塔も好評でした。ツアーの期間中は好天に恵まれていたため、眼下に広がる街や海、或いは利尻富士等が好評だったのだと推測されます。

同時に、2009年から『間宮林蔵展』ということでリニューアルした記念館の展示についても、好評を博した様子です。『間宮林蔵展』そのものは、「探検から200年」を記念して間宮林蔵の事跡にスポットライトを当てることに主眼を置いていますが、記念館の展示は18世紀辺りから19世紀辺りの宗谷地方やサハリンの歴史や文物、20世紀の樺太と共に発展した稚内を紹介する内容を含んでおり、サハリンからのツアーに参加された皆さんの共感をも呼んだ様子です。

こうして見ると、温泉で寛ぐ、水族館でアザラシに餌を与える、雄大な眺望を愉しむ、先人の事跡に想いを巡らせてみるというようなことに関して、「サハリンの皆さんの共感をも呼び起こした」ということに気付きます。こういうような「誰しもの共感を呼び起こすことが出来る」ようなサービスを提供し、住民自身もそれを楽しみ、他所の人達に自信を持って伝えることが出来るようになるというようなことが、“経済効果”以外の「他所の方が稚内を訪ねる」ということに関する重要な要素です。逆に言えば、「誰しもの共感を呼び起こすことが出来る」ようなサービスを提供し、住民自身もそれを楽しみ、他所の人達に自信を持って伝えることが出来るようになれば、多少なりとも“経済効果”という“結果”は伴うのではないでしょうか。

帰国のためにフェリーターミナルに集まるツアー客「17,700ルーブルから」と今回のツアーは募集しました。最近のレートは「1ルーブル=3円前後」なので、「17,700ルーブル」は概ね「53,000円程度」となります。これは“日本側目線”では“格安”ですが、“ロシア側目線”ではその限りでもありません。

昨年の前半位までは「1ルーブル=4円前後」でした。このレートであれば「17,700ルーブル」は「70,800円程度」となってしまいます。為替レートを利用して換算すると「25%程度」の変動がこの1年程の間に発生していますが、サハリンの人々の賃金、市内の物価などに25%もの変動は発生していません。従って、“日本目線”での“格安”を訴えてみても、サハリンの皆さんには理解し難いものでしょう。他方、旅行会社での、今後の商品づくりの参考とするために参加者アンケートの中では、この価格について「高くはない」とする方が8割弱を占めていたことから、「概ね妥当な価格」と受け止められたとも考えられます。

これまで、稚内・コルサコフ航路の以前に“船中泊”スタイルでサハリンの観光客が稚内を訪れたという限られた事例を除けば、今回のツアーは最大規模のものでした。稚内・コルサコフ航路の利用促進の上でも、“次以降”への期待が膨らみます。旅行会社での、今後の商品づくりの参考とするために参加者アンケートの中では、97%の方が「稚内を再訪したい」としています。


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