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第46次南極地域観測隊 近江隊員の南極滞在記(2005年6月分)

6月1日(水)

(天候:曇一時晴・最大瞬間風速:15.1m/s・気温(最高:-18.2℃ 最低:-24.8℃)
(日の出:12:04、日の入り:12:33))

今日の夕食時に気象、電離層、通信の各隊員が何やら正装してきまして、何事が始まるの?
 今日は、気象記念日と電波の日でこれも昭和基地では恒例になっているらしく、気象、電離層、通信隊員による記念日の説明や普段から特に貢献のある隊員に対して感謝状を贈り感謝の意を表していました。
 それでは、多少説明しておきましよう。
●電波の日
 1950年6月1日に施行された電波法・放送法により、電波は一般に開放された。
 これを記念して郵政省は、1951年から毎年6月1日を「電波の日」と制定。
 国民に広く、電波に関する知識普及と利用の発展を呼びかけている。
●気象記念日
 1875年6月1日、東京赤坂の葵町に設置された東京気象台で
 気象と地震の観測が始まったことを記念し、1942年に制定された。
 東京気象台はその後中央気象台を経て、1956年7月1日に気象庁になった。
 またこの日は、1884年に東京で初めて天気予報が出された日でもある。

関係隊員の皆さん、お疲れ様
(関係隊員の皆さん、お疲れ様)

 さて今日からいよいよ6月です。今月は隊の行事で最も大きな行事「ミッドウインター祭」が開催されます。実行委員会でいろいろな楽しい企画を練っており、オープニングは威勢よく餅つきからスタート、居住棟対抗の演芸大会、食事大会、団体ゲーム、屋台等さまざまな企画があるそうです。「極夜」で気分が滅入る時期ですから、おおいにこのお祭りで発散させたいと思います。

6月2日(木)

(天候:吹雪・最大瞬間風速:33.2m/s・気温(最高:-4.9℃ 最低:-6.4℃))

 今日は、発達中の低気圧の影響で朝からブリザード。風速もどんどん強くなり、午前10時過ぎに外出注意が発令されました。今回は降雪を伴っての強風ですから、なかなかのブリザードになっています。数日前にようやく穏やかな天候になったと思いきや、一転して凄いブリザード。このブリザード、明後日くらいまで続きそうな予報です。管理棟が強風で揺れ始めています。30m/Sは軽く超えそうな勢いです。

度々、出てきますが・・・
(度々、出てきますが・・・)

 今月のTV会議システムによる中継は5回計画されています。ほとんどが隊員の出身学校(小学校、大学等)です。それぞれの学校で事前学習をして中継中に質問する内容が事前に送られてきます。気象、動物、生活、環境等が主な質問内容になっていますが、部分的に若干の違いはあるものの、ほとんどが同じような内容になっています。皆が南極に対して同じような疑問を持つのでしょう。
 今は、インターネットで様々な情報を簡単に知ることが可能になり、静止画、動画も一緒になった専門的なものもあります。
 ちなみに南極に関することで検索してみると、とても多くの情報を見ることができ、中には過去の隊員が作成しているホームページの中に非常に詳しく南極のことや、昭和基地のことが載っているのもあり、私自身がこの情報を観て感心させられます。
 また、Webカメラは何台かあり、インターネットを通じて昭和基地周辺を見ることもできますが、現在の昭和基地の内部を見ることが出来るのはこの中継のみですが、これからはもっと通信環境が良くなり、通常のTV番組のような画質になって行き、今まで以上に南極昭和基地が身近に感じられるようになるでしょう。
 しかし、日本からの距離14000キロと、この厳しい自然環境は何ら変わることがありません。これからの方が日本と南極のギャップを埋めるのに一苦労しそうですね。

6月3日(金)

(天候:吹雪・最大瞬間風速:37.8m/s・気温(最高:-2.5℃ 最低:-4.9℃))

 外出禁止が発令されるだろうと思っていたら、やはり発令されました。昨日から続いていた悪天候がさらにひどくなり、遂に13時03分、外出禁止が発令されました。

19広場
発電棟
(ほとんど何がなんだかわかりません(19広場と発電棟ですが・・・))

 自席に座っていると風の強弱が直ぐに分かります。それは「音」と「振動」です。管理棟の壁はチタン製の板が貼り付けられており、それが風によって「バタバタ」と音がし始めます。強風になればなるほどこの音が大きくなってくるのです。また管理棟は3階立てで基礎の構造はドリフトが出来にくいように三階部分が張り出した構造になっています。ですから、強風になると管理棟が揺れ始め、さらに強くなると振動へと変わります。建物の上部ですから余計揺れたり振動が大きくなり、今までの経験では、30m/sを越えると音と揺れがヒートアップします。40m/sオーバーは3度経験しましたが、これは正に別世界のように音も振動も超越します。なかなか表現が難しいのですがお分かりいただけたでしょうか?
 何故「音」なのか?それは他の音(人間が作り出した音)は全く聞こえません。聞こえるのは自然の「お・と」だけですから、感じ取ることができるのでしょう。
 この外出禁止令は、17時50分には、風が多少弱くなり視程も大分回復しましたので外出注意に格下げとなりました。
 ちなみに気温がこの時期としては非常に高く、最高気温が-2.5℃で6月としては観測史上4番目に暖かい気温だそうです。この前の-2℃台というと3月29日まで遡るそうで、今回の低気圧が暖かく湿った北風を運んできたために気温が上昇したと気象隊員が解説をしていました。
 本当にブリザードが多いですなぁ~。これほど多いと野外観測や様々な外作業がストップしてしまいますので、天候回復をひたすら待つのです。待つしか方法はありません。

6月4日(土)

(天候:雪・最大瞬間風速:30.2m/s・気温(最高:-4.0℃ 最低:-6.7℃))

 今日は、岩手県上閉伊郡大槌町立金沢(かざわ)小学校とのTV会議中継を行いました。いつもと違い小学校側の司会は6年生3人が担当しており、手には進行手順の書かれた紙を持って、一生懸命に進行していました。この金沢小学校は岩手県の一番南に位置しており、1学年1クラス、全校生徒約120名の小さな小学校です。小学校の体育館に全校生徒が座っており、元気な挨拶でスタート。丁度、昭和基地も南極らしい地吹雪でこの模様も見せられることが出来てよかったんですが、気温が-4℃程度しかなく、もう少し冷え込んだ時であったらもっと良かったのに・・・恒例により子供たちからの質問で、先ず、南極にいる動物のこと、オーロラと気象について、生活の様子、環境問題についてということが質問され、担当隊員の回答時間が4分程度しかありませんでしたが、時間内に分かりやすく回答をまとめて説明をしていました。途中、1、2年生が帰宅する時間になったらしく、「それでは1、2年生は帰ります」なんていうハプニングもありましたが、それも何か和やかな感じが・・・

昭和基地側です
このようにモニターを沢山使用しています
(昭和基地側です)
(このようにモニターを沢山使用しています)

 最後に、日本に帰って一番初めにしたいことは何ですか?という質問があり、これはハンディカメラで観客として来ていた隊員にインタビューをするとういう初めての形式をとってみましたが、インタビューを受ける隊員に爽やかに答えてもらいましたのでまずまず旨く伝わったと思います。
 ちなみに、一番多かった答えは「ゆっくり温泉に行きたい」が多かったです。(私もだったんですけど・・・)これは多分、基地の中では「貴重な水」でお風呂に入っており、節水は当たり前になっています。ですから短時間で身体を洗い、できるだけ水を使わないような入り方をしていますので、温泉で何も気にせずゆっくりと・・ということなんでしょうか?
 最後のお別れの挨拶の後に、特別披露が付いていました。6年生による「マツケンサンバ」と「ミニモニ」の踊りが披露され、こちらの隊員も一緒に踊って盛り上がるというおまけまで付きました。このTV会議を見た子供たちが将来、もしかしたら基地側の席に座っていることを期待しています。

ダンスを披露してくれました
(ダンスを披露してくれました)

6月5日(日)

(天候:曇・最大瞬間風速:15.4m/s・気温(最高:-6.3℃ 最低:-10.8℃))

 19広場にある「昭和基地」の看板が・・・もしや強風で飛ばされたのか?いいえそうではなかったのです。

後ろの看板です
(後ろの看板です)

 これは昭和基地の管理棟前に通称「19広場」(19次隊が作ったところ)があり、この広場でほとんどの公式行事行われたり、記念写真が撮られる言わば昭和基地の象徴的な広場となっています。この広場の「顔」とも言うべき「昭和基地」と書かれた看板に「日の丸」が書かれていましたが、縦と横の比率が微妙に異なっていたため公式サイズ比率に変更するために取り外されていたのです。
 しかし、この日の丸は外側を掘り込んで作成されているため、修正するには今掘り込んでいるところから正規のサイズまで掘り込みを入れなければならず、なかなかの手間ですが、そこは越冬経験3度目の超ベテラン隊員(通称スパーオヤジ1)の腕の見せ所。電卓で外枠のサイズを算出し直し、作業を始めています。歴史的看板ですから、いつに無く真剣な眼で向かい合っていました。

よく見ると・・・
取り外されています
(よく見ると・・・)
(取り外されています)

 今日の休日日課は穏やかな天候の一日となりましたが、観測者は通常通り観測をしますし、設営系は屋外での除雪作業や施設の維持管理作業を休日日課だからといって完全な休日とは行きません。私たちがこの昭和基地を維持管理している以上完全な休日は無いのです。

6月6日(月)

(天候:薄曇・最大瞬間風速:15.2m/s・気温(最高:-8.3℃ 最低:-13.0℃))

 月曜日といえば恒例の南極大学ですが、本日ようやく終了しました。ホットしたぁ~というのが本音です。
 私の題目は「ヤム・ワッカ・ナイ(冷たい水の出る沢)」北海道の地名約8割がアイヌ語で付けられており、これらの紹介を中心とした内容でした

表題です
久々に本人登場
(表題です)
(久々に本人登場)

 今まで地名にほとんど興味も無かったのですが、何か北海道らしい話題はないだろうか?と考えてきたのですが、最終的に地名にたどり着きました。今はインターネットで様々なことを調べることが出来るというよりは、関連資料が余りにも豊富に有り過ぎて選択するのに目移りがして、関係の無いところで苦労してしまいましたが、何とか必要なところを参考にして作成しました。
 もう一つの敵?は「パワーポイント」でした。今まで全く使用したことの無いソフトで南極大学で隊員の皆さんが駆使して授業をしていましたのでいったいどうしよう・・・とりあえず回りの皆さんに教えを頂き何とか初歩的な方法で作ることが出来ました。このソフトは帰国してから稚内の子供たちに南極を紹介する時に非常に役に立つ優れものとして利用できそうかな?とも感じています。
 またそのアイヌ語の地名紹介の前に自己紹介、地元紹介という構成が定番になっていますので私も。特に地元紹介は稚内の名所、最北端の碑を始めとする観光スポットを写真つきで紹介。最北端付近、稚内公園付近、ノシャップ岬付近に分けて説明。また稚内といえば美味しい食べ物。特に海産物(毛ガニ、タラバガニ、ホッケ、シャケ、ウニ、そして利尻昆布等)を紹介しました。

苦労した資料 その1
苦労した資料 その2
苦労した資料 その3
苦労した資料 その4
(苦労した資料です)

 実はこの自己紹介、地元紹介だけで既に20分を有に経過しており、地名紹介の時間が・・・駆け足になりましたが持ち時間の30分を多少オーバーしましたが無事?に終了することが出来ました。
 今日の私以外の講師はLAN担当隊員の「みんなで潜ろう南極海」と題し、海中で撮影した魚の写真、ビデオを使ってのスキューバの魅力についてを、また通信担当隊員の「望郷 みずほ基地~ゴビの砂漠から白い砂漠へ~」と題し、世界各地を飛び回るこれまでの仕事の様子や「みずほ基地」での貴重な写真を見せながら自然と文化を結ぶ今後の抱負も話されていました。

6月7日(火)

(天候:晴・最大瞬間風速:14.3m/s・気温(最高:-12.0℃ 最低:-17.7℃))

 今日は4回目のS16オペレーションで11名の隊員が出発をしました。今回も雪上車、無線機器の整備、デポされているソリの回収、無人磁力計の撤去、また新しい海氷上のルート工作が主な作業になります。それぞれ作業を分担して行い、8日にはルート工作隊が、残りは9日に帰ってくる予定になっています。しかし、8日の天気が崩れそう(風が15m/s以上で降雪を伴う)との気象隊員の予報ですから、もしかすると明日は停滞せざるを得なくなるかもしれません。このようなブリザードでの行動は禁物です。自分たちの危険もありますが、もしやの時に二次災害も引き起こしかねません。今までの観測隊の例でも、唯一お亡くなりになった福島隊員は猛烈なブリザードの中、管理棟の数十メートルしか離れていないところにいる犬に餌をやりに行って行方不明となってしまったり、そのほかにも危うく遭難しかけたという例もたくさんありますので、とにかくブリザード中はその場から動かないことが鉄則になっています。今回は雪上車とスノーモービルでの移動ですから、雪上車の中でじーっとブリザードが収まるのを待つのです。

先発隊です
雪上車が後から追いかけます
(先発隊です)でも真っ暗です(雪上車が後から追いかけます)
ほんのり明るくなってきました
(ほんのり明るくなってきました)

6月8日(水)

(天候:吹雪・最大瞬間風速:25.2m/s・気温(最高:-9.7℃ 最低:-13.2℃))

 やはり天気予報のとおり朝からブリザード模様となり、基地では7:13分に外出注意が発令されました。風は20m/sを超え降雪を伴っていましたので視程も悪い状態。基地周辺がこのような状況だとS16地点は周りには何もない雪原の中ですから、もっと状況的には悪くなっているはずです。案の定、無線連絡で雪上車の中での業務だけしかできないとの連絡がありましたので、相当悪い天候状況だということがわかります。
 ルート工作隊(スノーモービル)は今日、帰って来る予定でしたが、天候状況が回復する見込み無しと判断し早々と停滞と決定し、雪上車の中で待機するという連絡もありました。やはり、天候には勝てませんので、無理をせず天候回復をまってからの行動が一番安全です。

このようなブリは頻繁に来ます その1
このようなブリは頻繁に来ます その2
(このようなブリは頻繁に来ます)

 また今日は、兵庫県三木市の小学校とTV会議システムでの中継を行いました。この小学校は、LAN担当隊員の出身小学校で普段、TV会議が行われる時に接続試験をしたり、質問に対する回答隊員の割り振り、本番時にはスイッチングを始めとする総合プロデュースをしているのですが、今日は本人が主役ですから、司会をしながら、スイッチング(画面切り替え等)等も手がけなければなりませんでしたが、何とか他の隊員のサポートもあり無事に終了しました。
 今回も小学校側からの質問に回答するパターンで構成されており、質問内容も仕事は何をしてるの?気温は?オーロラは?服装は?食べ物は?どんな暮らしをしてるの?などの質問内容に担当隊員がわかりやすく回答していました。
 ちなみに、私はと言うと服装の質問回答で冬期間の外作業用の上下の羽毛服、手袋、ゴーグル、防寒靴をすべて着込んで紹介しましたが、羽毛服を着たことが無いらしく、イメージが沸かなかったようでした。暖かい地域ですからしょうがないんですけど・・・主役の隊員がこの格好で帰国したら遊びに行きますよ、なんて約束もしていましたけど・・・
 今回は吹雪模様が紹介出来て、昭和基地の気候の厳しさが伝えることが出来たかなと思います。

6月9日(木)

(天候:雲一時雪後晴・最大瞬間風速:17.9m/s・気温(最高:-9.8℃ 最低:-24.3℃))

 先日紹介した気象記念日・電波の日を祝し、「かまくら」を製作中、となっていましたが、雪の状態が非常に硬く、思った以上に掘り進むことができず先週の土曜日にかまくらの中で鍋をしてお祝いをしようと考えていたそうですが、かまくら自体が完成しなければこの企画も・・・そこで急遽、助っ人としてかまくらを作成しに行ってきました。
 中に入ってみてビックリしたのは、ありの巣状にいくつかの部屋に分かれて作られています。しかし、掘り込みが足りず、人が座ってやっとの状況の高さしかありません。実際に掘ってみると雪が硬く締まっていますのでなかなか進んでいきません。とにかく、メインとなる部屋を完成させようと集中的に掘り込みを開始。彫って削って出た雪の塊を大型プラスチックソリに積み込んで外に運び出す。これを延々と繰り返します。作業を始めること数時間、やっと私が立ってつかえない程度まで出来上がりました。広さとしては14~5人が入れる程度まで拡張できました。これで何とか鍋ができます。

苦労して掘ってます その1
苦労して掘ってます その2
(苦労して掘ってます)

 ほっとしていたら何と、一番高いところの一部に亀裂が入りよく見ると星空が見えるではありませんか。これはまずいということで中からシャーベット状にした雪で亀裂を補修していたところ見事に亀裂が広がってしまい50~60cm程度の穴が・・・
 しかし、この穴から上空を見ていると「満天の星空」がはっきり見えます。これは使えるのではと発想を転換し、ここに透明な板でスライドするように補修をすると、空が見えるのと同時に明かりも取ることが出来ますし、空気の入れ替え用としても使える!怪我の功名とはこのことです。これで素晴らしいメイン会場が出来上がるはずです。
 しかし、この部屋以外にもいくつかの部屋を完成させなければなりませんので今度はこちらの掘り込みを土曜日までに完成させるように頑張ります。

6月10日(金)

(天候:晴後雪一時曇・最大瞬間風速:16.0m/s・気温(最高:-13.5℃ 最低:-25.1℃))

 今日の午前9時、西オングル島にあるテレメトリー小屋に設置してあるバッテリーの充電と発電機の整備を目的とした旅行隊(4名)が浮上型雪上車乗り出発。この西オングル島充電旅行はこれで2回目となります。また4月に遠足で行ったところで、テレメトリー小屋の直ぐ近くには故福島隊員のケルンが二箇所(発見された場所とダビに付されたところ)あります。昭和基地から距離にして約5km。今となってもどのように福島隊員がたどり着いたのかは不明です。
 今回も目的の作業を終了し無事帰って来てもらいたいと思いますが、何やら天気予報が明日の午前9時頃をピークとして荒れ模様の予報です。もしかしたら天候回復が遅れると停滞を余儀なくされる可能性がありますが、無理をせずに帰ってきてもらいたいと思います。
 さて、明日は今月3回目のTV会議システムによる中継が行われます。東京の東山小学校というところで、越冬隊長の出身小学校です。昨日、接続テストを行いましたが、学校の体育館は越冬隊長が卒業する直前に完成したらしく、今もそのままの型であったらしく懐かしそうに見ていたのが印象的でした。(私は基地の外の模様を撮影する担当で出演します)
 更に日曜日には、東京の代々木公園で開催されている「エコライフフェア」(6月5日が環境の日で6月の一ヶ月間を「環境月間」として、環境省が呼びかけて毎年、全国で環境保全についての関心と理解を深めてもらい行動のきっかけとするための様々な行事が行われている。)の中でTBSラジオの公開録音放送が行われ、その中で朝日新聞社の中山記者がゲストとなり、昭和基地での体験談が話された後に基地と中継をという展開で、(中山記者も様々なところに出演してますねエ~)基地での生活や仕事、そして地球温暖化の影響は?などの質問が予定されています。(この中継では基地側の司会を私が務めます)
 環境月間にふさわしい中継にしたいと思っています。

6月11日(土)

(天候:吹雪後一時曇・最大瞬間風速:14.3m/s・気温(最高:-12.0℃ 最低:-17.7℃))

 素晴らしいかまくらが完成し、気象記念日、電波の日(多少遅れましたが・・)多くの隊員が出来たての「かまくら」の中で完成記念と併せて祝福。
 昨日の夜から続いていたブリザードで、かまくらの天井に透明のアクリル板を置いてその上から毛布を掛け強風対策をしていたのですが、午後からようやくブリザードも収まり一体どうなっているのかと心配で様子を伺いに行って見たら、外側から見ると見事なドリフト(吹き溜まり)ができ、これはうまくいったと思い、かまくらの中に入り確認したところ何と、アクリル板自体がその重さで曲がってしまって今にも崩れ落ちそうなまでに曲がってしまっているではありませんか。ドリフトが旨くというか凄く溜まったおかげで天井の穴は完全に無くなりましたが、多少の不安が残るので危険防止で中から支えをとり、何とか補修は完成しました。最初の目論見であるかまくらの中から星空が・・・という修正は出来ませんでしたがとりあえずはOKです。

入口から見た中の様子
大勢集まりました
(入口から見た中の様子)
(大勢集まりました)

 このかまくらの中には、大きい部屋が3つとバーカウンターが一つ作成されています。一番大きい部屋には14~5人は軽く入ることが出来る広さです。もう一つは5~6人程度のスペースになっています。また電離層隊員が苦労してアイスキャンドル用の入れ物を作成し、より一層の雰囲気を出しています。

綺麗な手作りアイスキャンドル その1
綺麗な手作りアイスキャンドル その2
綺麗な手作りアイスキャンドル その3
(綺麗な手作りアイスキャンドル)

 外からかまくらに入る通路(両サイド)にも雪に穴を開けそこにキャンドルを入れて見事なアプローチが出来ています。今日はお披露目も含めてのお祝いですから隊員が入れ替わりでかまくらに来て祝福をし、なかには「かまくら麻雀」も行われていました。このかまくらの中は意外と暖かく、外気よりかなり暖かくなっておりそんなに寒さは苦になりません(当然上下羽毛服の完全防備ですけど・・・)
 もう一つ驚いたことに、雪の壁が意外と吸音効果があるということです。隣の部屋の話し声や麻雀の音がほとんど聞こえてこないのです。自然が生んだ吸音システムになっていました。

アイスキャンドルの道にオーロラが・・ その1
アイスキャンドルの道にオーロラが・・ その2
(アイスキャンドルの道にオーロラが・・)
かまくら麻雀
またまた大勢で祝福
(「かまくら麻雀」です)
(またまた大勢で祝福)

 このかまくらでのお祝いは今日が前夜祭、明日がメインで、中では「鍋」をして楽しむ企画になっています。明日が楽しみです。
 今日は深夜まで盛り上がっていました。

6月12日(日)

(天候:快晴・最大瞬間風速:7.8m/s・気温(最高:-14.4℃ 最低:-22.0℃))

 午前8時、東京代々木公園で開催中の「エコ・ライフフェア」のTBSラジオステージからの呼びかけでスタート。ゲストは「さかな君」と朝日新聞の中山記者です。今回はいつもと違い質問者とのやり取りではなく、ラジオ番組ですから司会からの質問でこれに対してこちら側が答え、そこに中山記者が体験談をもとにコメントしたり、ビデオを見せたりという構成になっていました。
 今までは、中継相手が小学校というのがほとんどでしたので、多少戸惑いましたが何とか進行することが出来ました。またこの日はマイナス18℃の気温でしたので、水で濡らしたタオルがどのようになるのかという実験も行われ、濡れタオルを外の柱に縛り付けておき、10分後くらいに見てみるとパリパリ状態に凍っているタオルを見せると会場からも驚きの声がしていた?ように聞こえました。(成功してホッとしてますが・・・)また、今回の回答者には通信担当の女性隊員(初出演)、雪と氷の研究担当隊員(複数回出演)、そして、環境月間に最も適している環境保全担当隊員(越冬3回目)が出演。少しずつではありますが、回答してもらう隊員が増えてきています。最後は全員が出演してもらえるようになればと思っています。
  昨日から始まっている「かまくら祭り」が最高潮に!

最終日にはこんなにたくさんの隊員が集まりました その1
最終日にはこんなにたくさんの隊員が集まりました その2
(最終日にはこんなにたくさんの隊員が集まりました)

 昨日はお披露目ということもあり半数くらいが訪れていましたが、今日は日曜日ということでほとんどの隊員がかくまくらを訪れ大賑わいとなっていました。
  中では「もつ鍋」を始めとするご馳走、さまざまなドリンクが振舞われ楽しいひと時を満喫していました。(昭和基地での思い出がまた1ページ増えました)
  もう一つ、久しぶりに素晴らしいオーロラが出現しました。21時過ぎに全館放送で「只今、素晴らしいオーロラが出ています」との放送が入り、カメラを片手に急いで羽毛服を着て外に飛び出す隊員やら、玄関から首だけ出す隊員やらで大賑わい。色付きで動きの激しい美しいオーロラでした。

オーロラ その1
オーロラ その2
(ビューティフル、ファンタスティックです)

6月13日(月)

(天候:雲一時晴後雪・最大瞬間風速:15.7m/s・気温(最高:-8.9℃ 最低:-21.2℃))

 いよいよミッドウインター祭が来週に迫っていますが、具体的な日程が実行委員会の中で確認されたところです。
 20日の夜の前夜祭からスタートし、21~23日の本祭りとなっており、内容は個人参加種目(ビリヤード、ダーツ、オセロ等)、居住棟対抗(雪合戦、人間カーリング、綱引、芸能大会)で構成されています。また、調理隊員(フレンチ、和食)がスペシャルメニューを腕によりを掛けて作成等、様々な企画で埋め尽くされています。それぞれの居住棟では既に準備に入っており、特に芸能発表の練習が秘密裏に行われているらしいです。いずれにしても「極夜」で環境も気分も暗くなる時期ですから、この隊としての最大のイベントの「MWF(ミッドウインターフェスティバル)」で多いに楽しみ、そして多いに笑って、暗い雰囲気を吹き飛ばしたいと思います。
 過去の記録を見てみると、それぞれの隊が特徴をだし工夫を凝らしながら楽しんでいたようです。46次隊も記憶に残る素晴らしい「MWF」になるように頑張りたいと思っています。
 月曜の夜と言えば「南極大学」です。今日は気象隊員の「涙の表現とその多様性」と題し、様々な漫画の中に出てくる涙を見事に分析しており感心させられました。次は、医療担当隊員で「生と死の分岐点~過去の教訓に学ぶ安全と危険」として、今まで手がけた心臓手術の内容を実際の動画を使用し説明。また、アウトドア派としても活発な活動をされていて、世界80カ国余りの経験、特に「山」に関しては相当の登山経験も。さらには「南極点、北極点」両方とも経験をしているということで、ただただビックリです。最後は、旭川高専の先生でもある隊員の「野球とホタテと南極と」とにかく野球が好きでたまらず、ほとんどの時間を野球に費やしてきた話。今は監督としての立場で野球を見ることがようやくできるようになってきたそうですが、監督就任当初は、選手という感覚がでてしまい指導する事の難しさを多いに味わったこと等経験談を中心に話されていました。また、「ホタテ」は「うろ」や使用後の「貝殻」をどのように処理、再利用するかの研究をしており、稚内のクラスター計画にも参画をしていることも説明されていました。三者三様の貴重な講義を聞かせてもらって今回も感激・感動です!

今日の講師です その1
今日の講師です その2
(今日の講師です)

6月14日(火)

(天候:吹雪後曇一時晴・最大瞬間風速:22.7m/s・気温(最高:-8.8℃ 最低:-11.0℃))

 祝!「昭和基地」看板リニューアル完成!
  先日、紹介しました一九(いちきゅう)広場前の「昭和基地」の看板の日章旗の縦横比率等が本来のものと異なっていたため看板を取り外し、これを修正していましたが、遂に完成、除幕式が行われました。幕が取り外されてお披露目された看板。さすがと思わせる修正技術で見事にリニューアルされた看板がお目見えです。日章旗以外にも長年の歴史で薄くなっていた文字も綺麗に墨入れが行われ、本当に鮮やかな看板が完成していました。これで記念写真の時も看板の文字、日章旗がはっきり見えますので今後、多いに重宝されると思います。

(無事に修復完成です)

 今日のチリで発生した地震(マグニチュード7.9)で、昭和基地にある地震計もその波が観測されました。HES(短周期)地震計と呼ばれる計測器に見事に波が記録されています。スマトラ地方やチリという遠くで起きた地震をこの南極で観測できるということは、「地球を身近に感じる」と担当隊員は話をしていたのが印象的でした。
  MWFの準備も着々と進んでいます。看板が取り付けられて間もない19広場には雪像用の型枠が作成され、ユンボで雪が詰められていました。また露天風呂の浴槽作りも着々と進行しており、来週のMWFに向けて様々なところで準備が急ピッチで進んでいるようです。

6月15日(水)

(天候:雪後曇・最大瞬間風速:14.3m/s・気温(最高:-9.1℃ 最低:-18.7℃))

 19広場の前に何やら大きな木枠(1.8×1.8×2.7m)が組み立てられその中に重機で雪が入れられており、MWFのオープニングに向けて雪像を作るグループ数人が取り掛かっています。ちなみに完成作品は秘密だそうです。
 また、それぞれの居住棟で芸能発表が行われますので、その「しこみ」もちらほらで・・・

(さて、どんな雪像になるのでしょうか・・・)

 私も、建築担当の隊員と通信担当の隊員で「アイスドーム」作成計画をしており、その仕込みを食堂で大々的に準備をしています。このアイスドームとはブルーシートを直径10mの楕円に縫い合わせ、その中に空気を入れ型枠としその上から水を掛けながら型枠の表面に氷の膜を作り最後はブルーシートの型枠を取り外すと「アイスドーム」が完成となるはずですが、さて成功するかどうか不安です。寒さ的には全く問題ないわけですが、どれくらいの厚さで氷が出来るのかが未知数です。成功するように祈っています。
  極夜に入ってやはり体調が乱れてきたような感じ?がします。何やら一日中眠気が取れません。朝、起きても真っ暗、11時頃にようやく薄明るくなりますが、直ぐ13時半頃にはまた暗くなります。その後は、ずーっと真っ暗。
  極夜期は7月の半ばまで続きます。

6月16日(木)

(天候:雪一時曇・最大瞬間風速:14.3m/s・気温(最高:-14.4℃ 最低:-21.4℃))

 本日、東京にて南極本部総会が開催され正式に第47次日本南極地域観測隊員が決定をされたと聞いています。
 いよいよ、来週の月曜日からは、夏訓練(長野県菅平高原)が始まり、7月1日には隊員室が開設され、47次隊が本格的に始動します。
 ちょうど1年前に、緊張して本部総会での隊員決定の知らせを待ち、そして初めての顔合わせの夏訓練を経験し、隊員室開設で第46次日本南極地域観測隊員としてスタートと同時に東京生活(単身赴任)もスタート。全て「初めてづくし」!「これから一体どうなるんだろう」という不安と「よ~し、やってやるぞ~」という気合が入り混じっていた頃が既に1年前です。本当に月日の経つのは早いものです。そんなことを言っている間に昭和基地に来て既に半年が経過。そして残すところもう7ヶ月しかありません。この時間の経過のスピードに置いてかれないように頑張らねばと再認識をしています。
 さて、取り残されていた旧式の雪上車を持ち帰るのに海氷上まで6台を移動をさせていましたが、いよいよ陸上に再移動。これは持ち帰るために「迷子沢」にデポしておかなければなりませんので、その場所までの移動を開始しました。
 木製の2トンソリの上に雪上車が乗るように板を敷き、再びチルホールで慎重に雪上車を動かし乗るまでに2時間。ようやくソリに乗せることができ、今度はそのソリごと移動です。これも相当な重量になっていますので慎重に雪上車で引っ張り当初の目的位置までと思いきや、新雪が思った以上に深く橇ごと埋まるハプニングも・・・しかし、その程度のものは許容範囲と笑い飛ばす環境保全隊員の凄さにも驚かされましたが・・・とにかく最初の1台目の移動が出来たことが重要で2台目以降につながるんだとも言っていました。このポジティブな気持ちこそがこの南極に不可欠であることを感じさせてもらいました。
 「ほな、やってみなはれ。やりなはれ。」といって隊員の気持ちを盛り上げたと言う西堀栄三郎さんの言葉を思い出しました。

6月17日(金)

(天候:曇一時晴・最大瞬間風速:9.5m/s・気温(最高:-13.0℃ 最低:-20.5℃))

 今日は昨日、雪にソリごと埋まってしまった雪上車を移動させるリベンジオペレーションが行われました。昨日はSM40型の雪上車で牽引していましたが、パワー不足だったため今日はSM50型にパワーアップをはかり再チャレンジ。
 そうすると、難なくその埋まっていた橇が動き出したのです。海氷上をゆっくりゆっくり動いていきます。海氷上は雪上車で、上陸して今度はブルドーザーに交替して持ち帰り用の廃棄物がデポされている迷子沢に引かれて行きました。
 残り17台です。環境保全隊員はようやく目途がついたと安堵の表情をしていました。

ゆっくり引かれていく雪上車 その1
ゆっくり引かれていく雪上車 その2
(ゆっくり引かれていく雪上車)

 今日の夕食は霜降りの素晴らしい牛肉での焼肉。1週間前から翌週のメニューが発表されるのですが、焼肉食べ放題となっていた今日をほとんどの隊員が楽しみにしており、ようやくその当日となったわけです。
 いつもなら、食後にミーティングをすることになっているのですが、今日は食前に済ませてゆっくり焼肉を楽しもうということになりました。ミーティングが終わる前からそれぞれのテーブルのホットプレートのスイッチが入れられており、ミーティングが終わるや否やあちらこちらから「ジュ~」という特有の音と美味しそうな臭いが食堂を充満しています。食べること1時間半、多いに楽しく、美味しい時間を過ごしました。ご馳走様でした。

美味しかったです
ソフトクリームも旨い
(美味しかったです)
(ソフトクリームも旨い)

6月18日(土)

(天候:曇時々晴・最大瞬間風速:6.7m/s・気温(最高:-17.4℃ 最低:-26.8℃))

 ミッドウインターの準備で、休日日課にも係わらず朝からそれぞれのところで準備、仕上げに大忙しです。
  木工係が準備していたのは、檜製の露天風呂用の浴槽。立派な浴槽が木工所で組み立てられ、設置場所へと運ばれていました。

露天風呂 その1
露天風呂 その2
露天風呂 その3
露天風呂 その4
(組み立てられた露天風呂です。おみごと!)

 大きさは大人が有に4人は入れる(足を抱えてですけど)大きなものです。クレーンで吊り上げ、あらかじめ穴を掘っていましたので、そこに慎重に埋め込みました。露天風呂の完成です。後はお湯を入れるのですが、お湯を循環させることは出来ませんので(貴重な水ですから)浴槽に最初にお湯をいれてそれを温める方法で、何と雪上車のラジエーターと不凍液の熱を利用し、お湯の温度を出来るだけ下げないように工夫をするそうです。しかし、外気温がマイナス20~30℃ですから長時間は温度を保てませんので、時間を決めて一斉に入るようです。南極での露天風呂も乙なもんです。
 昭和基地がウイルスに・・・昨日、機械隊員のところに届いたメールの添付ファイルがウイルス付きだったのです。以前からウイルスに対しては充分に気をつけるようにとLAN担当から注意はあったのですが、何とそのメールは前次隊の機械担当者の名前を使い、あたかも業務連絡のように見せかけたものでしたので、その機械隊員は何ら疑うことなく開いてしまったのです。
 しかし、開いた添付ファイルの様子がおかしいのに気がつき、もしかしたらと思い、すぐさまネットワークケーブルを抜き取ったので、何とか自分のPCの中だけで収まったのでした。直ぐに、ウイルス駆除が行われましたが、その種類としてはファイルがやたらと増殖するタイプだったらしく、5000近くの増殖が確認されていました。
 現在のウイルスは、次から次へと形を変え進化して行っていますので対策ソフトとの追いかけっこになっている現状ですから充分に気をつけなければなりません。
 特に観測データーはPCで観測、蓄積、分析などがほとんどの部門で行われていますので、ウイルスには細心の注意が払われています。

6月19日(日)

(天候:曇時々晴・最大瞬間風速:8.8m/s・気温(最高:-23.4℃ 最低:-32.8℃))

 今日も朝からバタバタとミッドウインターの準備で大忙し。様々なコンテストやスポーツ等の催しものが企画されています。外がほんのり明るくなる時間を利用しての雪合戦(公式雪合戦ルールに準じた本格的なもの)やパークゴルフもあります。室内では、人間カーリング、ビリヤード、ダーツ、オセロ、綱引選手権等の種目もあります。
 また、南極大学院と称し通常行われている「南極大学」より高度で専門的な授業もあります。昼食は、各居住棟がそれぞれ工夫をして腕によりをかけての料理を出します。まだまだ、沢山の催し物がありますので、この期間は存分に楽しむことが出来そうです。今(深夜なんですけど)、まだ食堂で芸能発表用の衣装を作成している人がいたり、髪型コンテスト用の散髪をしていたり何やら、秘密の動きも・・・いよいよ明日からスタートです。

6月20日(月)

(天候:快晴・最大瞬間風速:14.3m/s・気温(最高:-12.0℃ 最低:-17.7℃))

 いよいよ、MWF(ミッドウインター祭)の前夜祭がスタートです。心配していた天気が予報どおり悪い方向に向かい、13時37分についに外出注意令が出るほどの状態になってしまいました。今日は前夜祭で居住棟単位による餅つき、通路棟での屋台、その後食堂での「髪型コンテスト」、「利き酒コンテスト」、「仮装カラオケ大会」と全ての催し物が室内で行われたので、悪天候の影響は有りませんでしたが、明日以降の外での催し物が危ぶまれています。

餅つき その1
餅つき その2
(餅つきは初めての隊員が多かったです)
屋台 その1
屋台 その2
屋台 その3
(屋台でお祭り気分を盛り上げます)

 明日は、今日より天候が悪くなる見込みで20m/s以上の強風と降雪が伴う吹雪と予報されています。この数日間は、穏やかな天気が続いていましたので多少は不安なところもあったのですが、やはり・・・天候には勝てませんから、別の策を考えなければなりませんが、プログラム全体を考える時に既に悪天候を考慮していましたのでいくつかの変更策はあるのですが、参加者の都合が変わってきます。ミッドウインター祭の期間と言えども、観測や基地運営は普段と変わりなく行わなければなりません。そのため時間調整をしながらいろいろな催し物に参加している隊員がいますので、変更が生じると再調整をしなければなりませんが、全ては観測が中心ですのでこれも止むなしです・・・・・・
 さて、最近は、穏やかな天候であったため気温が南極らしい気温となっていました。16日からは最低気温がマイナス20℃以下で非常に冷え込んでいましたが、ついに19日の19時49分にマイナス32.8度(越冬後の最高記録です)を記録しました。ちょうどその日の午後から写真を撮りに外に行ったのですが、着ている羽毛服の外側がパキパキ状態になったり、頬や耳が短時間で物凄く冷たくなってきていましたので、感覚的に相当冷え込んでいるなぁ~と感じてはいたのですが(その時は既にマイナス28℃程度まで下がっていました)それほどとは思いませんでした。
 さすがに旭川高専の先生は、地元「旭川」を思い出したそうです。
 さすが南極、恐るべし・・・

6月21日(火)

(天候:晴・最大瞬間風速:14.3m/s・気温(最高:-12.0℃ 最低:-17.7℃))

 昨日からの悪天候が継続、更に風が強まり14時24分についに外出禁止が発令され、その後ますます威力を増し15:32分には42.6m/sを記録するまでになってしまったのです。
 この影響で午前9時のオープニングセレモニー、雪合戦、記念放球と外で企画されていた物が全てキャンセル・・・残念です・・・

ペンギンの雪像がブリザードに・・・
(ペンギンの雪像がブリザードに・・・)

 その代わり最終日に予定されていた綱引きを急遽繰り上げ開催することになりました。この綱引きは、出来るだけ公平にする意味で参加者の総体重が300kg以下の制限をつけてお互いに力のみの勝負としました。この計量で重量オーバーになった人は着ているものをどんどん脱いでいき、最終的には短パン、Tシャツのみなんていう人もいました。一本の「綱」に互いが向き合う力勝負。手に汗握る熱戦続きでしたが、結局本命といわれていた我が2居1階チームがライバルである1居2階チームに敗れるという波乱がありましたが、力のこもった熱い戦いが繰り広げられました。

とにかく「引く」のみです その1
とにかく「引く」のみです その2
(とにかく「引く」のみです)

 その他は、室内でいろいろなスポーツをしながら楽しみました。私は「ダーツ」にエントリーをしましたが、何と参加者が25名を超えており、優勝するまでには5回勝ち抜かなくてはなりません。何とか優勝して居住棟対抗得点に大きく貢献しようと考えているのですが、勝負は下駄を履くまでわからず、余り計算すると「取らぬ狸の皮算用」となりそうですから、できるだけ控えめにしかし虎視眈々と狙っていこうと思っています。
  また、昨日に引き続き、通路棟に屋台が出店。やきそば、お好み焼き、寿司、ラーメン、クレープ、たこ焼き、焼肉、そして射的、ヨーヨー釣り、縁日くじ等どれも当然、隊員が担当していますので、食べに来る隊員と出店している隊員がほぼ同じくらいの人数で、時にはお客より出店者の方が多いなんてことも・・・大賑わいなのかがよくわからない状況でした。出店を担当してくれた皆さんお疲れ様でした。

本日も屋台です。最高~ その1
本日も屋台です。最高~ その2
(本日も屋台です。最高~)

 屋台閉店後は、BARで多くの隊員が盛り上がり、深夜24時からはミッドナイトシアターと題し、朝まで4本の映画を、食堂に毛布を敷き詰めて寝転んで見れるようにして上映されていましたが、皆さんお疲れのようで目を閉じて観賞している隊員がほとんどだったような・・・皆さん、お疲れモードなんでしょうね・・・

まだ、観賞しているようですが・・・
(まだ、観賞しているようですが・・・)

 明日もまた沢山の企画が用意されています。天候も回復する見込みですので、ようやく外での競技(パークゴルフ、露天風呂等)が開催できそうです。残りの2日間、寝不足と戦いながら頑張ります。

6月22日(水)

(天候:晴・最大瞬間風速:14.3m/s・気温(最高:-12.0℃ 最低:-17.7℃))

 ミッドウインター祭(MWF)2日目。20日から続いていたブリザードが収まり、外での競技(パークゴルフ)が予定通り開催されました。北海道以外の隊員は「パークゴルフ」自体の存在を知りませんでしたが、ホールアウトした隊員に感想を聞いてみると、「面白かった、楽しかった」という反応がほとんどでした。このホールは海氷上に設置してありますが、おそらく海氷上でのパークゴルフは世界初でしょう。私は参加できませんでしたが、参加隊員が満足してもらえれば何よりです。

ナイスチョット? その1
ナイスチョット? その2
(ナイスチョット?)

 また、居住棟対抗の「人間カーリング」(1チーム3人で、一人はストーン役、が通路棟の傾斜を利用し行われました。
 これは荷物を移動させるときに使用する滑車、通称「そろばん」の上にストーンに見せかけた台車を使用し、その上に人間がストーンに成りきって乗り傾斜の上部から勢いを付けてスタートします。その他の2人(スイパー役)が滑車を順回転や逆回転させながらスピードを調整し、得点圏内に止めるというまさにカーリングです。カーリングも北海道出身者以外は初めてらしく、とても盛り上がりをみせていました。

下から見るとかなりです
正に「石」です
(下から見るとかなりです)
(正に「石」です)
石(ストーン)は動いたら失格
隊長も真剣です
(石(ストーン)は動いたら失格)
(隊長も真剣です)

 夕食は、フレンチが得意な調理隊員のディナーで、フランス料理のフルコースをいただき、幸せな気分にさせていただきました。(ご馳走様でした)

ディナー
昭和基地主要部の建物を表現しています
これは風力発電用の風車です
(昭和基地主要部の建物を表現しています)
(これは風力発電用の風車です)
フレンチフルコース その1
フレンチフルコース その2
フレンチフルコース その3
フレンチフルコース その4
フレンチフルコース その5
(まさにフレンチフルコース)

 今日も24時から「ミッドナイトシアター」で4本の映画が上映されますが、さて何人が最後まで眠らないで見ることができるでしょうか?
 残すところ、あと1日。明日は最終日で初日にブリザードで開催できなかった雪合戦を行う予定です。また、海氷上でのパークゴルフの2日目の開催と大いに盛り上がると予想されている居住棟対抗「芸能大会」が行われますが、それぞれの居住棟で発表内容の構想開始から約一月、練習を重ね準備万端?で望むようです。ちなみに私たち2居1階もこの1週間は練習を重ねてきましたが、小道具がまだできていませんので、これから仕上げに取り掛ります。発表順が一番最初となっていますので、最初に「ガツン」とは思っているのですが、どうなりますか・・・でも、結果は別にして目標に向かって一緒に作り上げていく努力のプロセスが重要ですし、ここから生まれる連帯感がこれから残りの越冬生活に花を添えてくれるものと思います。

6月23日(木)

(天候:曇・最大瞬間風速:5.9m/s・気温(最高:-11.2℃ 最低:-18.8℃))

 ミッドウインターもいよいよ最終日。天候も昨日に引き続き穏やかでしたので、パークゴルフも無事行われ、また雪合戦も多少暗くはなりましたが何とか終了することができました。この雪合戦も北海道出身の一部隊員を除きほとんどが初めての体験でしたが、どの試合も緊迫、白熱した大熱戦の試合展開で、大好評でした。

雪合戦 その1
雪合戦 その2
(こんな真剣な「雪合戦」は初めてです)

 この試合終了直後に、気象のゾンデ観測用の気球を隊員代表と越冬隊長がそれぞれ放球。特に越冬隊長が放球した気球には越冬隊全員のメッセージが書かれていましたので解き放たれる瞬間、カメラ、ビデオ撮影で自分の書いたメッセージを撮影していたのが印象的でした。

気球には様々な思いが書かれています
(気球には様々な思いが書かれています)

 その後15時より、いよいよ「芸能発表」が開始。とりあえず昨日の深夜までかかって作成した小道具も何とか間に合い、準備万端で望みましたが、どうにか無事に終了することができました。(ホットしています)各居住棟の出し物も練習の成果が発揮されてなかなかの出来だったと思います。
 今日の夕食は、和食担当の調理他員による「松花堂弁当」が振舞われました。素晴らしい料理の一言です。本日もごちそう様でした。

ザ・和食 その1
ザ・和食 その2
ザ・和食 その3
ザ・和食 その4ザ・和食 その5ザ・和食 その6
ザ・和食 その7
(見事な「ザ・和食」)

 また、私が参加していたダーツもどうにか決勝リーグまで勝ち上がったのですが、今一歩力不足で準優勝という結果に終わりました。(ウ~ン、残念・・・)
ミッドウインター祭全ての催し物が無事終了しました。明日の夕食時に表彰式とエンディングフィナーレを迎えるわけですが、「極夜」での恒例行事となっている46次隊のミッドウィンター祭が幕を下ろしたのです。また一つ、記憶のページに素晴らしい出来事が刻み込まれました。隊員の皆さん、大変お疲れ様でしたと共に楽しい時間を過ごすことができたことを幸せに思います。ありがとうございました。

6月24日(金)

(天候:曇・最大瞬間風速:7.9m/s・気温(最高:-14.6℃ 最低:-20.4℃))

 今日は居住棟対抗の最後の出し物で、この4日間それぞれの居住区で昼食を作って食べてもらい、その結果を得点投票してもらうというもの最終日です。私たちが最後を締めくくるにふさわしい料理(ドライカレー、ミネストローネスープ、オレンジシャーベット)を作成し、皆さんに食してもらいました。味は?というと完璧でした、と自画自賛ですがこれもまた、皆で作り上げたという満足感が感動を引き立てます。
 このドライカレーの他、スープ、シャーベットとそれぞれ担当を分けて、前日に仕込みを完了させておきましたので今日は、温めて盛り付けをするだけで完成です。ご飯もバターライスとし、その上にカレーを掛け、この日に併せて栽培しておいたカイワレと残り少ない貴重な卵を使ってゆで卵をみじん切りにしたものを乗せて完成。評価はそれぞれの好みで分かれますが、私達が協力して作ったものですので、点数は抜きにして「満点」の作品だったと思います。
午後からは、ミッドウインターの後片付と一緒に管理棟内の全体清掃として、今までに出来なかった通路の壁の汚れ落しを中心に約2時間余り清掃を行いました。これは当直が毎日清掃を担当していますが、通路の壁は通常の当直業務では行いませんので、それら以外の箇所を重点的に清掃したわけです。これも昭和基地の維持管理の一つになっています。このように大切に基地を守り47次隊へと引き継いでいかなければならないことも私たちの重要な任務です。

一生懸命、壁掃除してます その1
一生懸命、壁掃除してます その2
一生懸命、壁掃除してます その3
(一生懸命、壁掃除してます)

 夕食時にミッドウインター祭のエンディングフィナーレを同時に開催し、その中で種目毎の表彰と最終的に居住棟の順位が発表されました。
 優勝は見事に私たちの居住区が僅差をものにして(2位とは5点差)優勝を獲得しましたが、順位は最終的にはおまけみたいなものですから、ここまでに到達するまでの過程が全てです。皆で素晴らしいものを作り上げるんだという意気込みと熱意がこのミッドウインター祭を支えてきたと思っています。このミッドウインター祭は、一次隊から行われている伝統的な行事です。今まで45回開催されて来ていますが、今も昔も越冬隊員のミッドウインター祭への思いは長い越冬生活の中でも格別なものになっていると思いますし、私たちも、この思いを一生忘れることは無いことでしょう。それだけ素晴らしいミッドウインター祭だったということです。
明日からは通常通りの昭和基地に戻ります。

越冬隊長からの挨拶
優勝鍋です
(越冬隊長からの挨拶)
(優勝鍋です)
MWF実行委員長お疲様!
(MWF実行委員長お疲様!)

6月25日(土)

(天候:快晴・最大瞬間風速:5.3m/s・気温(最高:-20.1℃ 最低:-28.9℃))

 ミッドウインター祭の行事が全て終了した翌日ですから、昨日まで大いに盛り上がった基地とは一転、いつもどおりの静かな昭和基地の休日となりました。私も、昨日寝たのが午前3時過ぎ。今までの疲れ?が出たのか一度は習慣の8時前後に目が覚めたのですが、睡魔には勝てず二度寝をしてしまい、結局10時過ぎまで睡眠をしてしまいました。多少の疲れは取れたものの、何か気持ち的にはボーっとしているような感じです。
 でも、外では通常通りに除雪作業をしている隊員、観測を行っている隊員・・・通常の業務が既に進んでいます。私も気持ちを切り替えて業務に専念しようと思います。
 日本では、47次隊の夏訓練(菅平高原)が終了し、いよいよ7月1日の隊員室開きをもう直ぐに控えて慌しくなってきているそうです。もう既に46次、47次共同で行う夏オペレーションや観測に関することが47次隊担当者から連絡が来ており、46次隊としての行動計画などの準備に取り掛かり始めています。少しずつこちらも47次隊を見ながら業務をすることになってきています。
 丁度1年前のことになりますが私は既に東京生活を始め、さあこれから始まるぞと気持ちを引き締めていたのと同時に、東京の梅雨とゴキブリに悲鳴を上げていた頃を昨日の様に思い出します。
 これから47次隊とのやり取りが全ての部門で頻繁に行われることになりますが、私達は適切な昭和基地の情報を提供しなければなりません。47次隊はそれに基づき様々な調達や準備を行うわけですから、出来るだけ詳細に伝えることも基地運営のための重要な業務となるのです。47次隊が昭和基地に来るまであと、6ヶ月を切ったところです。

6月26日(日)

(天候:薄曇後晴・最大瞬間風速:6.5m/s・気温(最高:-19.2℃ 最低:-26.1℃))

 今日も昨日に続き休日日課。昨日はミッドウインター祭終了後、初の「BAR」が営業されましたが、これが大盛況!
 その理由の一つは、本日、誕生日を迎える隊員がいたために、急遽「BAR」でささやかな誕生会が開催されため3分の2近くの隊員が集合。特製バースデイケーキにろうそくを立てて(全部は多すぎて立てられませんでした・・・)皆でお祝いをしました。誕生日を迎える隊員は45回目。何と同じ干支(ねずみ年)が3人と一回り下のねずみ年が2人。合計5人で「チューチュー会」なるものも結成したと聞いています。

ろうそくが多すぎます
(ろうそくが多すぎます)

 その誕生会の他には、やはりミッドウインター祭反省会なるものもあちらこちらで・・・多少の反省はあったにせよ、とにかく楽しかったというのと同時に無事何事も無く終了してホッとしているというのが実感でしょう。私も実行委員の一人として無事に終了出来て「安心」したというのが本音です。そんな話があちらこちらで・・・深夜まで盛り上がっていました。
 無事に終了したのを祝うかのように昨日、の10:30分頃にPSCs(極成層圏雲)が出現。鮮やかなピンク色の雲が本当に奇麗だったです。これは、PSCs(Polar Stratospheric Clouds)極成層圏雲と呼ばれ、極夜期に上空の大気がマイナス80度以下になると成層圏の15~25kmに現れるそうで、オゾンホールの発生メカニズムに関係しているそうです。それにしても奇麗でしたねえ~

これがPSCsだそうです その1
これがPSCsだそうです その2
(これがPSCsだそうです。奇麗ですね。)

 また、20時よりミッドウインター祭で企画してはいたのですが、水漏れのため日を改めて開催することになっていました「昭和温泉」が臨時営業されました。水漏れがひどくなったため、埋めてあった浴槽を吊り上げ一度解体をしていましたが、今日の日中に組み立てを再開し再度埋めなおして準備完了。今度は水漏れが解消したことを確認し、1日だけの再開となりました。南極昭和基地での露天風呂。外気温はマイナス20℃。髪の毛はシバレてはいますが、最高に気持ちがいい露天風呂でした。北海道の内陸地方の真冬の露天風呂もいいのですが、この手作りの「昭和温泉」露天風呂も最高です。また、記憶の一ページにほんのり湯気を上げながらの思い出が刻み込まれたのでした。

昭和温泉!!
(昭和温泉!!)

6月27日(月)

(天候:薄曇後晴・最大瞬間風速:6.1m/s・気温(最高:-15.6℃ 最低:-21.6℃))

 今日は、月末恒例の各部会の開催日となりました。午前10時からは「観測部会」議題は6月の観測報告と7月の観測計画です。殆どの部門で定常的な観測の報告になっています。この定常的な観測こそが長期的なデータを蓄積しそれを分析、解析する訳ですから非常に大切な観測になっています。この南極では自然以外の人的な影響をほとんど受けることなく観測データ収集が出来ますので、非常に貴重なものともなっています。やはり地球規模での観測には欠かせないデータですから、世界各国の南極基地も同様の観測を行ってるそうです。
 また、7月に入ると日も長くなり野外での行動も増して来ます。S16オペレーションも雪上車、ブルドーザーの整備、ブリザードで埋まってしまった橇の掘り起こしと持帰り(整備)の作業内容で、4泊5日が2回ほど計画されています。またオーロラ観測もこれからも引き続き観測が行われます。その他にも様々なポイントでの観測を行うための新規のルート工作も多く計画されております。
 また、「設営部会」の方も毎月行っている保守点検が中心となっています。発電機の電源切替によるメンテナンスを含む各設備の点検、消火訓練などが行われます。その業務の他に各観測業務の支援も行います。雪上車、スノーモービルの運転、野外装備品の準備など観測部門、設営部門が一体となって業務を遂行してく正に、「南極観測隊」としての本領発揮といったところでしょうか・・・
 また、恒例のTV会議システムによる中継も5回ほどで中継地域は北海道から鹿児島までととても広い範囲で行われることになっています。このTV会議は南極とリアルタイムに話が出来たり生の映像を見ることができたりで子供たちにとっては最高の環境ですし、私たちも日本全国の子供たちに南極の素晴らしさを提供できますし、南極観測隊の存在もアピールすることが出来ますので、このTV会議システムを使った南極教室は観測隊にとって重要な業務の一つになっているのです。

6月28日(火)

(天候:曇・最大瞬間風速:5.9m/s・気温(最高:-11.4℃ 最低:-20.6℃))

 いよいよ本格的に野外での活動が始まってきました。
 今まで使用していた昭和基地からとっつき岬までのルートの他に最短ルートをようやく作ることが出来ました。このルートは、44次隊まで毎年最短ルートとして使用されていたらしいのですが、45次隊が同じルートを開通させた直後に途中の海氷が流れてしまい、後日作り直したルートでもあります。私たちも早い段階でこの付近のルート調査をしていましたが、なかなか海氷が安定せずようやく昨日、ルート工作が完了したのです。しかし、氷の厚さが50~70cmと他のルート上よりは若干薄く途中には幅30cm程度のクラックもあったそうです。このルートを使用すると今までのルートより数キロ短くなり、所要時間もかなり短縮され、まさにとっつき岬までの「ハイウエイ」が開通したというところです。

氷厚を測定するための穴堀です
クラックも・・・
(氷厚を測定するための穴堀です)
(クラックも・・・)

 また、通称「金魚観測」(正式には係留気球によるエアロゾル観測)も行われ、飛揚高度1560m、1500mとこの極夜期で作業時間が短い中での観測としてはなかなかの観測だと担当者は話をしていました。
 また、その他には8~9月にかけて行われる中継点旅行(ドーム基地用に燃料等を運ぶ)のために使用する21台の木製2t橇の修理も始まりました。橇の下部にある底板やランナーの点検をするのですが、1日に2台程度しか出来ませんし、悪天候になると出来ませんから時間が有る様で無いのが現状ですので、やれる時にやってしまわなければと担当隊員は頑張っていました。
 月末恒例?の消火訓練も午後から行われました。今日の出火場所は第1夏宿で管理棟から約500m離れており心臓破りの坂もありますので防火服を着てボンベを背負ってダッシュする隊員は大変だったらしいです。訓練終了後にグッタリうな垂れて帰ってくる隊員も・・・

全力疾走が効いてます
疲労が・・・
(全力疾走が効いてます)
(疲労が・・・)

6月29日(水)

(天候:薄曇後時々晴・最大瞬間風速:4.3m/s・気温(最高:-9.0℃ 最低:-15.5℃))

 今日はオペレーション会議が開催され、全体会議で審議する議題の内容について話し合われました。主なものとしては観測、設営各部会の当月の活動報告、来月の活動計画ですが、特に7月より野外活動が多くなってきますので、その人員、車両等の調整を行いました。また、中継点旅行(8月上旬出発で約1ヶ月間)やドーム隊のメンバーの選定についても具体的に調整が行なわれました。
野外での経験は隊員全てが行い、いつでも野外支援体制が取れるようにとの方針ですし、中継点旅行、ドーム隊の出発などがあると野外スペシャリストの多くがそちらに行ってしまいますので、その他の野外活動支援が手薄になるのを考慮して、来月より野外支援をほぼ全員が携わるような計画になっています。7月~9月は気候、気温的に厳しい条件です。緩慢な行動、慢心などによって一つ間違えると大きな事故につながります。また、自分が未経験者、初心者なんだという気持ち、誰かがやってくれるという気持ちも非常に危険です。チームプレイですが基本的には個人の気持ち、技術がチームプレイを支えていますので、一人ひとりの心構えと経験によって生まれる技術と自信を短期間に養わなければなりません。ここは南極だということと、生死は紙一重だということを常に思っていなければなりませんが、あまりガチガチになると何も出来なくなるので、ある程度の緊張感とリラックスを交互に持って、そしてなんといっても自然と楽しむ心を持って野外活動に参加しなければなりません。私自信、北海道出身で寒さ、雪等に関しては多少の知識、経験はありますが南極の厳しさに戸惑うこともありますし、想像を超えていることもしばしばあります。私も初心に帰りながら、緊張、リラックスを繰り返しながら野外支援をして行きたいと改めて思っています。

6月30日(木)

(天候:曇一時晴・最大瞬間風速:11.3m/s・気温(最高:-14.1℃ 最低:-21.6℃))

 今日で6月も終了し、極夜期が明けるのもあと20日余りとなりました。日の長さも少しずつではありますが長くなってきており、時間の経過が良く解ります。
  明日からはいよいよ7月。極夜期が明けると待っていたかのように野外活動が頻繁に行なわれます。特にドーム基地に燃料を始めとする様々な物資の輸送の準備と実際の運搬が始まります。また、各観測も行われ俄かに活発化してくる時期に突入です。
 また、1日には、47次隊の隊員室が開設され本格的に始動です。丁度1年前に私たちも同じ過程を踏んできましたが、とにかく何をするのも初めてで凄まじい勢いで出発を迎えたことが昨日のことのように感じます。そんな私達は今、昭和基地から次隊の動きを見ながら業務をしているのですから、何とも不思議な感じがします。
 越冬交代まであと、半年余り。帰国まで約9ヶ月。残された時間がどんどん減っていきます。もう既に、持帰り物資のことが情報交換の対象になってきていますので、あっという間に時間が経過していくことでしょう。そのスピードに乗り遅れないように、そして全ての映像を記憶に焼き付けていかなければと思っています。

第46次日本南極地域観測隊 越冬庶務 近江


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